記事の要点
・葬儀・お墓・相続・介護などをワンストップで提供する終活インフラ企業・鎌倉新書とObotAIが、遺族支援に特化した「おくやみ・終活チャットボット」を共同開発・リリース。
・自治体ホームページの「手続き・窓口」関連ページに学習機能付きチャットボットを導入することで、24時間365日、住民が抱える死亡・相続関連の質問や課題への回答が可能に。
・内角官房IT総合戦略室発表「デジタル・ガバメント実行計画」では「死亡・相続ワンストップサービス」の推進が明記されており、これを受けて、「おくやみコーナー」や「ご遺族支援コーナー」を設置する自治体が増加。おくやみコーナー設置自治体数は、2018年度の6自治体から2020年度の169自治体と、わずか3年間で約28倍に急増している。
LoveTechポイント
政府CIOポータルでは「おくやみコーナー設置ガイドライン」や「おくやみコーナー設置自治体支援ナビ」の提供がなされており、この領域のデジタル化も強く推進されています。
近年の核家族化によって、寺や葬儀社、近隣住民とのリレーションが希薄になっている時代だからこそ、有効な施策だと感じます。
編集部コメント
終活インフラを標榜し、葬儀・お墓・相続・介護などをワンストップで提供する株式会社鎌倉新書と株式会社ObotAIが、遺族支援に特化した「おくやみ・終活チャットボット」を共同開発・リリースした。
おくやみ・終活チャットボットは、自治体ホームページの「手続き・窓口」関連ページに学習機能付きチャットボットを導入することで、24時間365日、住民が抱える死亡・相続関連の質問や課題への回答ができるというもの。
行政サービスにおけるIT活用に精通したObotAIによると、自治体の遺族支援に特化したチャットボットの開発は、業界初の試みだという。
きっかけは、ここ数年で進むデジタルガバメントの流れによる。2018年1月に内閣官房IT総合戦略室が発表したデジタル・ガバメント実行計画(※)では、様々な施策の中で「死亡・相続ワンストップサービス」が推進されており、相続人と行政サイドの双方での手続き簡素化がさけばれているのだ。
※デジタル・ガバメント実行計画:官民データ活用推進基本法及び「デジタル・ガバメント推進方針」に示された方向性を具体化し、実行することによって、安心、安全かつ公平、公正で豊かな社会を実現するための計画。2019年12月に施行されたデジタル手続法第4条に関する計画と一体のものとして、2019年(令和元年)12月20日に閣議決定
これを受けて、「おくやみコーナー」や「ご遺族支援コーナー」を設置する自治体が増加。第14回デジタル・ガバメント分科会によると、おくやみコーナー設置自治体数の推移は2018年度では全国で6自治体であったのが、2020年度には169自治体と、わずか3年間で約28倍に急増しているという。
そんななか、新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン・非対面型での遺族支援の強化が求められるようになり、おくやみコーナーの設置支援を行っていた鎌倉新書が、今回、おくやみ・就活チャットボットを開発するに至ったというわけだ。
鎌倉新書は、運営するポータルサイトに寄せられた累計160万件(2021年5月時点)の相談から、死亡・相続関連の住民の課題を予測し、おくやみ・終活チャットボットのFAQ構築を担う。
一方でAIベンチャーであるObotAIは、約50自治体におけるAIチャットボットシステムの運用実績を最大限に活かし、おくやみ・終活チャットボットの保守および機能向上を担当する、という役割分担となっている。
住民からの死亡・相続に関するお問合せへのリアルタイム回答はもちろん、選択ボタンではなく、フリーワード入力により情報を入手できる高精度の検索機能もあり、死亡・相続業務における自治体窓口の負担軽減が期待できる。
今後は、質問傾向や死亡・相続における課題を分析して操作性などのUIを改善し、また導入時には内閣官房開発の「おくやみコーナー設置自治体支援ナビ」(※)の導入サポートも行い、導入自治体の全国拡大を進めていく予定だ。
※自治体職員が故人や遺族の状況に応じて必要な手続きを抽出するための検索システム
2022年9月末までは無償で試せるということで、核家族化による寺や葬儀社、近隣住民とのリレーション希薄時代においては、有効なデジタライゼーション施策になるのではないだろうか。