香川発の遠隔胎児モニタリングシステム、ブータン王国への導入が決定。まずは国内20地区から

妊娠/出産

記事の要点

・香川発のベビーテックカンパニー、メロディ・インターナショナル株式会社が提供する遠隔胎児モニタリングシステムの、ブータン王国への導入が決定。

 

・「母子保健環境の向上プロジェクト」として、同社提供の「Melody i」と「分娩監視装置iCTG」導入を進める。具体的には、同社とブータン保健省が協働し、ブータン国内に周産期サーバーを設置。まずは20病院から始め、中長期的に国土全体をカバーする世界有数の周産期リファラルネットワークを構築する予定。

 

・メロディ・インターナショナルでは、タイ・チェンマイ全域でのSNS周産期を活用した周産期リファラルネットワークを提供しており、今回の取り組みと合わせて、発展途上国や新興国の「安心安全な出産文化」構築に向けて、大きな実績となる。

LoveTechポイント

昨年4月の取材時でも直接伺ったキーワードが、「世界の周産期医療格差の是正」。母子手帳や分娩監視装置など、日本発の周産期医療サービスが大変評価されているからこそ、今回のように文化創生と合わせた形で導入されると、より大きな波及効果があると感じました。

場所を問わず、出産までの期間を届けるLoveTechなプロダクトとして、引き続き国内外の展開を注視したいと思います。

編集部コメント

香川発のベビーテックカンパニー、メロディ・インターナショナル株式会社が提供する遠隔胎児モニタリングシステムが、この度ブータン王国に導入されることが決定した。

 

同社はブータン最大の王立病院であるJDWNR病院、及び保健省と連携して、第一段階として国内20地区へのシステム導入を進めるという。

JDWNR病院(JIGME DORJI WANGCHUCK NATIONAL REFERRAL HOSPITAL)

 

ブータンといえば、GNH(Gross National Happiness)、すなわち「国民総幸福」という指標をベースに、“世界一幸福な国”を目指している国家。GNHは多くの国で採用されているGDP指標とは別のアジェンダセッティングで生まれたもので、1972年の提唱以降、様々な政策の思想的基盤として機能している考え方だ。

ブータン王国国旗(ブータン政府ホームページより)

 

そんな「幸福の国」「桃源郷」といったイメージが定着したブータンであるが、当然ながら国家としての課題はたくさんある。

 

例えば産婦人科へのアクセス。

 

ヒマラヤ南面山麓に位置するブータンは、大きく3地域20県に分かれているのだが、産科の充実したレファラル病院は各地域に一つ、国全体として合計3病院しかない。交通インフラが日本のように発達しているわけでもなく、搬送の際には険しい山道を超える必要がある。

 

さらに母子保健の指標を見ると、1000出生あたりの新生児死亡率は18.1人(※1)、10万出生あたりの母体死亡率は183人(※2)となっており、日本などの先進諸国と比べると数十倍の開きがあるのが現状だ(日本の場合、1000出生あたりの新生児死亡率は0.9人、10万出生あたりの母体死亡率は5人)。

※1. World Health Statistics 2018 p61 “Neonatal mortality rateg (per 1000 live births)”

※2. World Health Statistics 2020 p43 “Maternal mortality ratiod (per 100 000 live births)”

 

このような周産期医療の課題を解決する施策の一つとして発表されたのが、今回のメロディ・インターナショナル社の遠隔胎児モニタリングシステム導入である。

 

同社提供のソリューションは主に、「Melody i」と呼ばれる周産期遠隔医療プラットフォームとIoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」があり、これらハードとソフトの両方を活用することで、妊婦さんは計測した結果を医師に送信でき、また医師は遠隔であっても受診推奨などのアドバイスを提供することができる。

 

詳細は、昨年4月に取材した以下記事をご参照いただきたい。

 

今回の取り組みは「母子保健環境の向上プロジェクト」と銘打たれ、この「Melody i」と「分娩監視装置iCTG」の導入を進めるという。具体的には、同社とブータン保健省が協働し、ブータン国内に周産期サーバーを設置。まずは20病院から始め、中長期的に国土全体をカバーする世界有数の周産期リファラルネットワークを構築する予定だという。

 

ちなみに王立病院・JDWNR病院へのシステム導入については、2011年より小児科医として9年間尽力してきた西澤和子医師が、ブータンの母子保健向上のために、同病院の産婦人科医と協力して実現したもの。西澤医師は、当初ブータン王国にひとりしかいなかった新生児専門のブータン人医師と共に、長らく医療水準の向上に尽力してきた功績が認められ、2017年にブータン国王陛下より、「National Order of Merit 国家功労勲章」を受章した人物である。

 

なお、今回の取り組みは、2020年6月4日、ペマ王妃30歳の誕生日に合わせて発表されたプロジェクト群の一つ。

 

各種政府関連のSNS等でも大々的に報じられている。

 

<ブータン首相官邸Facebookページの投稿>

「ロテ・ツェリン首相はおめでたいこの日の皆さんへの挨拶にて、陛下の情熱と博愛から生まれた政府の3つのプログラムを知らせました。彼は、いまCOVID-19病院として使用されている迎賓館を寄贈された国王陛下の命により、モンガーにあるGyaltsuen Jetsun Pema母子病院の開設を発表しました。
『この崇高なイニシアチブは、特に東部地域においてタイムリーな医療を求めて苦しんだり、命を失ったりしている母子の命を救うだろう 』と彼は言った。
陛下の想いにより、政府はワイヤレスにて妊娠中の赤ちゃんの健康を見守るiCTGマシンを導入するだろう。
陛下は、その利点と有効性をから私たちの母子の健康に大きな影響を与えるこの機器の導入を命じた。」

-ブータン首相官邸FaceBookページより抜粋(メロディ・インターナショナル社訳)

 

<ブータン保健省Facebookページの投稿>

「保健大臣は、王妃の誕生日に合わせて開始されている重要なふたつの取り組みとして、…ブータンの最も辺境の地で、母子保健サービスの提供に重要な役割を果たす、遠隔医療のためのデバイスとして、iCTGモニターの導入を強調しました。」

-ブータン保健省FaceBookページより抜粋(メロディ・インターナショナル社訳)

 

メロディ・インターナショナルでは、タイ・チェンマイ全域でのSNS周産期を活用した周産期リファラルネットワークを提供しており、今回の取り組みと合わせて、発展途上国や新興国の「安心安全な出産文化」構築に向けて、大きな実績となるだろう。

 

世界の“周産期医療格差”是正に向け、同社の取り組みを引き続き注視して参りたい。

 

以下、リリース内容となります。

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