記事の要点
・自分にあった公共制度をLINEで届けるサービス「Civichat」を開発・提供する株式会社Civichatが、East Venturesより1,500万円の資金調達を実施。新たなメンバーの雇用と更なるプロダクト開発と体制の強化を図っていく。
・日本には5万8千種類もの政策に準拠した制度が存在するが、このような公共制度を「知らなかった」ことによる機会損失を解消し、自分にあった公共制度の利用を促進するのが「Civichat」。
・2020年12月には、熊本市が行う「Urban Innovation Kumamoto」に採択され、多岐にわたる「被災者支援制度」を主な対象に、約3ヶ月間、サービス開発から施行導入、実証実験を実施。今年3月には、従来の紙面・PDFでの検索より10倍早く制度を見つけることが可能になったBotのベータ版を公開している。
LoveTechポイント
国や自治体の方でせっかく用意された制度であっても、認知されなければ意味をないに等しいと言えるでしょう。
このような情報の非対称性を解消し、制度の適切なデリバリーを実現しようとするCivitchatは、なんともLoveTechなサービスではないでしょうか。
編集部コメント
自分にあった公共制度をLINEで届けるサービス「Civichat」を開発・提供する株式会社Civichatが、East Venturesより1,500万円の資金調達を実施した。
自分にあった公共制度を知る、とはどういうことか。
例えば、スポーツジムに通いながら医療費控除をうけることができるのをご存知だろうか。もちろん、どのスポーツジムでも適用されるというものではないが、厚生労働省が指定する運動療法施設で、医師の処方した運動療法処方箋に基づいた運動療法を行ない、かつ一定の条件を満たすことで、それに費やした費用が医療費控除の対象になるのだ。
対象施設などの詳細は厚生労働省のホームページを見てもらいたいのだが、こういう情報を知っていたら申請していたのに、と感じる方も、中にはいるのではないだろうか。
日本には実に5万8千種類もの政策に準拠した制度が存在し、このようなケースは他にもたくさんあるだろう。奨学金や妊娠・出産に関する助成費用、子育てに関する保険等、さまざまなものがあるものの、すべては「申請主義」が前提となっているので、自分に合ったものを探すのはもとより、そもそも認知することもないケースが多いと言えるだろう。
同社が開発・運営をする「Civichat」は、このような公共制度を行使する際の「知らなかった」をなくし、申請の手間などの手続きを簡素化して、自分にあった公共制度の利用を促進してくれるサービスである。
登録の方法はシンプルで、まず Googleフォームから年齢や制度の利用有無について事前に登録。LINEの友達追加をし、いくつか質問に答えると、制度をいくつか提案してくれる。必要にあわせて制度への申請も代行(※)してくれるという。
※ 本人書類などが必要な補助金は、そのほかの全ての作業を代行して郵送。
またデータは毎日更新され、ユーザーに合わせて自動で学習していくので、検索のたびにキーワードを入力する必要もなく、使い込む度に自分に合った制度を提案してくれるのだ。
2020年12月には、熊本市が行うスタートアップと市職員が協働するプロジェクト「Urban Innovation Kumamoto」に採択されており、多岐にわたる「被災者支援制度」を主な対象に、約3ヶ月間、サービス開発から施行導入、実証実験を実施。
今年3月には、従来の紙面・PDFでの検索より10倍早く制度を見つけることが可能になったBotのベータ版を公開している。これは、熊本地震の支援制度(115個)を対象に案内してくれるものだ。
このCivichat、自分にあった制度のおすすめと制度に関する質問は無料で利用でき、補助金の申請サポートについては給付額の15%で利用可能となっている。
冒頭に記載したとおり、同社はシードラウンドの資金調達にて、ファーストクローズを1,500万円で完了しており、今後更なるプロダクト開発と体制の強化を図っていくという。
国や自治体の方でせっかく用意された制度であっても、認知されなければ意味をなさない。本当に必要な人に届かない制度は、ないに等しいとすら感じる。
このような情報の非対称性を解消し、制度の適切なデリバリーを実現しようとするCivitchatは、なんともLoveTechなサービスではないだろうか。
なお、Civichatは以下からLINEで友達になることで試すことができる。せっかくなので、どういうものか一度試してみてはいかがだろう。