コロナ禍で広がるミニシアター支援の輪。#SaveTheCinema・Mini-Theater AID基金・仮設の映画館など

イベントレポート

 新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)感染拡大に伴う政府からの外出自粛要請により、日本のミニシアター(小規模映画館)が存亡の機に直面している。

 2020年4月7日、政府は全国7都道府県に対して「緊急事態宣言」を発出し、さらに16日にはその対象地域を全国に拡大。当初は5月6日を期限に設定していたが、それも5月31日まで延長することに決定。多くの映画館が4月からの臨時休館を余儀なくされている中、経営基盤が大きくないミニシアターへの影響は計り知れない状況だ。

 もちろん、政府発表の「持続化給付金」や「東京都感染拡大防止協力金」など、公的な助成は存在する。だが、それだけでは窮状打開に至らないという悲痛な叫び声は多い。

 そんな中、映画業界では同時多発的に、様々な連携プロジェクトが芽吹き始めている。政府への要望書提出のための署名活動、オンライン上映のスキーム構築、新たなる利益分配方式の模索など。監督、プロデューサー、製作/配給/宣伝スタッフ、劇場支配人、俳優、そしてミニシアターファンといった、様々なステークホルダーによる支援活動の輪が全国に拡がっている。

 文化の多様性を司るミニシアターを保全するLoveTechな取り組みとして、本記事ではその一端をご紹介する。

ミニシアター運営者の声

 まずはミニシアター経営の現状を知ってもらうべく、2020年4月13日に配信された「ミニシアター・エイド基金 × DOMMUNE キックオフイベント 記者会見」より、劇場運営者2名の声をご紹介する。

正直、開けていても赤字の事業体でした(アップリンク・浅井氏)

「4月頭になるとお客さんは8割〜9割減ってしまって、正直、開けていても赤字の事業体という状況でした。

 こう語るのは、渋谷・吉祥寺で映画館を運営しつつ、映画配給等も手がけている有限会社アップリンク代表・浅井隆氏。

有限会社アップリンク代表・浅井隆氏(2020年4月13日配信 記者会見より画面キャプチャ)

 ミニシアターでは不動産を持っていない興行主も多く、アップリンクも賃貸で劇場運営をしている。開館・閉館に関わらず家賃が発生する上に、スタッフの休業補償や各種機器のリース代など、諸々の経費も月次で発生する。4月7日の緊急事態宣言を受けて、東京では翌8日よりほぼ全劇場が休館したが、同社ではたとえ緊急事態宣言がなかったとしても、「いよいよ本当に閉めようとしてたところ」だったという。

 また、4月21日には新ミニシアター・コンプレックス「アップリンク京都」をオープン予定であったが、こちらも5月21日へと1ヶ月以上延期にした。

「家賃は留保にしてもらっていますが、京都では社員とアルバイト約30人を、面接して雇用しています。東京から社員を2名転勤させたり、アルバイトも近県から引っ越してフルタイムで働いてもらったりを予定してます。

1ヶ月以上収入のない映画館が、そのスタッフ達への休業補償を行うわけです。

もちろんアップリンクだけではなく、全国のミニシアターと呼ばれる映画館はどこも厳しい状況です。

3ヶ月休館が続くと、必ず閉館に追い込まれる(シネマスコーレ・坪井氏)

「休館が1ヶ月でもかなり苦しいところですが、仮に3ヶ月休館が続くと、必ず閉館に追い込まれます。なるべく早く収束して欲しいと願っています。

 こう窮状を訴えるのは、名古屋にある劇場・シネマスコーレで副支配人をつとめる坪井篤史氏。1983年2月に若松孝二監督が立ち上げた劇場だ。

シネマスコーレ副支配人・坪井篤史氏(2020年4月13日配信 記者会見より画面キャプチャ)

