記事の要点
・ふるさと納税制度を活用し、クラウドファンディング型で寄附を募る仕組み「ガバメントクラウドファンディング®を運営するトラストバンクが、2019年度のプロジェクト総括が発表。
・プロジェクト実施数は過去最多となる240という予想。支援最高額プロジェクトは、今年11月よりスタートした、沖縄県による「首里城再建支援プロジェクト」。開始3日で目標の1億円を突破し、現在(2019.12.16)までに6億円以上が支援されている。
・プロジェクト数が最も多い都道府県は、東京都と佐賀県。
LoveTechポイント
人々の生活が多様化し、行政や自治体での公共サービスが「かゆいところに手の届きにくくなってきた」現状だからこそ、こういった民営プラットフォームを活用した資金調達は、非常に大切な手段であると感じています。
特に記事中でも言及した「佐賀県NPO支援プロジェクト」は、本来的にクラウドファンディングが「こう使われてほしい」と思う取り組み方であり、とてもLoveTechな活用事例だと感じます。
編集部コメント
ふるさと納税制度を活用し、クラウドファンディング型で寄附を募る仕組み「ガバメントクラウドファンディング®(以下、GCF)」。
ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクが提供する、新しい形の地域支援の仕組みである。
自治体が抱える問題解決のために、自治体自らがプロジェクトオーナーになってふるさと納税の寄附金の「使い道」をプロジェクト化し、共感者から寄附を募る流れとなるこのGCF。
寄附者は自らの意思で寄附金の使い道を選ぶことができ、また自治体は。地域課題に対する具体的な解決策、必要な寄附金と使い道、寄附金を集める期間等を提示する。
つい先日発生した、沖縄県・首里城の火災焼失の際に、再建支援として沖縄県が打ち出したプロジェクトが、まさにこのGCFを活用したものとなっている。
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この度、GCFを活用した自治体プロジェクトの2019年度総括が発表され、プロジェクト発足数の経年比較、寄付金額ランキング、寄付の多かったジャンルランキング、GCFの活用都道府県ランキングが、それぞれ提示された。
まず今年度のプロジェクト発足数としては、過去最多となる【240】での着地が想定されている。
増加の要因としては様々だろうが、資金調達はもちろん“広報手段”としての認知が向上したことや、事例が増えたことによる活用ハードルの低下、モノからコト消費の流れを受けた“ストーリー”への共感トレンド、と言ったことが要因だとトラストバンクは分析する。
次に、支援額の多いプロジェクトランキングが以下。
やはり、先述の「首里城再建支援プロジェクト」が圧倒的に伸びている。
この首里城プロジェクトが開始以降、その他のGCFプロジェクトへのPV数が昨年対比150%増加したとのデータも出ており、いかに多くの方にとってインパクトのある事象だったかが、ここからもうかがい知ることができるだろう。
このプロジェクトの影響もあり、寄附金が多かったジャンル別ランキングでも「災害」が最多となっている。
なお少し戻るが、特記すべきプロジェクトとして、支援額6位の「佐賀県NPO支援」プロジェクトがある。
これは1型糖尿病を根治するための研究費を募るもので、今回で10回目の立ち上げとなる。
今年11月より開始しているプロジェクト画面
第1回目のプロジェクトは2014年5月から開始し、これまでの計10回のプロジェクトで合計3億円近くの寄附を集めている。
他にも2019年11月、名古屋大の研究グループが「1型糖尿病」でインスリンを使わない新たな治療法を発見したと発表しており、その研究費の一部はふるさと納税で集めた寄附金が財源になっているという。
このような使い方もアリ、というか、本来的にはこういうクラウドファンディングの使われ方がもっと多くなされるべきだと感じる。
東京都は、墨田区や世田谷区、文京区をはじめ、多くの自治体がGCFのプロジェクトを立ち上げており、特に上記の自治体は、すでに複数のプロジェクトを立ち上げ、寄附を募るノウハウや寄附者との関係を築いているという。また、佐賀県は、県庁がサービス開始当初からGCFを活用し、多くの実績をあげていることから、県内の市町村も積極的にGCFを活用している
このように、自治体が単独で実施するものもあれば、自治体と企業やNPOなどが連携して実施するものもあり、そのあり方は年々多様化している印象だ。
人々の生活が多様化し、行政や自治体での公共サービスが「かゆいところに手の届きにくくなってきた」現状だからこそ、こういった民営プラットフォームを活用し、市民目線の支援をサポートする事例は、今後の自治体運営のあり方として大いに参考にするべきだろう。
以下、リリース内容となります。