記事の要点
・コロナ給付金寄付実行委員会、公益財団法人パブリックリソース財団、ヤフー株式会社、株式会社トラストバンクが、新型コロナウイルス感染拡大における経済対策として一律給付される現金10万円(特別定額給付金)を、資金的支援を必要としている産業に寄付できる「コロナ給付金寄付プロジェクト」を立ち上げ。発起人は212名。
・寄付者は、「医療」「福祉・教育・子ども」「文化・芸術・スポーツ」「経営困難に追い込まれた中小企業」の4テーマから選んで寄付をすることが可能。
・本プロジェクトからの助成を希望する各テーマの個人・団体・企業等は、5月18日より募集開始。約1週間ほどの公募期間をへて、6月初旬には選定の審査員と共に寄付先を決定し、6月末までには各団体の手元に支援資金が届き始めるように進めるとしている。
LoveTechポイント
政府から発表された給付金を受け取るか受け取らないかで悩んでいる方が多い中、明示的に支援分野を定義し、寄付という選択肢を提供している点が、LoveTechだと感じます。
「できる人ができる範囲で」の姿勢を前提に、寄付による支援を希望する方は、本プロジェクトを活用してみてはいかがでしょう
編集部コメント
2020年5月1日より、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)緊急経済対策として、全国すべての日本国民を対象に一律給付が開始された「特別定額給付金」(現金10万円)。
その受け取りを巡って様々な議論がある中、使い道の選択肢を拡張し、資金的支援を必要としている個人や企業等に安心して寄付できる民間プラットフォーム「コロナ給付金寄付プロジェクト」が、5月8日に設置された。
これは、専門家有志発起人212名と共に、公益財団法人パブリックリソース財団、ヤフー株式会社、株式会社トラストバンクが共同で発表したもの。具体的には「コロナ給付金寄付実行委員会」という任意団体が発足され、ヤフーとトラストバンクがそれぞれ寄付ページを開設し、パブリックリソース財団の協力のもと運営される座組みとなっている。
[写真左上:佐藤大吾氏(NPO法人ドットジェイピー 理事長、本プロジェクト発起人代表)]
[写真右上:岸本幸子氏(公益財団法人パブリックリソース財団 代表理事・専務理事)]
[写真左下:川邊健太郎氏(Zホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO 兼 ヤフー株式会社 代表取締役社長 CEO)]
[写真右下:須永珠代氏(株式会社トラストバンク 会長兼ファウンダー)]
※5月8日実施 オンライン記者会見にて
ヤフーは「Yahoo!募金」を、トラストバンクは「ふるさとチョイス」をそれぞれ運営していることから、各プラットフォーム力を活かした仕組みというわけだ。
ちなみにパブリックリソース財団とは、個人や企業の資金力を社会的事業への投資につなぐ寄付推進の専門組織であり、内閣府認定の公益財団法人として活動する団体。「意志ある寄付で社会を変える」をミッションに、テーマ基金、オリジナル基金など様々な寄付を集め、そこから年間5,700件を超えるNPOや社会的企業に対して助成金を提供している。
本プロジェクトでは100円から寄付ができるわけだが、その最大の特徴は、寄付先の単位が団体・関係機関等ではなく、「テーマ(産業)」で選択する点にある。
寄付者は以下4つのテーマより、自身がもっとも支援したい内容を選択し寄付をすることで、テーマに沿った団体へと分配される仕組みになっている。
- 医療分野:
新型コロナウイルス感染症患者の治療に取り組む医療機関に対するマスク・ガウンなどの防御用品、人工呼吸器などの医療器具、治療に取り組む人件費等 - 福祉・教育・子ども分野:
介護施設、障害者施設、学校、保育所、学童保育、学習支援団体、DV防止団体、生活困窮者支援団体等に対するコロナウイルス感染症予防対策、または、感染症の予防策の影響により困難に直面する人を助ける事業、または、将来の事業再開に向けて進める準備活動等 - 文化・芸術・スポーツ分野:
感染症拡大防止のために中止・閉鎖に追い込まれた芸術、文化、スポーツ活動の担い手、施設、事業者(ライブハウスや演芸場、スポーツジムを含む)に対するオンラインでのパフォーマンスの実施などの現在の代替的活動の支援、将来の事業再開に向けて進める準備活動等 - 経営困難に追い込まれた中小企業分野:
感染症拡大防止のために営業自粛・休業に追い込まれた、飲食店、宿泊施設等の中小企業に対する当該中小企業における、女性、若もの、障害者の雇用継続、将来の事業再開に向けて進める雇用継続の準備活動等
