令和元年10月19日(土)、“未来の自分についてちょっと真剣に考える”をコンセプトに、東京・有楽町にて開催されたイベント『ミライfes’2019 〜20 代女性のリアル〜』。主に20代女子を対象にした、カラダ・恋愛・キャリアそれぞれの専門家によるセミナーおよびパネルディスカッションが展開され、未来に向けた“気づき”の風穴を開けるきっかけが提供された。
3部構成で展開された本イベント。後編では、婚活コンサルタント・澤口珠子氏による「出会いの化学室」(第2部)と、20代女子が気になる話題に人生の先輩たちが赤裸々に語ったパネルディスカッション(第3部)の内容について紹介する。
2035年には5人に1人の女性が生涯未婚
第2部では、婚活コンサルタントとして活躍中の澤口珠子氏が登壇。理想のパートナーを引き寄せる外見・マインド作りのプロフェッショナルである澤口氏には、北は北海道から南はシンガポールまで各地から相談者が集まってくるという。
「20~30代で東京に住んでいて『出会いがない』なんて、怠けています!」
開始早々、澤口氏が言い放った。
だが現在「年齢=交際経験なし」という方が増えているのも事実。20代未婚女性の34%は交際経験なし、つまり3人に1人がこれまでお付き合いしたことがないのだという。
またこれに付随する情報として、2015年厚生労働白書によると、約7人に1人の女性が生涯未婚だという。この数値はまだまだ上がる想定であり、2035年には5人に1人の女性が、3人に1人の男性となる見込みだ。まさに未婚大国ニッポンである。
では「出会いがない」と感じている女子たちは一体どうしたらよいのか。一つの解決策として、澤口氏は「マッチングアプリ」を提示する。
背景にあるのは、日本における婚活サービスの伸び。生涯未婚率が増える一方で、現在約10人に1人が何かしらの婚活サービスで結婚まで至っているというデータが発表(※)されている。
※出典元:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ「婚活実態調査2019」
そしてこの大きな要因として、特にここ数年で急進しているのが、マッチングアプリをはじめとする「ネット系婚活サービス」だという。
澤口氏曰く、選び方が重要らしい。
「ツールの選び方として、自分がストレスなく使えることが大切です。婚活がストレスになったら本末転倒です。
ストレスなくできて、自分の魅力を正当に評価してもらえる。これがツール選びのポイントです。」
ちなみに、今年8月に当メディアから発表した「出会い支援サービス カオスマップ2019」は、澤口氏監修のもとで作成したものだ。
[clink url=”https://lovetech-media.com/lovetechlifelab/deaicaosmap/”]
こちらも併せてご覧いただきたい。いかに婚活サービスが世の中に氾濫しているかがわかるだろう。
今の自分は何点ですか?
自分にとって良いツールを選べたとしても、そこに“辛さ”や“つまらなさ”を感じているとしたら、注意が必要だ。
「辛い婚活、つまらない婚活はみなさんをくすませます。
つまらないことしている時って、絶対にみなさん、素敵じゃないですよね?そんな状態の時にアプローチしてくる男性って、絶対に素敵な人ではありません。そんな出会いをするくらいなら、仕事や自分の好きな趣味に打ち込んでイキイキする方がいい。そんなイキイキしたみなさんを見て、本当に素敵な男性がアプローチしてくれるようになります。」
婚活で大切なことは「マインド」「テクニック」「出会いの数」だと澤口氏は言う。
