「振り付け」著作権の流通マーケットを狙う「GESREC(ジェスレック)」、4月上旬にリリース予定

文化/芸術/心

記事の要点

・マイクロエンタテインメント株式会社が、AIでデータ化されたダンスや振り付けを著作権として取引きできるマーケットプレイス「GESREC(ジェスレック)」β版の4月上旬リリースを発表。

 

・誰がいつどのような振り付けを考案・公表したのかを登録管理でき、登録された振り付けに対して正当な対価を支払いたいクライアントとの橋渡しをするようなマーケットプレイスを目指す。それと同時に、ダンサーが踊ったり、振り付けを考える際の自由を奪わないよう、クリエイティブさを推進するような柔軟さも併せもったプラットフォームでもある。

 

・β版リリース後も、オンライン上での決済機能、抽出された3Dモーションデータの可視化、利用検知AIの処理速度及び精度の向上など、機能を順次実装予定。

LoveTechポイント

踊りというものは、音楽におけるCDや映像物におけるブルーレイといった、一般大衆への分配の仕組みがしっかりと確立されていないが故に、社会におけるアーティストの認知や評価も、他領域に比べてまだまだ発展途上なのではと推察します。

今回発表された「GESREC(ジェスレック)」は、振り付けに関わるあらゆるアーティストの「新たなる分配と資源循環の仕組み」をテクノロジーで実現しようとしている点で、LoveTechだなと感じます。

編集部コメント

YoutubeやTikTokといった動画メディアが隆盛を極める昨今、「踊り」という行為への注目度が高まっている。ダンス振り付けを収録したものから原住民による伝統的な動作を捉えたものまで、どれだけ多く数と種類の「踊り」動画が、上述のメディアやSNSを中心に出回っていることだろう

 

そもそも踊るという行為の歴史は長く、その目的も時の経過とともに多様性を増してきている。八百万の神との交流に始まり、能力の卓越したものが所謂「芸能者」として重宝され、次第に大衆化した娯楽へと浸透していき、今では世界中で数えきれない程のプロダンサーや振付師が独自のアートピースのため、日夜才能を磨き努力を続けている。

 

誰もが疑うことなく、人類の誇る文化のひとつと言えるだろう。

 

一方で、この「踊り」に対する権利は明確に定義されてきていない。

 

同じクリエイティブコンテンツでも、例えば音楽や映像物は明確な「著作物」としての定義がなされて流通管理されている。

 

これがダンスという領域で考えると、その独自性の定義や根拠、利用状況の把握、利用者による許諾処理のフローなど、新たに考えるべきことが多くあり、結果として適切な権利保護がなされていないケースがあるように見受けられる。

 

そんな状況を変えるべく、マイクロエンタテインメント株式会社が開発を進めているのが「GESREC(ジェスレック)」である。

「Gesture + Recognition」略で、AIでデータ化されたダンスや振り付けが、著作権として取引きされるマーケットである。

 

誰がいつどのような振り付けを考案・公表したのかを登録管理でき、登録された振り付けに対して正当な対価を支払いたいクライアントとの橋渡しをするようなマーケットプレイスである。それと同時に、ダンサーが踊ったり、振り付けを考える際の自由を奪わないよう、クリエイティブさを推進するような柔軟さも併せもったプラットフォームでもあるという。

 

具体的な流れとしてはこうだ。

 

ダンス振り付けの提供者(場合によっては所属事務所)であるプロダンサーや振付師は、本人確認とプロフェッショナルであるということの証明として、GESRECのサイトに登録する。

 

ここでの認証が完了すると、Youtubeの動画アドレスをアップロードできるようになり、登録規約に合意することで、振り付けの登録もできるようになる。

 

登録された振り付けは、AIによるデータ解析を経て3Dモーションのデータが保管されるという。

 

そう、この世界観を実現するべく、同社では以下2種類の3Dモーション関連AIを同時開発しているわけだ。

  • 動画から3Dのモーションを推定し、抽出してデータ化するAI
  • 3Dモーションを分類し、著作権利用を検知するAI

 

まずはβ版として最低限の機能を有したサービスが4月上旬にリリース予定であり、その先2ヶ月~1年以内には、下記機能のリリースを順次予定しているという。

– オンライン上での決済機能
– 独自動画ファイルのアップロード
– 登録ダンサーや振付師による、提供条件や費用の変更機能
– 抽出された3Dモーションデータの可視化
– 3Dモーション抽出における詳細精度の向上(指の動き、顔の表情など)
– 利用検知AIの処理速度及び精度の向上

 

こちら、WORLD OF DANCE Final 2016で優勝した世界チャンピオン「GENDAI」や、「PEZ」、「CHIHIRO」など、錚々たる大物ダンサーが賛同してきている。

 

いよいよ、踊りの領域にも、正当な評価市場ができるかもしれない。

 

世界中のダンサーや振付師に対する新たなる収入源となるだけでなく、そこから派生する新たなクリエイティビティの息吹に、期待せずにはいられない。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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