記事の要点
・「お茶で対立のない優しい世界をつくる」ことを理念に掲げる株式会社TeaRoomが、聖徳太子ゆかりのお寺として知られる三重県津市・四天王寺との協業を開始。
・第一弾として「聖徳太子1400年御遠忌」記念事業における協業からスタート。記念品としてお茶『HIRAKU』がプロデュースされ、2021年2月1日より販売開始。
・中長期的には、お寺の地域の持続可能な価値の創出と、地産地消による地域貢献となる新たなビジネスモデルの検証や収益源の多様化を目指すという、包括的な連携を行なっていく。
LoveTechポイント
コロナ禍で大きな変化を余儀なくされる時代だからこそ、お茶を通じた心の余白設計が、ますます求められると言えます。
茶禅一味の思想に則ってサステナブルな事業の創出を進めている点が、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
「茶禅一味」という言葉がある。
これは、「本来的に茶道と禅は一体のものであることから、人間形成においては両者に差異はない」という考え方を示すもの。先人たちが茶の中に、湖底のような静かな禅の心を求めていたことが伺える。
かの千利休も、茶禅一味の悟りの境地について、「小座敷の茶の湯は第一仏法をもって修行得道することなり。水を運び薪を取り、湯を沸かし茶を点てて、仏に供へ人にも施し我も飲み、花を立て香を焚きて、みなみな仏祖の行ひの跡を学ぶなり」と述べているという。(引用:だるまや和田清商店)
このように、茶道と禅とでは長い歴史に裏付けられた深いつながりがあり、 数百年の歴史の中で衰退や復興を繰り返しながら、今日においてはマインドフルネスなどのブームによって、社会での認知も向上してきている。
しかし、実際にお茶産業の内部を見てみると、多くの事業は持続可能な状態ではない。檀家に依存する収益構造や需要の画一化、それによる生産の疲弊などがあげられる。
そんな背景の中、「お茶で対立のない優しい世界をつくる」ことを理念に掲げる株式会社TeaRoomは、この茶禅一味の思想に則り、聖徳太子ゆかりのお寺として知られる三重県津市・四天王寺との協業を開始した。
第一弾として「聖徳太子1400年御遠忌」記念事業における協業から始まり、中長期的には、お寺の地域の持続可能な価値の創出と、地産地消による地域貢献となる新たなビジネスモデルの検証や収益源の多様化を目指すという、包括的な連携を行なっていくとのことだ。
聖徳太子といえば、十七条の憲法の条文「和を以て貴しとなす」で有名な人物。仏教を日本に広めた第一人者としても知られ、さらに敬神の詔を出し、日本古来からの信仰も大切にしていた人物である。
2021年からは聖徳太子の没後1400年にあたり、関西を中心とした聖徳太子ゆかりの神社寺院では「聖徳太子1400年御遠忌」と称して、100年に1度の行事や法要が行われることとなる。ちなみに、100年前の「聖徳太子1300年御遠忌」の際は、かの渋沢栄一氏が奉賛会の副会長として活躍している。
「聖徳太子1400年御遠忌」記念事業における協業としては、記念品としてお茶『HIRAKU』がプロデュースされ、2021年2月1日より販売開始されている。
こちらの記念品は、TeaRoomの公式オンラインストア、もしくは曹洞宗 四天王寺(三重県津市栄町1丁目892)にて購入が可能となっている。
また、中長期的な協業内容としては、お寺の持続可能性の向上を目的とし、以下のような収益源の多様化も目指すという。
- 禅の思想をもとにしたD2Cプロダクト:街に最も近く寄り添う環境である、ブランドとしての「お寺」を活かし、聖徳太子様を偲ぶ特別なお茶製品の企画製造や、サステイナブルな生産方法で作ったサヌイなど、禅の思想をもとにしたプロダクトの開発・販売を実施。
- お寺におけるオンラインとオフライン:お寺というオフラインの環境に捉われず、より多くの方々にも禅の思想を伝えられるようなオンライン上での体験設計。
- 第一次産業との協業:農業などの第一次産業と全国各地にあるお寺が手を組むことによる、雇用促進・事業継承のサポートといった新たな取り組みの推進。
TeaRoomといえば、昨夏にも蒸留所との協業を通じて日本茶の「生葉」を使ったクラフトジンを開発・提供するなど、お茶に関わる様々な事業を精力的に展開している。
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本件に関しては、TeaRoom代表の岩本涼氏は「茶と禅は一体であり、寺の持続可能性への探求は茶道の発展とも密接に結びつきます。」とツイートしている。
コロナ禍で大きな変化を余儀なくされる時代だからこそ、お茶を通じた心の余白設計が、ますます求められると言えるだろう。