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米上院委、年齢確認法案「SCREEN Act」を8月5日に審議。SNSやVPNユーザーも対象となる可能性

2026 8/04
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長岡武司

米上院商務・科学・運輸委員会は、2026年8月5日に開く委員会審議の対象に、オンライン上の性的コンテンツへの年齢確認を求める「SCREEN Act(S.737)」を加えた。委員会の公式日程では、同法案が審議対象の筆頭に掲載されている。

SCREEN Actの正式名称は「Shielding Children’s Retinas from Egregious Exposure on the Net Act」。共和党のマイク・リー[Mike Lee]上院議員が2025年2月26日に提出した連邦法案である。

成立すれば、対象となるオンラインサービスはユーザーの年齢を技術的に確認し、「未成年者に有害」と定義される性的コンテンツへと未成年者がアクセスできないようにする。電子フロンティア財団(EFF)は、成人向けサイトに限らず、性的コンテンツを一部に含むSNSや動画配信サービスも適用範囲に含まれると解釈している。また条文上は、米国からのアクセスと判定される限り、既知の仮想プライベートネットワーク(VPN)やプロキシのIPアドレスも年齢確認の対象となる。

未成年者を性的コンテンツから守る一方、成人が匿名で合法的な表現へアクセスする際、どこまで情報提供を求めてよいのか。以下、法案の仕組みと審議の焦点を詳しく見ていく。

目次

自己申告では足りない年齢確認。VPN・プロキシも対象

米上院商務・科学・運輸委員会が公開した日程によると、審議は2026年8月5日午前10時からワシントンの上院議員会館で開かれる。日本時間では同日23時にあたる。委員長は共和党のテッド・クルーズ[Ted Cruz]上院議員だ。

提出者はリー議員で、ジョン・カーティス[John Curtis]、ジム・バンクス[Jim Banks]、ジェームズ・ランクフォード[James Lankford]の各共和党上院議員が共同提案者に名を連ねている。

この種の委員会審議では、委員が法案の修正案を検討し、委員会として上院本会議へ送るかどうかを採決する。審議前または当日に新しい条文が示されれば、内容が変わることもあるが、記事執筆時点では、委員会ページにSCREEN Actの修正案や採決結果は掲載されていないようだ。

提出時の法案本文では、対象事業者に「technology verification measure」と呼ぶ年齢確認技術の導入を求めている。つまり、ユーザーが「18歳以上」と回答するチェックボックスだけでは要件を満たさないことになる。

現在公開されている条文の内容を整理すると以下の通りだ。

領域規制・保護のポイント事業者に求められる主な対応
対象サービス通常の事業として、利益を得る目的で、自社・ユーザーなどが提供する「未成年者に有害」なコンテンツを作成、ホスト、利用可能にするオンラインサービス自社が対象事業者に該当するかを判断し、該当する場合は必要な措置を講じる
年齢確認ユーザーについて、未成年者である可能性の方が高いかを技術的に判定する技術的な年齢確認を導入し、採用している確認プロセスを公開する
アクセス制限利用者が未成年者ではないことを確保し、未成年者による対象コンテンツへのアクセスを防ぐ単純な自己申告だけに依存せず、条文の要件を満たす確認手段を用いる
VPN・プロキシ利用可能な技術で米国外にいると判断できないユーザーも確認対象とする全ユーザーのIPアドレスについて、既知のVPN・プロキシ系IPを含めて年齢確認措置を適用する
データ保護年齢確認で収集した情報の機密性などを守り、不正アクセスを防ぐ合理的なセキュリティ対策を講じ、確認や法令順守に必要な期間を超えて保存しない
執行FTC(連邦取引委員会)が定期監査と執行を担当する監査に必要な資料を提出し、違反した場合はFTC法と同様の枠組みによる執行に対応する

※8月5日の委員会審議で修正案が採択された場合は内容が変更となる可能性あり

法案では、運転免許証の提示や顔画像による年齢推定など、特定の確認方法を指定しているわけではない。条文上の要件を満たす限り、どの技術を使うかは事業者が選べる。具体的な基準は、成立後180日以内にFTCがガイダンスで示す予定だ。

また、事業者への義務は成立から1年後に始まる。違反はFTC法上の不公正または欺瞞的な行為として扱われるが、SCREEN Actには一律の罰金額は定められていない。

加えて、SCREEN Actは、既知のVPNや仮想プロキシを経由したアクセスも年齢確認の対象に含めている。サービス側が米国外からのアクセスだと判断できれば対象外となるが、所在地を判定できない場合は年齢確認を省略できない。VPNの提供や利用そのものを禁止する規定ではない。

VPNを使うと、接続先にはユーザー本来のIPアドレスではなく、VPN事業者のサーバーのIPアドレスが表示される。このため、公共Wi-Fiで通信を保護したり、広告事業者による追跡を避けたりする目的でVPNを使っている人も、年齢確認を求められる可能性がある。

