2020年6月5日に開催された、「ウィズコロナ時代の学び」をテーマに据えた「未来の教室オンラインキャラバン」キックオフイベント。
後半では、熊本市および奈良県・奈良市によるEdTech活用成果報告の共有セッション、および視聴者からQ&Aセッションについてお伝えする。
熊本市によるコロナ禍のEdTech活用事例
まずは熊本市のEdTech活用事例について。
日頃できていないことは、オンラインでもできない(熊本市教育委員会)
最初に、熊本市教育委員会 教育長である遠藤洋路氏より、熊本市の事例概要が説明された。
遠藤洋路氏(熊本市教育委員会 教育長)
熊本市では、従来より「iPadセルラーモデル」を導入しており、2018年度のモデル校導入を皮切りに、2019年度は小学校92校で、2020年度は中学校42校でそれぞれ運用開始していた(計23,460台、内訳:教職員1人1台、特別支援学級1人1台、3クラスに1クラス分)。
コロナ禍においては、基本的には「家庭のインターネット環境」を活用し、これまで使っていた授業支援アプリ「ロイロノート」や「メタモジ」に加えてZoomを利用することで、オンライン授業を実施した。インターネット環境のない家庭にはLTEタブレットを貸し出した。
ここで特に重視したポイントは「双方向性」。上図の通り、5段階にスモールステップを設定し、徐々に階段を登っていく形でオンライン授業を進めていったという。
遠藤氏:「小学校高学年ではステップ5までできた学校が4割ほどでしたが、中学校は逆にステップ3に止まった学校が多かったです。なぜかというと、日頃から子ども達同士の学びあいをしていなかったから。
日頃できていないことは、オンラインでもできない、ということです。」
遠藤氏が考える、休校中のオンライン授業から学んだことが以下の通り。
- 「できるところからやる」ことが、全体のレベルアップにつながる
- オンライン授業には不登校の子どもも参加しやすい
- 日頃の授業のやり方がオンライン授業に反映される
- ICTの活用が進んでいる学校ほど、家庭でのタブレット利用に関する問題が少ない
- 「学校で授業する意味」をより深く考えるようになる
- 自ら考え行動する力が問われる
特に二番目について、日頃不登校だった子ども達が多くオンラインで参加し、学校再開後も登校するようになったという。2020年5月最終週の分散登校出席率は、小学校が約99%、中学校が約98%ということで、不登校だった子ども含めて非常に高い数字になった。
今後も主体的・対話的で深い学びを進めるべく、2021年2月までに一人1台のiPad整備を進めていくという。
遠藤氏:「登校とオンラインの組み合わせ、いわゆる“ハイブリッド”な学校作りを進めることで、学校でも自宅でも授業ができるようになります。そうすると、欠席や不登校といった概念自体が変わっていくと考えています。
また、これからどうするかということですが、本来は不登校・欠席の子のための専用のカリキュラムを作るべきだとも思っています。それができるまでは、暫定的な措置として教室の授業風景を動画で配信するで良いのですが、ベストはオンライン専用のカリキュラだと思います。
私は、熊本市立オンライン小学校とオンライン中学校を作りたいと思っています!」
オンライン授業のモデル構築と、まとめ資料・動画の配信(熊本市教育センター)
次は熊本市教育センター 副所長の本田裕紀氏から、より現場に近い目線からの取り組み内容が報告された。
本田裕紀氏(熊本市教育センター 副所長)
熊本市では2020年2月26日より、先述の既存アプリに加えてZoomを使ったオンライン授業の検証を開始し、3月からは「タブレット端末の持ち帰り授業」を進め、主に学び残しを復習させる時期として「おすすめ学習サイト」ページを作るなどして、どの学年でも対応できるようにした。
この時点で、先進的なオンライン授業の取り組みがいくつかの学校で始まったので、その知見を活かして、教育センターがオンライン授業のモデルを構築。
オンライン授業の先生向け研修を、各学校から2名が参加する形で4月6日〜7日の2日間で実施し、その結果を各学校で広めてもらいながら、臨時登校日の3日間で子ども達にも伝えるよう調整。それらのステップを経て、4月15日より全校でオンライン授業をスタートさせたという。
