記事の要点
・集金業務のDXを進める株式会社エンペイが、DNX Venturesをリードインベスターとして、ちゅうぎんインフィニティファンドを引受先とする第三者割当増資により、総額4億円の資金調達完了を発表。累計調達額は4.7億円。
・掩蔽が提供するFintech × SaaSプラットフォーム「enpay(エンペイ)」は、施設や教室といった物理的なスペースのあるビジネスを対象とする集金のキャッシュレス化・DX化サービス。現金や紙を一切やり取りすることなく、請求〜お支払いまでが完結する。
・今回の調達資金は、enpayの非連続な事業拡大をはじめ、品質の向上と新たな金融サービスの開発、そしてそれらに伴う組織の拡充に充てられる予定。
LoveTechポイント
FinTechにも様々なソリューションがあり、enpeyのような業務特化型のサービスがあれば、キャッシング全般の基盤としての機能を前提とするものもあります。重要なことは、それらがAPI等でシームレスに連携していくことでしょう。
今回のenpayについては、細かい業務のペインに沿って集金という煩雑な作業から解放してくれるという点で、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
集金業務のDXを進める株式会社エンペイが、DNX Venturesをリードインベスターとして、ちゅうぎんインフィニティファンドを引受先とする第三者割当増資により、総額4億円の資金調達完了を発表した。これで累計調達額は4.7億円となる。
エンペイが提供するのは、Fintech × SaaSプラットフォームとなる「enpay」。紙や現金を一切やり取りすることなく、請求・お支払いができる、集金のDX化およびキャッシュレス化を実現するサービスだ。
対象となるのは、施設や教室といった、物理的なスペースのあるビジネス。保育園やこども園、幼稚園といった幼保施設のほか、学校や学童、塾といった教育施設、そしてスイミングや書道教室などの習い事教室が、具体的な対象というわけだ。
2020年11月のリリース以来、導入施設が順次拡大しているという。
現金での集金業務においては、請求書や明細書の作成のほか、集金袋の作成と配布、情報漏洩リスク、金額の確認、集計業務支払いの管理、領収書の発行、銀行への入金といった業務が発生する。
口座振り込みの場合は集金袋の作成や配布業務はなくなるが、口座登録の事務手続きや口座情報の管理、振替が出来なかった際の個別対応などが新たに発生する。
また、集金という行為は多くが月ごと行われ、担当者は毎月膨大な業務に追われていることとなる。
enpayは、これらをオンラインベースへとDXさせるツールということになる。
まず請求者を入力だが、請求費目・金額をクリックするだけで簡単に入力ができる。また、エクセルでの一括インポートも対応しており、大人数の場合でも全員分の入力が一瞬で完了する。
次の集金作業は、請求入力の完了後、一括請求ボタンを押すだけ。請求メッセージが全ての保護者のLINEに瞬時に届けられるようになる。保護者は届いたメッセージ上で、クレジットカードまたはコンビニかLINE payで支払うという流れだ。
最後、集金管理については、支払い状況を管理画面上でリアルタイムに確認でき、支払い済、未払い、クラス単位等での管理も可能だ。
さらに会計管理レポートも自動で作成されるので、月次の締め作業に伴う会計業務も楽になることが想定される。
施設で行われている現金集金は、不特定多数の方が触った現金を大量に扱うため、コロナ禍においては極めてリスクの高い業務だと言える。
支払う保護者側も、新型コロナウイルス蔓延を機に「現金を触ることへの抵抗感」が強く芽生えていることが、同社の調査からもよくわかる。
厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新しい生活様式」の実践例においても、「現金ではなく電子決済の利用」が提言されている。
このような背景からも、お金にまつわる様々なフローのキャッシュレス化は、ますます加速していくことが予想される。
今回の調達資金は、enpayの非連続な事業拡大をはじめ、品質の向上と新たな金融サービスの開発、そしてそれらに伴う組織の拡充に充てられる予定だ。
業界特化型のFintech × SaaSは、米国のShopifyやToastの例でも見られるように、海外でも注目の急成長分野である。
一方で、国内消費300兆円の約75%は未だに現金依存だという現実がある。
今後、集金のような細かい領域においても、キャッシュレスの利便性が高いことの認知を広げることができるかどうかが、ポイントだと言えるだろう。