 そもそも、COVID-19による影響で映画館が休館に追い込まれることは、2月時点までは誰も具体的に想像していなかったのではないだろうか。

 多くの方は「密室である映画館こそ感染症リスクが高まるのではないか」と考えると思うが、そもそも映画館は興行場法(第三条)において都道府県ごとの条例基準に適合する“換気”が義務付けられている。また、インフルエンザや今回のCOVID-19のような感染症対策の一環として、自治体によっては館内の湿度を保つように保健所の指導も入っている。判断は人それぞれだが、劇場は「単純な密室構造」ではないのであり、その自負もあったことから、多くの劇場にとって休館を余儀なくされたことは「全くの想定外」と言えるだろう。

「3月に入ってから、シネコンに入ってくる作品がどんどんと延期されていき、またそれに合わせて舞台挨拶の中止も増えていきました。

うちの劇場は舞台挨拶を通じてたくさんのお客様に来ていただいているので、だんだんと来館者数が減り、シニアのお客様も来なくなっていきました。

衝撃的だったのは4月1日。「映画の日」にも関わらず、朝1回の動員がゼロだったのです。また動員が2桁いったとしても、恥ずかしながら30とか40ではなく、せいぜい10〜15ほどでした。

このままでは閉館になってしまうので、4月13日から臨時休館という形にさせていただきました。

 

以上の通り、この1〜2ヶ月を生き延びないと危ない状況が赤裸々に伝えられた。

「#SaveTheCinema」4/15、66,828筆の署名を政府に提出

 このような状況に対し、COVID-19対応のミニシアター支援として最初に大きな声をあげたのは、『#SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト』だった。映画監督や俳優、プロデューサーなど、様々な映画関係者が「呼びかけ人」および賛同者となって発足されたものだ。

<呼びかけ人 #SaveTheCinema(五十音順)>

  • 荒井晴彦(脚本家 映画監督)
  • 安藤サクラ(俳優)
  • 井浦新(俳優)
  • 井上淳一(脚本家 映画監督)
  • 入江悠(映画監督)
  • 岩崎ゆう子(一般社団法人コミュニティシネマセンター事務局長)
  • 上田慎一郎(映画監督)
  • 枝優花(映画監督)
  • 柄本明(俳優)
  • 大高健志(プロデューサー MOTIONGALLERY代表 POPCORN共同代表   Incline)
  • 上村奈帆(映画監督)
  • 是枝裕和(映画監督)
  • 佐伯俊道(脚本家 協同組合日本シナリオ作家協会理事長)
  • 志尾睦子(シネマテーク高崎映画総支配人 高崎映画祭プロデューサー 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
  • 白石和彌(映画監督)
  • 諏訪敦彦(映画監督)
  • 想田和弘(映画監督)
  • 田井肇(大分シネマ5代表 一般社団法人コミュニティシネマセンター代表理事)
  • 塚本晋也(映画監督)
  • 土屋豊(映画監督 独立映画鍋)
  • 寺井隆敏(CINEMA PLANNERS代表)
  • 西原孝至(映画監督)
  • 濱口竜介(映画監督)
  • 深田晃司(映画監督 独立映画鍋)
  • 藤井道人(映画監督)
  • 舩橋淳(映画監督 独立映画鍋)
  • 北條誠人(ユーロスペース支配人 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
  • 松本正道(アテネ・フランセ文化センター 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
  • 馬奈木厳太郎(弁護士 プロデューサー)
  • 森達也(映画監督)
  • 渡辺真起子(俳優)
  • 一般社団法人コミュニティシネマセンター(代表理事 田井肇)
  • 太秦(配給会社 代表 小林三四郎)
  • NPO法人独立映画鍋

 同団体は4月6日、オンライン署名サービスChinge.org(チェンジオーグ)上にて政府への要望書全文を公開。以下二点に対する支援を要請する旨を記載し、賛同者募集を開始した。

  • COVID-19感染拡大防止によって生じた損失(観客数の大幅な減少)を補填するための緊急支援
  • 終息後における集客回復のための広報活動およびゲスト招聘、特集上映等のイベントへの支援

 