本田氏:「教育センターではまず、オンライン授業のモデルや方法についてまとめたPDFをホームページで配布しました。また先生向けだけではなく、どの端末でも利用できるように、家庭向けマニュアルも作成して配信しています。
さらにそれらマニュアルを動画にしたものを、熊本市教育センターのYouTube公式チャンネルで配信しました。」
このように、早い段階からオンライン授業に向けた取り組みを迅速に進めていった熊本市だが、その背景には、従来より着手している「先生が“教える”授業から、子ども達が“学ぶ”授業」への取り組みが大きかったという。
本田氏:「例えばこちらは、『ごんぎつね』を朗読してBGMをつけるという実践に取り組んだ例です。こういった良い事例を共有するべく、先生方がイメージしやすいように、動画を作成して配信しています。
また、指導主事とICT支援員(※)が各学校を回って授業支援や研修支援を実施するようにし、少なくとも週1回は学校訪問ができる体制を構築しています。
そして、各学校では情報化推進チームを作って、平成30年度より、チーム向けや管理職向けの研修を行ったりもしています。」
※指導主事は主に授業づくりや授業イメージに関することを、ICT支援員は主にタブレット等の設定や使い方に関することを、それぞれ支援。必要に応じて協力する形での支援を行う
産官学連携で進めるハイブリッド型授業(熊本大学)
最後は、熊本大学教職大学院 准教授の前田康裕氏が、熊本市の事例をベースに、ウィズコロナ時代の学びにおけるオンライン活用のメリットや課題、あり方について解説された。
前田康裕氏(熊本大学教職大学院 准教授)
前田氏:「熊本市が特にいいのは、産官学の連携ができていることです。」
ここまで見てきた熊本市の取り組みにおける座組は以下の通り。
NTTドコモによるLTEインフラの整備をもってして、教育委員会と教育センターが先述の通り、各学校と協力してICT活用推進計画やオンライン授業の環境整備を実施。
これに対し前田氏の所属する熊本大学では、まずは教育委員会・教育センターとビジョンの共有を行った。熊本市の場合だと、そこは「授業の改善」に的を絞っていたという。その上で、県外の学校や先進校に足を運び、好事例を収集しながら教員研修の監修や「モデルカリキュラム」の開発を進めていき、その内容等を県内学校向けに、校内研修や研修会への助言等の形で提供している。ここでもオンラインを活用することで、これまで50名ほどしか集まらなかった研修に、300名を超える参加者が集まることもあったという。
そんな前田氏から見たオンライン授業のメリットは以下の通り。
- 子どもや保護者からの情報に触れやすい
- 教師と子どもとの距離感が良い
- 不登校児も含め、自分にあった学び方ができる
- 教師の協働性促進
前田氏:「特に教師の協働性については、例えば社会の先生と理科の先生が一緒に出てきて授業をしたり、校長先生がずっと授業やるなど、教科横断型・学年横断型の授業が生まれていました。
あと面白かったのは、学校に来れない子たちがオンライン授業には参加するし、逆にリアルな授業には参加するがオンライン授業には参加しない子も出てきた。
同期型が得意な子、非同期型が得意な子、それぞれがいる中で、これまで学校という場は全部同じでやっていた。それが分かっただけでも良い点だと思いますよ。
もちろんオンラインが万能なわけではなく、例えば運動会のような身体性、集団性、共同性が伴うものや、非認知スキルが必要とされるものは難しいです。」
前田氏:「これからの学びというものは、オンラインとリアルのハイブリッド型になっていくんだろうと思います。
子ども達が必然性のある課題を自分たちで立て、また先生方が適切な課題を立てて、それに向かって子ども達がアウトプット型の授業をする。その中で、知識・技能はもちろん、思考力や判断力、表現力、さらには学びに向かう力等をつけていくことになります。
先生方の役割は、子供達にきちんと振り返りをさせて、そこで内容知(学習内容)と方法知(学習方法)を身につけさせていくことにあります。
また、(上図)左側の価値観でタブレットを導入しても「どこで使おう?」という目的の模索になってしまうのですが、右側の価値観だと色々な場面で使えるわけですから、みんなが一丸となって授業改善に進みやすいと言えます。」
奈良市・奈良県によるコロナ禍のEdTech活用事例