寄付のスキームは以下の通り。
まず、寄付者は特設サイトより「Yahoo!ネット募金」もしくは「ふるさとチョイス」の専用ページに進む。
Yahoo!ネット募金の専用ページ
ふるさとチョイスの専用ページ(コロナ給付金プラットフォーム produced by TRUSTBANK)
そこで寄付をしたいテーマを選択し、必要事項を入力の上、最後にクレジットカードもしくはTポイント(※)にて寄付を実行する。
※Tポイントが利用できるのは「Yahoo!ネット募金」経由のみ。今後、寄付者のニーズや機能開発等のスピードに応じて、両専用ページにて他支払い方法の実装も検討するとしている
ふるさとチョイス(トラストバンク)の専用ページで進んだ場合の寄付金入力ページ
寄付された金額はいったんパブリックリソース財団にて管理され、同団体から3,000円以上の寄付者に向けて、控除証明書および領収書が発行される(これら寄付金受領証明書を活用することで、確定申告時に寄付金控除を受けることができる)。
並行してパブリックリソース財団では、本プロジェクトからの助成を希望する各テーマの個人・団体・企業等を【5月18日】より募集開始。約1週間ほどの公募期間をへて、6月初旬には選定の審査員と共に寄付先を決定し、6月末までには各団体の手元に支援資金が届き始めるように進めるとしている。
<寄付先を選定する審査員>
・片山正夫: 公益財団法人セゾン文化財団理事長
・南壮一郎: ビジョナル株式会社代表取締役社長
・工藤啓: 認定NPO法人育て上げネット理事長/金沢工業大学客員教授
・今村久美: 認定NPO法人カタリバ代表理事/中央教育審議会委員
・國井修: 医師 グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)戦略・投資・効果局長
・渋谷健司: 医師 WHO事務局長上級顧問、英国キングス・カレッジ・ロンドン教授
・藻谷浩介: 株式会社日本総合研究所調査部主席研究員/株式会社日本政策投資銀行地域企画部特別顧問
・藤沢烈: 一般社団法人RCF代表理事/NPO法人新公益連盟理事・事務局長
・鵜尾雅隆: 特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会代表理事
4つの支援分野があるので、選定の基準はそれぞれの専門家と協議して決めていくわけだが、共通基準としては以下の4点があげられた。
- 申請者・団体の実績
- 用途・目的の適格性
- 緊急性
- 活動の計画実現性
また、会見当日には212名の発起人を代表して以下4名の方々も参加し、本プロジェクト参画への意義等が語られた(発起人一覧は特設サイトにて確認可能)。
[写真左上:乙武洋匡氏(作家)]
[写真右上:小室淑恵氏(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役)]
[写真左下:為末大氏(一般社団法人アスリートソサエティ 代表理事)]
[写真右下:古田敦也氏(スポーツコメンテーター/元 東京ヤクルトスワローズ 監督)]
※5月8日実施 オンライン記者会見にて
このように、多くの個人・団体・企業等を巻き込んでプロジェクトを推進していったNPO法人ドットジェイピー 理事長の佐藤氏は、本プロジェクトの意義と留意点を以下のように語っている。
佐藤大吾氏(NPO法人ドットジェイピー 理事長、本プロジェクト発起人代表)
佐藤氏「給付方法が申請方式になったことで、給付金の受け取りを放棄しようと考えておられる方もたくさんいらっしゃると思いますが、支援を求める現場にご自身の思いを届けるためにも、しっかり申請して給付金を受け取って、ご寄付をしていただきたいと思います。
あともう一つ。
このプロジェクトは、「10万円全額を寄付してほしい」だったり「寄付しない人はけしからん」というメッセージを出したいわけでは決してございません。
どうしても間違った同調圧力につながりやすいのですが、そういったことは本当に避けたいと思っています。
皆さんそれぞれがご事情を抱えていますし、あくまで「できる人ができる範囲で」というスタンスを大事にしたいなと思っております。」
助成申請の詳細は公募開始と併せて以下ページにも追記される予定なので、申請希望の方は以下を要チェックである。
https://www.info.public.or.jp/corona-kifu
給付金の使い道や、そもそも受け取って良いかで悩まれている方は、本プロジェクトを通じて「必要な人」に届ける役割を担ってはいかがでしょう。
以下、リリース内容となります。