「目安として1対1で30人の男性とデートしてみてください。30人とデートしても結婚に至らない場合は、自分自身のマインドに問題があります。」
ここで澤口氏の言う「マインド」とは、つまりは“自己肯定感”を指す。恋愛のうまくいかない女性は自己肯定感が低い傾向にあるという。
「100点満点が理想の自分だとしたら、今の自分は何点ですか?」
澤口氏は会場にいる女性たちに問う。
「自分でつけた点数が、今あなたが引き寄せられる異性の点数です。でも、皆さんにとっての“理想の男性”は、100点満点の男性だと思います。
理想の男性と本当に付き合いたいのであれば、まずは自分自身が100点満点になることです。」
では自己肯定感を上げて自分自身を100点満点にするには、どうしたらよいのか。
「自己肯定感を上げるにはステップがあります。まずは自己受容感、つまり自分を受け入れる力を養うことです。
『良い自分は好きだけど、ダメな自分は嫌い』という人はすごく多いです。でも『こんな嫌いな自分を好きになって』というのは、とてもおこがましいですよね。
良い自分も悪い自分も好きというマインドをしっかり持つことが重要です。」
出会いが楽しみになる30分間の講演だった。
パネルディスカッション「20代のリアル」
第3部は、「20代のリアル -カラダ・キャリア-」というテーマで設置されたパネルディスカッション。
20代は仕事も恋も遊びも充実し、体力も女性としての魅力も最高潮だと言われる時期。だが、カラダの調子も人それぞれで、キャリアや恋愛の選択肢も多様化する昨今、これからの人生について不安に感じる女性も多い。
パネルディスカッションでは、第1部にも登壇した北村邦夫氏、女性の健康支援のためのNPO法人HAPで理事長を務める宮原富士子氏、女性向け恋愛WEBメディア『AM(アム)』編集長を務める金井茉利絵氏、株式会社Cheering代表取締役であり二児の母でもある長崎真友子氏の4名が登壇。
モデレーターは、不妊症看護認定看護師として都内の不妊治療専門クリニックに10年以上勤務した経験もある株式会社ファミワンの西岡有可氏。以前、当メディアでも取材させていただいた人物だ。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/famione20180709/”]
こちらのパネルディスカッションでは、会場の女性たちの質問に答えていく形式で進行していった。
<登壇者> ※写真左から順番に
- 北村邦夫(きたむら くにお)
一般社団法人日本家族計画協会 理事長/家族計画研究センター 所長/産婦人科医 - 宮原富士子(みやはら ふじこ)
NPO法人HAP(HealthyAgainProjectsForWoman)理事長/薬剤師 - 金井茉利絵(かない まりえ)
AM編集長 - 長崎真友子(ながさき まゆこ)
株式会社Cheering 代表取締役 - 西岡有可(にしおか ゆか)
株式会社ファミワン 不妊症看護認定看護師 ※モデレーター
仕事も子育ても、天秤にかけない
―仕事の都合で、結婚しても彼と一緒に住めない可能性があります。別居婚や事実婚ってありですか?
北村氏:ありだと思いますよ。日本では結婚しないで子供を持つ割合は2.8%に過ぎません。しかしフランスでは6割の家庭が『結婚をしてから子供を持つことをこだわらない』と答えています。
『結婚せずとも子育てをしていく』という家庭が多くあります。みんな違って良いと思います。
―今仕事だけで精一杯なのに、結婚してから家事と仕事を両立できるか不安で、結婚に踏み出せません。みなさんも悩みましたか?