 公開から約10日後の4月15日には、66,828筆の署名を携えて、以下4点の“声”とともに内閣府・経済産業省・厚生労働省・文化庁に該当要望書を提出した。

  1. 今回の要請の趣旨:
    SAVE the CINEMAが何者であるか、そして要望書にある2点を可及的速やかに検討、実行に移していただきたいことを要請
  2. 全国のミニシアターの窮状:
    コミュニティシネマセンターや有志メンバーが全国の劇場にヒアリングをした緊急アンケートを元に、いまの困難な状況を財政上のデータとして提出
  3. 実際の撮影現場からの声:
    現在ほとんどの撮影行為がストップしている現状を踏まえ、緊急事態宣言が収束後も平時のような労働環境に戻るまでには相当な時間を要する事(俳優部、現場スタッフ、配給宣伝、デザイナー、そして劇場に至るまで「映画」には多くの分野が関連していることも踏まえ)
  4. 文化芸術の拠点として、多様な映画文化を支えるミニシアターの公共性:
    文化芸術は、不要不急の娯楽ではなく、生きるために必要であるということ。ミニシアターは、地域に多様な文化体験と創造性を育むインフラであり、一度失われてしまうと簡単には取り戻すことができない大きな損失となること


(SAVE the CINEMAの公式Twitterアカウントおよびnote記事より)

 記事執筆時点(2020.5.4)でもその数は増え続けており、8万人以上の賛同者が各々のコメントと共に署名を残している。

Change.orgプロジェクトページ(2020.5.4時点)

 ちなみに、同プロジェクトページの末尾には、他国の芸術文化への支援状況(2020年4月1日時点)に関する情報も掲載されている。こちらも併せてご覧いただきたい。

  • 【ドイツ】
    新型コロナウィルスの影響を受けたカルチュラル、クリエイティブ、そしてメディアを含む中小企業や 個人への支援として、個人の自営業者(従業員のいない自営業者)、個人のアーティスト、および最大 5 人の従業員を持 つ中小企業は 3 か月間、最大 9,000 ユーロ(約 107 万円)、従業員最大 10 人までの中小企業は、3 か月間、最大 15,000 ユーロ(約 180 万円)の一括払いの助成金(返済不要)を受け取ることができる。
  • 【アメリカ】
    米国芸術基金が非営利の芸術団体を支援することを目的に、運営費に充当できる助成金 7,500 万ドル (約 80 億円)を用意している。
  • 【イギリス】
    月額 2,500 ポンド(約 33 万円)を上限に、従業員の賃金の 80%が支給され、加えてアーツ・カウンシル・イングランドが文化芸術に関与する個人や組織の保護を目的に、1億6000 万ポンド(約 213 億円)の緊急資金を提供する。

映画業界の、そして社会の多様性を守るための基金

 この「#SaveTheCinema」と連携する形で4月13日に立ち上がったのが「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」だ。

 これは、国際的に活躍する濱口竜介監督と深田晃司監督が発起人となって設立されたもの。クラウドファンディング・プラットフォーム「MOTION GALLERY」上にて支援金を募り、集まったお金から決済手数料および運営事務局手数料を引いた金額を、参加するミニシアター運営団体に寄付の形で分配するというスキームだ。

 支援を受ける映画館は5月1日時点で全国114劇場・99団体。目標金額1億円に対し、記事執筆時点(2020.5.4)で2億3,000万円以上が集まっている。

 総額2億円を越えれば約190万円、2億5,000万円以上で約240万円、3億円以上で約290万円が、それぞれ1参加団体に平均して分配されるとのことで、プロジェクトが終了する【5月14日】まで、引き続きストレッチ目標達成に向けた支援を募集している。

MOTION GALLERYプロジェクトページ(2020.5.4時点)

 4月13日に配信されたオンライン記者会見では、濱口監督・深田監督のほか、俳優・映画監督の斎藤工氏らも参加。それぞれの思いを口にした。

濱口竜介監督(2020年4月13日配信 記者会見より画面キャプチャ)

濱口監督「プロジェクト立ち上げの背景は緊急性と重要性にあります。

まずは緊急性について。メジャーが経営してるところと違い、ミニシアターの経営基盤は決して大きくはありません。コロナの影響が長くなったら、確実に経営危機に陥ってしまうでしょうから、即刻助成が必要な状況です。

