記事の要点
・BNPLサービス「ペイディ」を提供する株式会社Paidyが、シリーズDラウンドでSoros Capital Management LLC、JS Capital Management LLC 、Tybourne Capital Management Ltd.、Wellington Managementに対する第三者割当による優先株式の発行により、総額132億円(1億2,000万米ドル)の資金調達を完了。
・本増資並びに金融機関からの追加融資により、創業からの累計資金調達総額は約644億円となり、日本国内のスタートアップの金融機関による融資を含む累計資金調達額としては、最大規模に達した。
・今回調達した資金は、大型加盟店との取引拡大ならびに新規サービスの開発、「3回あと払い」の拡大等に対応するための財務基盤強化等に活用される予定。
LoveTechポイント
コロナ禍が長期化し、ECへの需要がますます高まる中、セキュリティを担保した上でいかに手軽な決済体験を提供できるかは、決済マーケットの重要なポイントだといえます。
海外にて後払い決済サービスの大型資金調達が続く中、国内決済市場をメインターゲットに事業を進めるPaidyがどこまで市場を伸ばせるか、要注目です。
編集部コメント
BNPLサービス「ペイディ」を提供する株式会社Paidyが、シリーズDラウンドでSoros Capital Management LLC、JS Capital Management LLC 、Tybourne Capital Management Ltd.、Wellington Managementに対する第三者割当による優先株式の発行により、総額132億円(1億2,000万米ドル)の資金調達を完了した。
BNPLとは「Buy Now Pay Later」の略で、「今買って後払いする」という決済市場領域のこと。
具体的には、ペイディではメールアドレスと携帯番号を入力して、SMSで届く4桁の認証コードを入力するだけで、お買い物ができるようになっている。支払いは、毎月の利用分を翌月10日までにコンビニ・銀行振込・口座振替でまとめて支払えばよく、今手元に現金がない場合に有効な支払い手段となっている。
詳細は、以下の記者向け勉強会レポートもご覧いただきたい。
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2014年10月末のサービス開始以降、ペイディは順調にユーザー数を伸ばしており、2021年3月時点で加盟店数は70万店舗を突破、アカウント数は台湾事業を含めると500万を超えているという。加盟店にはAmazonやSHOP LISTをはじめ、ファッション、美、食品、家電・インテリア、トラベル、といった幅広い分野の店舗に導入されている。
2020年10月には「3回あと払い」機能(※)という、利用金額を分割手数料無料で3回に分けてあと払いできるサービスも実装され、ユーザー利用を後押ししているという。
※3回あと払い機能:本人確認をすることで無料で利用できるペイディプラスの機能で、この他にも利用上限額の確認、予算の設定機能がある
そんな同社は2020年末より、ゴールドマン・サックスとのウェアハウス・ファシリティの増枠、および三井住友銀行との借入枠の新規設立と、みずほ銀行をアレンジャーとした複数の金融機関のシンジケートによる、ウェアハウス・ファシリティ設立による追加借入枠の設営を完了。創業からの累計資金調達総額は約644億円となり、国内スタートアップの金融機関による融資を含む累計資金調達額としては、最大規模となっている。
今回新たに調達した資金は、大型加盟店との取引拡大と新規サービスの開発、そして先述の「3回あと払い」機能の拡大等に対応するための財務基盤強化等に活用されるという。
クレジットのような物理的なカードが必要なく、また各種Payサービスのような事前登録も必要ない「手軽さ」が、ペイディ最大の魅力だと言えるだろう。
我が国のキャッシュレス体験を牽引する存在として、今後の大型加盟店との取り引く含めて、引き続き同社の動向をウォッチしていきたい。
※本記事では、1米ドル=110円で計算(2021年3月30日時点に基づく)