2024年4月30日、気鋭の若手クリエイターによるグループ展「404チャイナ展」(読み方:エラーチャイナ展)が、東京・東日暮里にある古いミニシアターを改築した会場「元映画館」にて開会した。会期は4月30日〜5月6日の一週間。メインテーマが “サイバー&チャイナ+Y2K” ということで、会場各所にはネオンライトが設置され、会場の雰囲気も相まったノスタルジックな雰囲気の中、チルでポップで、それでいて甘美な哀愁のようなものを感じる空間へと仕上がっていた。
このイベントのことを知ったのは、昨年3月に開催された「vaporwave展」を通じてだ。と言っても、その会の存在を知ったのはイベントが終了して1年ほど経過してから。仄暗い雰囲気のVaporwave好きな人間としては致命的なアンテナの低さを呪いながら、せめて記録だけでも見返して当時の雰囲気に没入しようと考え、専用Baseショップで図録を購入したら、まさかのそれも売り切れ(オンラインショップ未反映だった)との連絡。非常に残念だったが、その際に併せて紹介されたのが、次回展示企画となる「404チャイナ展」だったというわけだ。
404チャイナ展初日の4月30日は1時間(18時〜19時)だけのレセプション営業だったわけだが、企画者、出展アーティスト、それから来場者の熱量が素晴らしく高く、会場全体が一つの作品として仕上がっていて、いつまでもその場に同化していたくなるようなクオリティの高さだと感じた次第だ。ということで、初日の会場の様子、及び運営サイドへのインタビュー内容等をレポートしていく。
昭和な空間でドット絵ゲームの新作をプレイして、早々にテンションがぶち上がる
会場となった「元映画館」は、30年前に閉館した映画館「日暮里金美館」を改修したアート/イベントスペースだ。1926年にオープンし、戦災で消失した後に1950年に現在の場所(旭ビル2階)にて再オープンしてから、1991年10月まで地域に映像エンタメを提供し続けていたという。一時は都内を中心に20館の劇場を擁するチェーンだったということで、詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。
そんな昭和感が強く残るゲートを潜ると、そこにはエキゾチックで近未来な空間が広がっていた。入り口のすぐ横にはお土産コーナーが設置されており、公式グッズのほか、(souvenir)参加のアーティストによるグッズが所狭しと並んでいる。
お土産コーナー上部に並ぶVHSテープは元映画館のもの。『恐竜家族』や『原始家族』など、懐かしいタイトルが並んでいる。
展示会場へと進むと、正面にフロアスタンド型スクリーンが設置されており、なにやら懐かしい感じのゲーム画面が投影されている。
こちらは映像作家・m7kenji(読み方:エムナナケンジ)さんの出展ブース。デジタルアートとピクセルアートに特化したアーティストということで、スクリーンには自作ゲームが投影されてプレイできるようになっており、その横にはステッカーやLCDキーホルダーが展示販売されている。
何がいいって、会場でのゲームプレイ用のコントローラーが、かつてのNES(Nintendo Entertainment System)のものだということ。端的に表現するとこれは海外版のファミコンで、筆者自身、米国に住んでいた幼少期にひたすらこれでスーパーマリオブラザーズ(マリオ1)を遊んでいた記憶が甦る。m7kenjiさんにこれにしている理由を尋ねたところ、シンプルなボタン配置を色々と探していったところ、「NESのコントローラーが一番しっくりときたから」だと言う。
こちらのゲームの主人公は、サイバーパンクな世界でひたすらゴミを拾って生きる清掃屋。2年ほどかけて隙間時間に粛々と作り進めていったもので、まずは10分ほどでクリアできる第一章が完成した段階だという。タイトルはまだ未定で一般リリースもされていないが、「ゆくゆくはゲームボーイカートリッジで実際のモノを出していきたい」と、m7kenjiさんは今後の構想を語る。
特にこだわった部分はどこかと訊いてみると、「タイルの作り込み」とのこと。昔のゲーム機での起動を想定している以上、一度に画面上で使用できるタイル数に制限があるということで、以下の投稿にあるように、1タイルに複数タイルのドットと錯覚させるようなデザインを施しているというわけだ。