宮原氏:私は長年薬局に勤め、多くの若い女の子を育ててきました。中には結婚して子どもを持つ女性もいます。やはり仕事に子育てにと苦労されていますが、私はそんな彼女たちに日々『結局今一番大切なものは何?』と問うています。
『仕事で精一杯』と言うけれど、今は世の中にたくさんの仕事があるので、自分がそこに縛りついていないと生きていけない、という時代ではありません。
週のうち3日は一生懸命働くけれど、週のうち3日は自分のために使うという考え方も良いと思います。まずは仕事も子育ても天秤にかけないことが大事だと思います。
―30代、40代になってあのときこうしておけば良かったなど、20代での反省点・考えておくべきことがあったら知りたいです。
北村氏:人生はその連続ではないでしょうか。しかし私は20代の生活を再びやりたいとは思いません。私たちは自分の色を付けていきながら歳を重ねて成長していきます。その中で「今できること」「今やるべきこと」に精一杯向き合うことが大事です。
宮原氏:女性の場合は40才を一つの区切りと考えることをおすすめします。40才までは男性と競争しないこと、そして自由にキャリアを紡いでいくのがよいと思います。
もう一つはメンターを持つこと。私たちみたいなよく働く人をメンターにすると、仕事も応援してくれるし、人生の相談にものってもらえると思うので、そういう信頼できる人を一人作っておくとよいと思います。
長崎氏:私は20代にやり残したことがたくさんありました。旅行も行きたかったし、もっと仕事もしたかった。
一つ言えることは、子どもができると遠出の旅行は全然行けませんし、小さい子どもがいるとできることが限られるので、結婚前までに自分がやりたいことは思いっきりやっておくとよいかもしれません。
金井氏:私はかつて父に「30才がゴールと思っているかもしれないけれど、人生はまだまだこれからだよ」と言われました。自分にもまだまだやるべきことがあるので、まずは目の前にあることを一所懸命にやりたいと思います。
ただし。強いて言えば20代の時の方が、体力も情熱もあったので、やりたいことがある方は20代のうちにやりきってしまった方が、気合が入るかもしれません。
女性は少しくらい“ズルさ”があってもよい
―女性が世の中で活躍していくために必要なことは?
長崎氏:やはり自己肯定感が大切だと思います。自信を持てる人は羨ましいと思う方は多いですが、自信というものは自分で生み出すものなので、それさえできれば何でもできると私は思っています。
私は愛情をたくさん受けて育ってきたので、昔から根拠のない自信だけはありました。だからこそ、アナウンサーになるという夢を叶え、起業もできたのだと思っています。
全ての夢を叶えてこれたのは、自分の中に『絶対うまくいくはずだ、もしうまくいかなかったとしても絶対うまくいくようにする』という自信と根性があったから。それさえあればみなさんも自分の道を切り拓いていけるのではないかと思っています。
金井氏:仕込みは必要だと思います。女性は素直すぎる方が多いので、少しくらい“ズルさ”があってもよいかと思います。自分がやらなきゃいけない時は必ずあるので、そうなった時に『絶対に自分がやってやる』と思うことが重要だと思います。
宮原氏:男と女は違う生き物なので、決して男の人と競争しようとしてはいけないと思います。あとはオン&オフの切り替えも大事です。たまに2割くらいは『本当に同じ人間かよ』と思うくらい、だらけている自分がいても良いと思います。
あとは最後に、やはりメンター。自分を絶対に応援してくれるという人を作っておきましょう。
北村氏:活躍というのは、『世の中を動かす』とか『何か作り出す』とか、目立つこと“だけ”を指すのではないと思います。
Only one for one。要するに一人しかいない自分、一度しかない人生を大切にした方がよいということです。
それと、私は他人から依頼されることは、絶対に拒否しません。なぜなら自分が認識していない能力を、他人の目からは見えているかもしれないから。上司から依頼されることは、まさに自分が気づいていない能力に対しての要望かもしれないので、どんな小さなことでもやってみる。それが活躍のきっかけになると思います。
何かと不安なことが多い20代。だけど、そもそも悩まない人なんていない。きっと登壇した先輩たちも悩みながらに人生を歩んできたにちがいない。20代女子たちが、これからの人生を歩んでいくために非常に参考となるイベントだった。
イベント最後に締めの挨拶をする株式会社ファミワン 代表取締役 Founder 石川勇介氏
編集後記
性と医療、そして出会いとキャリア。
ファミワン主催の「ミライfes’2019」では、働く20代女性のための様々なトピックが盛り込まれていました。
知っているのと知らないのでは、取りうる選択肢が変わってきます。
婚活の会社は婚活だけをやる・妊活の会社は妊娠・出産のことだけをやる、ではなく、横断的な視点を持つことが、男女関わらずライフデザインを考える上で大切なことなのではないでしょうか。
妊活という正解のない領域を扱うファミワンだからこその1dayイベントだったと感じます。
第2回目の開催にも期待しましょう!