次は奈良市および奈良県のEdTech活用事例について。本ケースは、県と市が積極的に協力するという内容になっている。
全国平均的なICT環境でもできる、先進的な取り組み
もともと奈良市では、5.4人に1台の配分で子ども達にパソコンを用意していた。ちょうど全国平均と同じ割合である。
そのような“一般的”なICT環境だった奈良市が、コロナ禍においてどのような施策を進めていったのか。以下がその概要となる。
<3月〜4月>
・家庭のICT環境を確認
・パソコン教室のタブレットを貸出
・Wi-Fiルーターの貸出(通信費は市が負担)
・クラウド型フィルタリングを導入
・暫定ビデオ会議の緊急スタート
・教育プラットフォームの県域共同スタート<4月末>
全21中学校、全学級にてオンライン授業をスタート<5月中旬>
全43小学校の5・6年の全学級<5月下旬>
小学校4年生(BYODによる家庭と学校の接続開始)
以下、順を追って、経緯と実施事項について説明がなされた。
約一ヶ月で県内全小・中学生にアカウントを付与
奈良市がコロナ禍における学びの継続として、オンライン含めたICTの活用を具体的に検討開始したのは4月に入ってから。第一週目には公教育としてネットワークインフラ整備の有無を確認するべく、家庭環境アンケートを実施し、またLINEWORKSを活用して学校緊急連絡網の構築を進めた。
谷 正友(奈良市教育委員会事務局教育部学校教育課情報教育係 係長(奈良市教育情報セキュリティアドバイザー))
谷氏:「対面で子ども達に紙で渡せない中で、ネット環境のない家庭の調査だったので、オンラインで進めながら、都度電話でのフォローを学校にお願いしました。
4月二週目にはアンケートの結果が出て、およそ5〜10%がネット環境のない状況であることがわかりました。」
奈良市の場合は1日だけ登校日を設定しており、その日に向けて諸々の準備を進めつつ、並行して以下の資料を使いながら財源の調整を行っていったという。
谷氏:「4月三週目には家庭状況もクリアになり、クラウドフィルタリングも開始でき、無事に1日だけの登校日に、子ども達にTV会議用のIDを配布することができました。
でもここで問題になったのが、Wi-Fiルーターが足りないこと。各通信事業者と喧々諤々の議論をし、なんとか全国から数を集めた上で、足りない部分がありながらも試運用だということでスタートさせました。」
4月四週目になるとTV会議システムを稼働させるわけだが、用意していたものはビジネス用途で設計されたもの。課題がたくさんある中で今後の積極活用を見据え、GIGAスクールに向けて昨年度より議論していた件を、県の教育委員会と前倒しで進める検討を開始。教育向けプラットフォームとして「G Suite for Education」導入の準備に取り掛かる。
そんな中で調達調整を進めていたWi-Fiルーターが到着し、このタイミングより、ルーターおよびタブレットの緊急貸出制度を構築した。
以下が4月28日に、奈良市が市立学校を対象とする臨時休業期間を5月31日まで延長する旨を発表した際に、併せて提示した資料である。
記者会見では奈良市長・奈良市教育委員会 教育長のほか、県の教育委員会 教育長も参加した。
小崎誠二(奈良県立教育研究所 主幹)
小崎氏「私の方では、4月1日のタイミングでメンバーに「今年はコロナの状況があるから、一気に市町村を巻き込んでやっていくよ」と伝えていました。ゴールデンウィーク明けには県内の小中学校に、県が持っているGoogleアカウントを配ろうと思っています、と言ったら、みんなポカーンとしていました。」
2年前の「県域統合型校務支援システム」構築が、県と市の協力基盤に
4月最終週からは、具体的にWi-Fiルーターおよびタブレットの貸出運用を開始し、またG Suite for Educationの県域統一ドメインの運用も発表した。
ただ、これらツールを用意したとしても、実際に先生方の運用に載せる必要がある。そこで奈良市では、5日間7時間の緊急研修を実施し、ゴールデンウィーク明けからの運用開始、5月二週目からの本格運用を発表した。
それから一ヶ月後、学校では分散登校が進み、実技教科含めたオンライン化が日常として行われているという。
谷氏が列挙した、オンライン化による変化がこちら。
- 職員室が変わった!先生に活気!