ところがプロジェクト立ち上げ時点では、政府は動く気配がほとんどありませんでした。なので、自分たちが映画ファンのネットワークを利用して支援の輪を広げていく必要があると考えました。

深田晃司監督(2020年4月13日配信 記者会見より画面キャプチャ)

深田監督「もう一つ、文化の多様性という観点でも非常に重要だと感じています。

海外の映画人の方々が日本に来て一番に驚かれるのは、ミニシアターの存在です。多くの国のアート映画やマニアックな映画など、必ずしも商業的に大ヒットするような映画ではない作品を、国からの支援が少ないにも関わらず、コツコツと上映している映画館が日本中に存在している。これにみんな驚かれます。

ハリウッド作品のような娯楽大作だけでなく、色んな国の映画が比較的簡単に観られる環境が、ミニシアターのおかげで、ギリギリのところで保たれているわけです。

海外では、アート映画が上映されてこそのシネコンという位置付けですが、日本では残念ながらシネコンはそのように発展してきませんでした。

映画業界の、そして社会の多様性を守るため、ミニシアターは非常に重要な役割を担っているのです。

俳優/映画監督・斎藤工氏(2020年4月13日配信 記者会見より画面キャプチャ)

斎藤氏「今は人命・医療に関わることが最優先だと思いますが、長期戦になっていくことを見越した場合、戻ってくる場所、希望の一つが、僕はミニシアターだと思っています。

僕自身、ミニシアターで育ったといっても過言ではなく、ミニシアターのスクリーンの窓から色んな世界の景色を見せていただいて、色んな出会いを頂きました。

ミニシアターという場所が存続されることを心から願っており、それに対し、緊急性・具体性という意味合いでは、このクラウドファンディングという形が一番、僕ら映画人が取るべきアクションだと思って賛同し、本日参加しました。

 

 なお本プロジェクトでは、喫緊でのキャッシュフローが必要になる状況に鑑みて、通常よりも素早い支払い手続きがMOTION GALLERY側でなされるとのことだ。

Tシャツ販売で、1館あたり約280万円の支援

 先述の#SaveTheCinemaプロジェクトと同日(4月6日)に、関西でも、京都・兵庫・大阪の映画館を支援するプロジェクト「Save our local cinemas」が6日間限定で実施された。

 これは、支援TシャツをBASEショップ上で販売し、その売り上げから諸経費を差し引いた金額を参加劇場に均等に分配するというもの。

 以下13の劇場がプロジェクトに参加し、4月12日までという短期間にも関わらず、Tシャツ受注総数は13,227枚、寄付は4,805口、1館当たりの支援額は約280万円にものぼった。

  • 京都みなみ会館
  • シネ・ヌーヴォ
  • 元町映画館
  • 神戸映画資料館
  • 出町座
  • 宝塚シネ・ピピア
  • パルシネマしんこうえん
  • 豊岡劇場
  • 第七藝術劇場
  • シアターセブン
  • 京都シネマ
  • 福知山シネマ
  • 舞鶴八千代館

若松プロダクションも応援基金を設立

 映画製作会社の若松プロダクションでも、5月3日に期間限定の「若松プロダクションミニシアター応援基金」設立を発表した。

若松プロダクションミニシアター応援基金ページ

 これは、同プロダクション所有の未DVD化作品をVimeoでオンデマンド配信し、視聴による売上の半分をミニシアター等、映画に携わる施設に寄付するというもの。

 第一弾ラインナップとしては、故若松孝二監督のデビュー作である「甘い罠」など同氏がメガホンを取った12作品、プロデュース3作品、メイキング1映像の、計16作品・映像が並んでいる。

  • 甘い罠
  • 鉛の墓標
  • 逆情
  • 恐るべき遺産『裸の影』
  • 歪んだ関係
  • 欲望の血がしたたる
  • 血は太陽よりも赤い
  • 性の放浪
  • 性犯罪
  • 現代性犯罪 暗黒篇『ある通り魔の告白』
  • 性家族『式場家族』
  • 売春婦マリア『新宿マリア』(プロデュース作品)
  • 夜にほほよせ(プロデュース作品)
  • 戒厳令の夜(プロデュース作品)
  • 赤い帽子の女(プロデュース作品)
  • 若松孝二監督 2006-2012 メイキング集