これがこうじゃい pic.twitter.com/3ScsjZk5ST
— m7kenji #404チャイナ展 4.30-5.6 (@m7kenji) April 27, 2024
さらに、こだわり繋がりでもう一つ紹介されたのが、展示販売されているLCDキーホルダー。こちらもドットへの偏愛が詰まった逸品になっている。
「こちら、昔のゲームボーイカラーとかで採用されていた反射型液晶を再現して作成しています。裏に銀紙を貼っていて、印刷だけど細かいドット仕様にするなどして、本当に写っているようにこだわって作りました」
遂に長年の構想を実現できた…。本物のLCDスクリーンに映し出されるかの様なドット絵キーホルダー。
— m7kenji #404チャイナ展 4.30-5.6 (@m7kenji) December 12, 2022
これぞドット絵を嗜む至高の在り方!!うおおおおお!! pic.twitter.com/kKWLhfWbbq
入場した一発目の展示が筆者個人としてドンピシャの内容/世界観だったので、各ブース5分くらいでサクッと見ようと思っていたスケジュールが早々に崩れ、20分近く話し込んでしまった。
チャイナと404(エラー)、それからノスタルジーが混在する空間
元々は映画館スペースだったということで、中にはTOHOシネマズの一般的なスクリーンのような広さの空間を想像する方がいるかもしれないが、昔の映画館は往々にして狭いもの。会場となった元映画館も、メインフロアは65㎡ということで決して広いスペースではない。ただ、天井高が5mもあるので、狭苦しさを感じることはない。
#404チャイナ展 の会場レイアウトのデモができました🪩 pic.twitter.com/ndxtVkBJQn
— 二ロス屋さん(404チャイナ展) (@nirohsy) February 27, 2024
会場は、建物2階部分のメインフロアと3階部分のバーフロアに分かれており、前者にて大半のクリエイター/アーティストの作品展示がなされている。ということで、まずはメインフロアの様子を写真を通じて簡単にご紹介していく。
キョンシー🫶🏻 #404チャイナ展 pic.twitter.com/DZcB7Xjnzg
— やもはちこ🐝☁️ (@yamo8cos) April 15, 2024
404チャイナ展ではリクさん(@ri9ri9_404 )に作って貰った名刺持ってくからいっぱい配りたいす!
— たゆうおわ (@tayuuowa) April 29, 2024
嬉しくて沢山印刷したもんな〜(300枚)
愛用してるカメラのイラスト描いてもらっちゃったし字も手書きで書いてもろたたし最高なんすよ! pic.twitter.com/VWKpHDpnsV
2階のメインフロアを一巡し、今度は3階のBarコーナーへ。今回は、共同主催者のお一人・Panzoo(読み方:パンズー)さんが「Barパンズー」という形で飲食コーナーを企画・運営している。
「制作チーム.pn9」が考えるvaporwave展・404チャイナ展
会場を一周してみて感じるのは、アーティスト/クリエイター一人ひとりの作品愛はもちろん、そんなクリエイター各位、さらには会場全体に対する運営メンバーからの深い愛情だ。こんな豪華なメンバーを巻き込んで、GWの一週間ぶち抜きで作品を展示する。考えただけで大変だろうし、その割にじゃんじゃか儲かるような仕組みなのかというと、利益はあるのだろうがそこまでの大きな金銭的リターンにつながると思えない。2022年5月開催デザフェスでの出会いをきっかけに運営チームとなった「制作チーム.png」の3名は、それぞれどのようなモチベーションでvaporwave展に続く第2回目を企画・運営しているのだろうか。それぞれ伺ってみた。
※3名ともお忙しいので個別にお話を伺いましたが、記事では同じ場にいたかのように編集しています
それぞれの作家の作風の最大公約数としてのVaporwave
--今回の404チャイナ展に参加する前から感じていたことではありますが、制作チーム.pn9のお三方(Panzooさん、1:09さん、ニロス屋さん)って作風が大きく違いますよね。なぜ最初の企画テーマが「Vaporwave」になったのでしょうか?