- 不登校傾向だった生徒が参加
- 複数クラス一斉、別時間に個別支援
- オンラインで外部講師が呼べる
- 教員研修が大人数・広範囲で実施
- 保護者間の自主勉強会がスタート
- 児童生徒に直接アンケートを実施
谷氏:「学校にはコールセンターかのように問い合わせがくるわけですが、2回線程度しかない中、対応には限界があります。
オンラインに対する批判はなく、繋がらないといった声が多くありましたが、繋がりたいからかかってきている、という思いのもとで対応していました。
そんな中、保護者の間では“自然発生的”に勉強会が開かれていきました。僕たちからは何も依頼していないのにですよ。すごいなと思いました。」
小崎氏「高校入試について、この状況で子ども達が学校に行けていないから、試験範囲を狭くするかどうするか。県教委は問題を作らねばならないので、悩むわけです。
そんな中、うちの教育長は「子どもに聞かな、俺ら教師は動かれへんやろ」というわけです。
県域で全ての小・中学生がアカウント持っているわけですから、色眼鏡のない状態で無記名のアンケートで中学校3年生の子ども達に直接聞いて、それから大人で決めようよ、ということができるようになったわけです。
これも、奈良市が早めに動いてアカウントを配っていたからです。こういうこと、紙では絶対無理ですね。」
このように、奈良市と奈良県はうまく連携してプロジェクトを進めている。一般的に、県と県庁所在地はうまくやっていないことも多い印象。どのようにして、このような協力体制を実現しているのか。
その秘訣の一つは、2年前の文部科学省事業「県域統合型校務支援システム」構築だという。こちらは昨年から稼働をしているわけだが、その際に、県を入れた40自治体(1県39市町村)みんなでやろうという取り組みがあった延長で、GIGAスクール構想における共同調達も推進。さらにはその流れで、今回のコロナ禍の対応へと進んでいったという。つまり、今回でゼロから関係構築していったわけではなく、2年前より「みんなでやろう」文化を育んでいったことが奏功しているというわけだ。
谷氏:「ポストコロナとしては、県全体で校務と教育を繋げられるんじゃないかと。そこの絵が描けたら世の中変わるよね、ということで、県域校務と県域教育の融合ができたらいいなと思っています。」
Q&Aセッション
最後に、視聴者各位からの質問に対し、各登壇者が回答していった。
QuestionⅠ. コロナ禍の経験の先にある学びの姿について
<質問内容>
この経験の先に、アフターコロナ・ウィズコロナでは、何を残して、何を変えにいくのでしょうか?
* * *
遠藤氏(熊本市教育委員会):「もう元に戻るということは多分なくて、新しいリアルとオンラインの組み合わせで学校教育をしていき、新しい学校を作っていかねばならないでしょう。
また、認知的な能力に関しては1分でも1年でも習得してしまえば良いのですが、非認知的な能力はある程度時間がかかる場合もあるわけです。議論したり対話したり、グリッドだったり。そういうことはリアルでやるなり、オンラインでも共同でやるなど、活動の性質に応じて最も適した方法を見つけて教育を行っていくという学校づくりが、今後は必要なんじゃないかなと思います。」
* * *
前田氏(熊本大学教職大学院):「奈良と熊本の共通点としては、「どういう子供を育てるか」というビジョンが共有されていたことだと思うんです。ビジョンがないと、いくら端末だけが用意されていても、あまり意味がないんですよね。
大事なのは、アクティブラーナーを育てること。
認知能力も大事ですが、非認知能力を育てるんだ、というビジョンを掲げるのが大事だと思います。」
* * *
本田氏(熊本市教育センター):「私も全く同じ意見で、これからはクリエイティブな授業をしていかないといけないと思っています。
急に変えるのは難しいですが、日々の授業をこれまでから少しずつ変え、自分で課題を見つけたり、友達と一緒に問題解決していったりを繰り返す。それが子ども達にとって、将来的に課題を見つけていき、未来を変えていく力になっていくと思っています。」
* * *
谷氏(奈良市教育委員会):「今回こういう経験を踏まえたことで、学校現場はかなり大きく変わったなと思います。先生達が新しいものを手に入れて、創造的な学びを作ろうとしている動きを強く感じましたので、その結果それが子ども達にも確実に響くのではないかと感じています。新しい教育が始まるのではないかなという期待を持っています。」
* * *
小崎氏(奈良県立教育研究所):「今まで過去が悪かったから仕方なくこういうことをして、というわけではなく、今までもそれはそれでベストだったし、今回も色々とできることの気づきがあるので、同じことをやるにしても気持ちの面で全然違ってくると感じます。
元に戻る/戻らないということではなく、これを機に新しいスタートを切れたらいいのではと思います。」
QuestionⅡ. 共働き過程における学びのあり方について
<質問内容2>
共働き家庭において、平日に子どもが自宅に一人でオンライン学習をするのは、現実的に厳しいのではないでしょうか?また、そうした子どもは登校させざるを得ず、個別最適にならない気がするのですが、何かお考えありますでしょうか?