 今後も配信作品は増えていくとのことだ。

劇場公開作をオンライン公開し、利益を分配する「仮設の映画館」

 支援の輪は、オンライン映画館というスキームでも広がっている。

 映画配給を手がける合同会社東風では、ネット上に「仮設の映画館」を開館した。ここでは、同社が配給する想田和弘監督の新作『精神0』のほか、複数の劇場公開作品ラインナップを、PCやスマホ上で楽しむことができる。

仮設の映画館」での上映作品一覧(2020.5.4時点)

 鑑賞料金は実際の映画館と同じ。作品ページに行くと上映劇場一覧が表示されているので、好きな劇場を選択。するとそこから配信サイトである動画共有サービス・Vimeoのページに飛んでいき、チケットを購入する流れとなる。「作品 × 劇場」のセットごとにページが用意されているので、どこの映画館でどの作品が何回購入されたかが、全て可視化されるというわけだ。

「精神0」作品を選択した際の上映劇場一覧ページ

「精神0」をオンライン上映する「あつぎのえいがかんkiki」のページ

 費用についても、一般的な興行収入と同様、Vimeo使用料等を差引後に劇場と配給とで5:5で分配。さらに配給会社と製作者とで分配する。上映を予定していた劇場がそれぞれの事情により休映・休館した場合も、「仮設の映画館」では続映し、その収益分配の対象となる。

想田監督「もしこれがうまく機能すれば、映画館だけでなく、配給会社や製作者にも、通常の劇場公開を行った場合と同程度の収入が見込めます。そして『精神0』以外の作品でも同様のことが行えれば、たとえリアルな映画館が一時休館せざるをえなくなっても、収入の道が確保できます。したがってコロナ禍が過ぎた後、劇場・配給・製作の三者が生き残っている可能性が高まります。

もちろん、このような方策に舵を切ることに、映画作家としてためらいもありました。それは配給会社や映画館も同じ気持ちです。僕らは常に映画館で観てもらうためにこそ、映画を作ったり届けたりしてきましたから。本来ならば、満員の映画館でワイワイガヤガヤ、『精神0』を観ていただきたいのです。

しかし現在は非常時です。人が集まることや、公共交通機関で移動すること自体が感染拡大リスクを高めると言われている今、そして観客の皆さんが実際に劇場に来にくくなっている今、緊急避難としての代替方法も考えなければなりません。ここはインターネットを最大限に活用し、しのぐしかないのだと覚悟しています。少なくとも座して死を待つつもりはありません。『精神0』に関するインタビューや対談も、すべて対面ではなくビデオ通話に切り替えました。

(仮設の映画館内「『精神0』想田和弘監督のメッセージ」より一部抜粋)

期間限定で「mu-mo Live」にもオンライン映画館が登場

 オンライン映画館としては、mu-mo Live Theaterのプレオープン企画として開設された「STAY HOME MINI-THEATER powered by mu-mo Live Theater”」もある。これは、エイベックス・エンタテインメントの協力により「mu-mo Live」という無観客ライブ ・プラットフォームをカスタマイズしたものだ。

 4月29日〜5月1日の期間限定で、以下2作品が毎日上映され、各回本編上映配信終了後には、監督・キャスト・ミニシアター劇場支配人などのトークイベント(収録)も配信された。

  • 「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」&「TOKYO TELEWORK FILM」
  • 「眉村ちあきのすべて(仮)」

mu-mo Live Theater

 なお、費用については「仮設の映画館」と同様、mu-mo Live Theaterを使用して得た興行収入から必要経費を差し引いた金額を、上映作品ごとに定めた対象劇場と配給・製作サイドで5:5で分配するとしている。