Panzoo:私は極才色のチャイナパンクテイストで、ニロス屋さんはVaporwave寄り、そして1:09さんはパステルカラーで女の子女の子したい感じ。この3人に共通するジャンルって一体何だ?となったときにVaporwaveだったんですよ。
--Vaporwaveにも細かいサブジャンルがあると思うのですが、そういうのもひっくるめて「Vaporwave」と。
ニロス屋さん:それぞれの作家の作風の最大公約数みたいなところで、Vaporwaveというコンセプトを出したんです。Vaporwaveであれば、みんな結構似通った要素をそれぞれの作品の中に持ってるよねと。僕たちの作品を同じ場所で展示するんだったら同じテーマがいいよね、そうしたら何がいいかなって考えた中で、まだみんなが触っていない新しいところでVaporwaveテーマで展示をしたら面白いんじゃない?って言ってやりましたね。
Panzoo:ですから参加されたアーティストの方々にも、各々が考えるVaporwaveを表現してくださいという広い視点でのVaporwaveコンセプトでお伝えしていました。
大変すぎて風邪なりかけたりしつつなんとかふんばってます ニロス屋です#vaporwave展 今日11時から開場です◎🎉 よろしくお願いします! pic.twitter.com/a6TCQ9I5Fy
— 二ロス屋さん(404チャイナ展) (@nirohsy) March 22, 2023
--実際、vaporwave展をやったあとの感想としてはいかがでしたか?
ニロス屋さん:こちらのnote記事にも書いたのですが、当初予想の倍の来場者数だったので、シンプルに感動しました。ほんといろんな方にいらっしゃってもらって、それこそVaporwaveに強い思い入れがあるからこそ、クレームをいただくこともありました。
--どんなクレームですか?
ニロス屋さん:開会当初、音楽を流していなかったんですよ。というのも、我々の作家性から導き出した最大公約数としてのVaporwaveの中に、まだ音楽というものが存在していなかったんですよね。ですから、一旦映像作品を作って、それに合う音楽を探していきました。その方、2回会場にいらっしゃったのですが、流れている音楽を聴いて「これだよこれだよ」みたいな感じになられていましたね。
--そこから今回の404チャイナ展になったのはどういう流れだったのでしょうか?
Panzoo:これについてはメインで企画を考えていったのが1:09さんだったんですよね。役割分担としてはざっくりになりますが、企画&広報:1:09さん、企画補助&運営作業:私、運営作業全般:ニロス屋さんという感じです。
1:09:例えば「犬猫かわいい展」とかだと、あったら寄るけど別に絶対行くかって言われたら、他にも同じようなのやってるしなみたいな感じがあると思うんです。でもサイバーとかチャイナって、本当に大好きな人が「この作家さんのこういう作品が好き!」って感じのジャンルだと思っていて、そういうテーマにすることで結果として確実に購買意欲がある方/求めている方にいらっしゃっていただけるかなと思ったのが一つのポイントでした。
--なるほど。メインのカラートーンも、前回のvaporwave展と打って変わって、爽やかな水色ベースになっていますよね。これも何か意図があるのでしょうか?
ニロス屋さん:前回はvaporwaveでピンクだったから、今度は逆で水色っぽいやつにしよう、みたいな感じですかね。
1:09:チャイナって、中華街みたいな赤くて華やかなイメージだと思うんですけど、それにサイバーを足して、青と白のちょっとクールでサイバー的な雰囲気のあるチャイナをテーマにやろう!という感じで進んでいきましたね。だから会場内にも、青いライトとかを多く配置しています。青いライトがメインの中に赤いチャイナ飾りがあると、ちょっと怪しい感じになって、まるで中華街の路地裏に来たような空気感を演出できるので、そういう点でも需要に刺さるんじゃないかなっていう感じですね。もちろん、私自身がチャイナ好きっていうのもあります。
出展料/マージンをゼロにすることが、新しい何かを一緒に作るモチベーションに繋がる
--前回はクラウドファンディングを実施した上で開催されていましたが、今回はそもそも実施していませんよね?なぜでしょうか?
ニロス屋さん:前回やってみて、正直、いまいちだったんですよ。もちろん、皆様からのご支援は非常に有り難かったのですが、実際のところクラウドファンディングで最初から支援してくれるお客様と、来場してお金を落としてくれるお客様、通販ショップを開いてお金を落としてくれるお客様の売上感が、そう変わらないことも分かりました。それだったら、自分たちで通販ショップを開いてやった方がよっぽどいいんじゃない?ってなりまして。それで実際に今回その方針でやったら、当たっていましたね。ファンの方、見てくださる方さえしっかりと掴んでおくことができれば、プラットフォームって関係ないんだってことが分かりました。
--僕もそうですけど、この空間に来たら、公式通販サイトでも何の抵抗もなくお金を落とすと思います。とはいえ、やはり集客面で不安とかはなかったのですか?
ニロス屋さん:今回出展いただいているクリエイターさん達って、ほとんどが全員プロなんですよ。しっかりした固定のファン層がいて、SNSでの集客力もある。すでに強い人たちがなぜか参画してくださっているので、集客については正直、そこまで心配していなかったですね。
--なるほど。運営費としては、やはり出展者の皆さまからの出展料やマージンとかになるんですかね?