下院通過案と違い、性的コンテンツの“割合”は関係なし

上院版SCREEN Actで注目すべきなのは、性的コンテンツがサービス全体に占める割合によって、規制対象を絞り込んでいないことだ。

2026年6月29日に米下院が267対117で可決したKids Internet and Digital Safety Act(KIDS Act、H.R.7757)にも、SCREEN Actと呼ばれる年齢確認規定が盛り込まれている。ただし、下院を通過した条文では、公開コンテンツの3分の1超が「未成年者に有害な性的素材」であり、事業者がその事実を認識しているサービスに対象を限定している。

一方、8月5日に上院委員会で審議されるS.737には、この「3分の1」という基準がない。対象となるのは、州際・国際取引に関わるオンラインサービスのうち、利益を得る目的で、通常の事業として対象コンテンツを作成、ホスト、公開しているサービスだ。性的な投稿が偶然1件掲載されただけで、直ちに規制対象になるとまでは言い切れない。しかし、コンテンツ量の数値基準がないため、どのサービスまで対象になるのかは下院案よりも分かりにくい印象である。

自由な言論の権利をデジタル社会で守ることを目的に活動する非営利団体・EFF(電子フロンティア財団)は、7月31日付の解説で、この条文なら性的コンテンツを1件でもホストするサービスが対象になり得ると指摘し、Netflix、Reddit、Discord、Blueskyなどを例に挙げた。あくまでEFFによる解釈であるわけで、実際に規制対象となるかは、扱っているコンテンツの性質や事業の実態、FTCの運用、将来の司法判断などによって決まることになる。

また、性的な内容を含んでいれば、すべて「未成年者に有害」と判断されるわけでもない。条文が対象としているのは、未成年者の性的関心に訴えかけ、性行為などを明白に不適切な形で描写し、なおかつ作品全体として文学的、芸術的、政治的、科学的に重大な価値を欠く視覚表現などだ。そのため、性教育や健康に関する情報が一律に規制対象となるわけではない。

年齢確認が結び付ける、性的関心と個人情報

先述の通り、年齢確認にどの技術を使うかは法案で指定されていない。そのため、VPN利用者を含むすべてのユーザーに、政府発行の身分証明書の提出が求められるとは限らない。顔画像から年齢を推定する方法や、決済情報・既存データと照合する方法、第三者が「成人である」という事実だけを証明する方法なども考えられる。

懸念されるのは、性的コンテンツやコミュニティを利用しようとした事実が、年齢確認に使った個人情報と結び付くことだと感じる。

法案は、年齢確認で収集した情報の機密性や完全性を守り、不正アクセスを防ぐための「合理的な」対策を事業者に求めている。情報を保存できる期間も、年齢確認や法令順守に必要な範囲に限られる。ただし、収集できる情報の種類や利用目的、削除までの具体的な期限は定められていない。第三者の年齢確認事業者が収集した情報を別の目的に利用できるのかなど、情報の取り扱いには不明確な点が残る。

未成年者を性的コンテンツから守ることは重要だが、成人が合法的な表現へ匿名でアクセスできることにも配慮が必要だ。2025年6月、米連邦最高裁はFree Speech Coalition v. Paxtonで、公開コンテンツの3分の1超が「未成年者に有害な性的素材」であるサイトに年齢確認を義務付けたテキサス州法を合憲と判断した。議会調査局によると、同年8月までに20州を超える州が同様の法律を成立させている。

ただし、この判決は、SNSや一般サイトを含むあらゆるサービスへの年齢確認を認めたものではない。審理の対象となったテキサス州法には「コンテンツの3分の1超」という基準があるが、上院版SCREEN Actには同様の数値基準がない。S.737がSNSや動画配信サービスに適用された場合にも、最高裁の判断がそのまま当てはまるかどうかは、なんとも言えないところだ。

身分証明書や顔画像の提供を拒めば、合法的なコンテンツを利用できなくなるかもしれない。一方で情報を提供すれば、性的関心やコミュニティへの参加に関する情報が、年齢確認データとともにサービス事業者や第三者に扱われることになる。性や身体に関する情報はとりわけ慎重な管理が必要であり、いったん漏えいしたり不正利用されたりすれば、被害を元に戻すことは難しいからこそ、慎重な進め方が求められるところだ。

連邦基準と州法が並存する可能性

SCREEN Actが成立すれば、州ごとに進んできた年齢確認は全国共通の義務へと広がる。ただし、提出時のS.737には州法を明示的に無効化する規定がないため、連邦基準と各州の異なる基準が並存することも考えられる。

また、下院を通過したKIDS Actには3分の1という対象基準があるのに対し、上院版には数値基準がない。両案の違いが今後どのように調整されるかも、成立可能性や実際の対象範囲を左右するだろう。

未成年者へのアクセス制限を、成人の匿名性や親密な情報の保護とどう両立させるのか。法案が進むなら、名称や目的だけでなく、実際の確認画面、収集項目、保存期間、異議申立ての手順まで確かめる必要がある。

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SCREEN Act プライバシー 年齢確認 性的コンテンツ

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この記事を書いた人

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LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年11月にあいテクテク株式会社創業。愛に寄り添うテクノロジーの切り口で事業を展開。一児の父。

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