自社運営の「アップリンク・クラウド」で

 ここまでは複数劇場がコンソーシアム型で協働するプラットフォームをご紹介してきたが、従前より映像作品のクラウド配信に力を入れてきたアップリンクでは、独自でCOVID-19対応サービスを展開している。

 同社では、5月22日公開予定の配給作品『ホドロフスキーのサイコマジック』について、4月22日より「寄付込みオンライン先行上映」実施を発表。同社が運営するオンライン映画館「アップリンク・クラウド」にて公開前日まで先行配信を行い、そこでの売上から諸経費を引いた金額を、本作の上映を予定している以下の全国映画館へ均等に分配するとしている。プランは、通常:1,900円と寄付込み:2,500円の2種類が用意され、いずれも72時間レンタルとなっている。

アップリンクホームページ「特集:ホドロフスキーのサイコマジック」より

参加映画館:
アップリンク渋谷(東京)、アップリンク吉祥寺(東京)、新宿シネマカリテ(東京)、シネマ・ジャック&ベティ(神奈川)、あつぎのえいがかん kiki(神奈川)、シネマアミーゴ(神奈川)、シネマテークたかさき(群馬)、あまや座(茨城)、シアターキノ(北海道)、シネマディクト(青森)、フォーラム八戸(青森)、フォーラム仙台(宮城)、フォーラム福島(福島)、フォーラム山形(山形)、フォーラム盛岡(岩手)、名古屋シネマテーク(愛知)、静岡シネギャラリー(静岡)、ほとり座(富山)、シネモンド(石川)、松本シネマセレクト(長野)、長野ロキシー(長野)、シネ・リーブル梅田(大阪)、アップリンク京都(京都)、元町映画館(兵庫)、シネマ・クレール(岡山)、横川シネマ(広島)、シネマ尾道(広島)、ufotable CINEMA(徳島)、KBC シネマ(福岡)、シネマ 5(大分)

 ちなみにアップリンク・クラウドでは、3月31日より、配給作品60本を、購入から3カ月間2,980円にてVimeo上で視聴できる配信キャンペーンもスタートしている。

上映作品リストは以下リンク先の通りで、ミニシアターの社会的役割を代弁するかのような、多様性に満ちた作品が名を連ねている。

https://note.com/uplink_jp/n/n26233be24e4b

浅井氏(アップリンク代表)

「今回をきっかけにして、オンラインで観る面白さを発見する人はたくさんいるかもしれません。でも、映画館で映画を観る面白さというのは、どんなにメディアが発達してストリーミング技術が発達しても、絶対になくならないと思います。

ミニシアター・エイド基金の発起人がおっしゃっていた通り、映画の多様性を担保してるのが、僕ら全国のミニシアターだと思います。

ですので、街に出て映画館に映画を観にきて欲しいなと、強く、強く思います。

(2020年4月13日配信 記者会見より)

 

編集後記

オンライン記者会見で斎藤工さんもおっしゃっていたことですが、ミニシアターにはそれぞれ「カラー」があり、独自の世界観のもとで選りすぐりの作品が上映されています。

 

その多様性こそが大手シネコン等にはない魅力であり、多くの人々の価値観に風穴と開けてきた「文化としての価値」だと感じます。

 

私自身、本記事でも取り上げたアップリンクをはじめ、山梨のテアトル石和(2018年に閉館)や北海道のシアターキノなど、お気に入りのミニシアターを通じて様々な世界を知ることとなりました。

 

そんなミニシアターがかつてない危機に瀕している中で、多くの支援の輪が自律的に広がっていることを知り、涙が流れるほどに感動しました。

 

人生に彩りを与えてくれ、豊かさとは何かを問いてくれるミニシアターを無くさないためにも、一人でも多くの方に、各支援の取り組みを知っていただきたいと感じた次第です。

2020年4月13日配信 記者会見にて(写真左から俳優・渡辺真起子氏、俳優/映画監督・斎藤工氏、深田晃司監督 ※株式会社MotionGallery提供)

長岡武司

LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

LoveTechMedia

テクノロジーに触れないことによる”愛”損失を最小限に留める。
LoveTechMediaとは