1:09:いえ、基本的に全て通販&スポンサーで賄っています。
--あ、そうなんですね!
ニロス屋さん:展示会をやった時に何が一番モチベーションになるかっていうのをみんなで話し合った時に、出展料やマージンの負担がだるいよねという話が挙がってですね。そうなると、いかにして自分のブースの売上が上がるかがモチベーションになっちゃうじゃないですか。面白くないですよね。
1:09:その代わり各アーティストさんとコラボアイテムを創って、それが売れたら運営費としていただく、という形にしています。仮に誰か一人のアーティスト目的でいらした来場客も結果的に出展者全員のことを見てくれるので、名刺交換とかして、今後のお仕事とかにつながる可能性も出てくる。そんな感じですね。
ニロス屋さん:そしたらお互いにダメージがないし、プラスは大きいし、新しい何かを一緒に作るモチベーションになったりしていますね。
--出展するアーティストさんはどうやって決まっていったのですか?
ニロス屋さん:基本的には、私たち3人が気に入っている方で、今回のコンセプトに合致しそうだなと思った方々にお声がけさせていただきました。
--例えば僕が最初にお話ししたドット絵作家のm7kenjiさんとか、この中だと結構異色だと感じたのですが、どうやってこういう人見つけてくんだろうみたいに思いました。
ニロス屋さん:m7kenjiさんは珍しくて、前回のvaporwave展に来てくださって、そこでなんか楽しくなったのか、いきなり作品を見せてくれたんですよ。「今、こういうのを作ってて」って、折りたたみスマホの中でできるゲームをプレイしながら紹介してきて。「なんかゲーム作る人来ちゃったよ」「面白い人来ちゃったね」となって、そのまま 笑。そういう意味では、ちょっと珍しいルートでの出展者さんですね。
何回でも来たくなる展示会にするための絶妙な空間設計
--来場者としてはものすごくいい体験をさせていただいているのですが、運営としては絶対に大変じゃないですか。ヒト・モノ・カネすべての調整が大変でしょうし、バンバン儲かるような話でも正直ないと思います。そんな中で、皆さんをモチベートしているのは何なのでしょうか?
ニロス屋さん:改めて問われると難しい質問ですね 笑。ここに出展している方って、普段はデザフェスとか、そういうなんかちょっとサブカル要素込みのマーケットに出している作家が大半なんですよ。そういう展示会って、だいたいのプロセスやルールがパターン化されちゃっているんですよね。その中で何か楽しいことができるかって言っても、そんなに考えられないじゃないですか。やはり何でもできる場所を作るのが、自分たちにとっては一番いいんだろうなーみたいなのがあって、デザフェスの外に、デザフェスより面白く、デザフェスよりおいしい場所を作ろうぜみたいな感じで始まった企画なんですよね。そこがコアにあると思います。もちろん、好き放題したいけど、かといって誰も来ないんじゃ意味がない。楽しいし、お客さんもしっかりと来るっていう二軸が必要なので、ここをめちゃめちゃ考えましたね。
--なるほど。前回から今回にかけて、改善されたことなどあれば教えてください。
1:09:vaporwave展の時は毎日同じプログラムでやっていたのですが、今回は音楽デーとかスイーツに力を入れている日とか、日毎にちょっとした違いを入れています。
--404-(music)とは?
1:09:DJパーティーです。と言っても、みんなで「ワーー!」ってやるよりかは、BGM的な感じで流すイメージに近いと思います。展示を見ながらたまに座ってゆっくり耳を傾けるみたいな。この空間をよりよくするという意味でのDJイベントですね。
ニロス屋さん:毎日それぞれ別のイベントを発生させて、何回でも来たくなる展示会にするのがすごく大事なんです。というのも、この空間ってすごくSNS発信力があるんですよ。そもそも展示空間自体、物理的な3Dモデルを作って、光量とか色の数とかをしっかりと計算して設計しています。もちろん細かいところまではさすがにできていないのですが、「この辺は、明かりがこれくらいだから、ここは点けないようにしよう」とか「ここはいるからライトを借りてこよう」とか、そういうのを結構作り込んでる会場になっててですね。前回もいろんな方がSNSで拡散してくださったので、ここはマストで力を入れるべきだなというので、空間設計に加えて日毎の変化も取り入れることにしました。
--3Dモデル作成はすごいですね。それで思い出したのですが、前回のvaporwave展ってVR空間で会場内部空間の3DCGを公開されていましたよね?今回はされないのですか?