* * *
遠藤氏(熊本市教育委員会):「オンラインなので、家である必要はなく、場所がどこであってもオンライン学習にアクセスできます。なので、個別最適にならないことは、多分ないです。登校してみんなで受けるか、家でオンラインかの二択ではないです。
登校して別々でもいいし、登校せず家でない場所でもいい。そういう子どものために、そういう場所を提供するサービスも出てくるかもしれませんね。」
* * *
前田氏(熊本大学教職大学院):「確かに小学校1年生くらいの子どもに一人で勉強しろというのは難しいと思うのですが、我々がわからすると、小学校・中学校と、自分でコンテンツを調べたりするなど、独自に学んでいくスキルを身につけなくちゃいけないと思っています。
それを学校と家庭が、段階的にスキルアップできるようにしていかねばならないんじゃないかなと思っています。」
* * *
本田氏(熊本市教育センター):「一点補足として。今までオンライン学習の現場を見てきて、学校での学びをそのまま外に持ち出したように進めてきたので、戸惑いは少なかったのではと僕は感じています。LTE端末を使っていたので、家に持って帰っても、学校から飛び出した学びになったわけです。
そのまま外に持って行けたのが大きかったなと思っています。」
* * *
谷氏(奈良市教育委員会):「今回は急な展開だったが故にそうせざるを得ない側面も強くあったと思います。本来は、対面でオリエンのようなことをやりながら学習の仕方を積み上げた上で、家での学習の仕方もやっていくと、スムーズにいくのかなと正直思います。
この機会にこういう経験をしたので、GIGAの端末をうまく活かす意味でも、うまく使えるようにしないと、全く意味のないものになるなと感じます。」
* * *
小崎氏(奈良県立教育研究所):「子どもって、ゲームだったら放っておいても何時間でもやっているんですよね。ちゃんと過ごしているんです。なので、まだ勉強が遊びに負けているのかなと思っています。勉強は嫌なもので、ゲームは楽しいものという。
ここがヒントなのかなと思っています。
もちろん成績はつけねばですが、そんな心配せんでも、安心安全に自律的に、自分にやりたいことに向かってくれたらいいと思いますよ。」
編集後記
昨年6月に経産省事業「未来の教室」を知って、はや一年。
モデル校をはじめとする実証事業の推進、全国キャラバンを通じた地域への波及、コロナ禍での「#学びを止めない未来の教室」プロジェクトなど、様々な取り組みが目まぐるしく進んでおります。
つい先日記事化した「オンライン大保護者会」でも感じましたが、今の教育領域はここ数十年で最も面白いなと思います。
当メディアでコロナ対応する企業・団体のまとめを作っている時も、教育関係事業者が圧倒的に団結している印象でした(前編記事記載の通り、「未来の教室」による声がけも一因だとは思います)。
そんな中、コロナ禍を経て初めて開催されたオンラインセッション。
紹介された事例や声の中で、特に個人的に印象的だったのが、熊本市教育委員会 遠藤氏による「熊本市立オンライン小学校とオンライン中学校を作りたい」という言葉でした。
国内の公教育関連事業の中で、最も先進的な推進活動の一つである「未来の教室」を、今後も注視して参りたいと思います。
「未来の教室オンラインキャラバン キックオフDay」
主催:経済産業省
:ボストンコンサルティンググループ
:一般社団法人教育イノベーション協議会