ニロス屋さん:今回はやっていないですね。前回はcluster(クラスター)というプラットフォームで見れるように載せていたのですが、取り組みとしてチャレンジしたかった以上に、業務上必要だからやったっていうのが大きかったんです。
--というと?
ニロス屋さん:前回のvaporwave展って、出展者数が今回よりも多く、この会場利用も初めてだったので、「ここの会場でこういう風にレイアウトしますよ」っていうのをみんなに間違いなく周知するにあたって、オンラインでの確認手段がどうしても必要だったんです。
🕺 https://t.co/g4t1geIR0J pic.twitter.com/epeTNkFoUr
— 二ロス屋さん(404チャイナ展) (@nirohsy) March 13, 2023
--そうなんですね。もともとはクローズドな用途だったところを、clusterというプラットフォームに載せるのって、結構大変だったんじゃないですか?
ニロス屋さん:そこそこ大変でした。でもその時はまだ、3Dモデルをスマホでサクサクと見れるメタバースプラットフォームってclusterくらいしかなかった気がするんですよね。みんなが持ってるものといえばスマホ。スマホで自分のブースがどれくらいのサイズか等を、ゲームみたいにぐるぐると動き回りながら確認できるということで、その時はclusterでの構築を頑張りましたね。
それぞれが考える404チャイナ展の見どころ
--まだ初日のレセプション段階ではありますが、それぞれが考える見どころなどを教えてください。
Panzoo:私が作品を創る上で得意としているのが「可愛さの中に盛り込まれた違和感」です。ですから、まずはBarパンズーでその違和感を楽しんでいただいた後に、各作家さんが繰り出すチャイナ&エラー空間を楽しんでいただくのがいいかなと思います。
特性ドリンク「チェリータイガー」うまし
— 緑翔 ヤモリ(ろくとび やもり) (@rokutobiyamori) May 1, 2024
青いライチシロップとレモネードの組み合わせが爽やかな味わいでございます
カラフルな寒天も見た目に楽しいぞ
バーは2階にあるよ
※店内は禁煙です#404チャイナ展 pic.twitter.com/sbVgUp9g2t
--可愛さの中の違和感、いいですね。
Panzoo:例えばこちらの奸智商店の「好ましいコンサート会場」というやつは、一見かっこいい感じですが、舞台はゴミ捨て場だったりします。このシリーズは、元々2年前に1枚のグラフィックを作りまして、それをベースの世界観として派生していったものになるのですが、どれもちょっとした違和感/毒があるので、その辺りを楽しんでいただきたいです。
1:09:vaporwave展の時もそうだったんですけど、作品はもちろん、やはりこの空間全体がおすすめですね。「もうあと1時間ぐらいいたいな 」「そこのソファに座ってぼーっと空間を楽しみたいな」「なんか写真撮りたくなっちゃうなー」みたいな。先ほどニロス屋さんも言っていましたが、だからこそ、全体的に照明を暗めにしているというのもありますね。
--観葉植物とかソファとか、細かいところ一つひとつが世界観に貢献している気がします。ニロス屋さんはいかがですか?
ニロス屋さん:うーん、いろいろとありますが、PEPE SWANSEさんとのコラボ商品のハートバッグですかね。結構な力作なんですよ。こういう感じで、コラボ企画を通じて普段チャレンジしていないことに挑戦するのは楽しいし、やりがいがあるし、出展者さんにとってもいい機会になったらいいなと感じています。
お仕事から「推し事」へのシフトを感じたエラー空間
気づいたら、オープンの18時から1時間55分が経過しており、あと5分で会場の撤収時間という状況になっていた。思わず時間を忘れてクリエイター/アーティストの皆さまとの会話に夢中になっていたわけだ。
実業家の孫 泰藏さんが今年1月に以下のポストをして「推し事」という言葉がにわかに注目され始めているが、まさに今回、熱量の高い素晴らしい取り組みに触れて、この404チャイナ展を存分に推したくなってしまった次第だ。
今回は時間の都合でMax2時間までしかいられなかったが、できる事なら3階でドリンクを飲みながら仕事をして、たまに気晴らしにメインフロアに降りてぶらぶらするような、そんな過ごし方をしたいと感じた次第だ。ゴールデンウィークの予定に余白がある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。
取材/文/撮影:長岡武司