記事の要点
・遠隔健康医療相談「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」を運営する株式会社Kids Publicは、同サービスを導入する自治体の「子育て世代包括支援センター」の遠隔サポートを行っていく。
・「子育て世代包括支援センター」は、妊産婦・乳幼児等への支援に関わる関係機関の情報共有や連携を目的に全国の自治体で開設が進むが、支援の要となる小児科医・産婦人科医といった医師の地域偏在が課題視されていた。
・「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」は医師の確保に悩む自治体を対象に、東京に拠点を置く医師による遠隔サポートを提供し、地域社会への貢献を目指す。
LoveTechポイント
新型コロナウイルスの影響を不安視する妊婦の声が増えています。
欧米では、感染症の流行によって自宅待機を強いられた結果、家庭内暴力や虐待が増加しているなどの報告もあり、セーフティーネットの強化が求められているタイミングでの遠隔サポートの決定は大変心強く、LoveTechだと思います。
編集部コメント
「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」というサービスをご存知だろうか?
病院に行かなくても、LINEや電話等で小児科医・産婦人科医・助産師に相談ができるサービスで、平日の18時〜22時の間10分間の予約制で、病気についてはもちろん、妊娠中や産後の気になったことなども聞ける。勤め先の企業や、居住しているエリアの自治体がサービス導入済の場合、何度でも無料で利用することができる。個人でも初週無料・月額3,980円(税抜)で利用が可能だ。
「小児科に行っても待ち時間が長い」
「待合室で風邪をもらってしまうのではないか」
「夜間に車で救急センターまで移動するのが大変」
さまざまなハードルを感じながらも、我が子の体調を案じて、念のため病院へ向かってしまうのが親心。もし、病院に今すぐ行く必要があるか、LINEで医師に質問することができたら…。夜間の移動や待ち時間の負担、そして医療現場の負担を軽減することができ、画期的なサービスだと感じる。
小児科オンライン・産婦人科オンライン 利用イメージ
「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」を運営する株式会社Kids Publicは、今後、同サービスを導入する自治体の「子育て世代包括支援センター」の遠隔サポートを行っていくという。初の導入事例となるのは、埼玉県横瀬町および鹿児島県錦江町で、2020年4月からサービス提供を開始する。
「子育て世代包括支援センター」の名前を聞きなれない人も多いかもしれない。
妊産婦・乳幼児等への支援には、医療機関、保育園、地域子育て支援拠点、保健センター、保健所など多くの機関が関わるが、関係機関間の十分な情報共有や連携が難しく、対象者への支援が分断されてしまうという課題があった。
この状況を改善する目的で「子育て世代包括支援センター」を設立することが平成28年6月2日に閣議決定され、2020年度末までの全国展開が予定されている。
厚労省の発表(※)では、2019年4月1日時点で全国1,717自治体のうち、983市区町村で設置が完了しているものの、支援の要となる小児科医・産婦人科医といった医師の地域偏在が課題視されている。
※厚労省「子育て世代包括支援センターの実施状況」
「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」は、今後、小児科医・産婦人科医が不在の自治体の子育て世代包括支援センターに対して、支援を行っていく。東京に拠点を置く小児科医・産婦人科医が遠隔でサポートに入り、以下のような領域で、専門家の視点を補っていくわけだ。
- 育児不安を抱えた家庭への対応のアドバイス
- 新型コロナウイルスを含む)感染症対策に関する助言
- 発達の悩みを抱えた家庭へのアドバイス
- 住民に向けた定期的な医療コラムの配信
- 住民対象の乳幼児健康相談事業でオンライン相談を実施
- 子育て世代包括支援センターの打ち合わせへの参加
Twitterでは、「#妊婦を守って」というタグつきで、新型コロナウイルスを不安視する声が増えている。また、感染症の流行によって自宅待機を強いられた結果、家庭内暴力や虐待に関する相談が増加しているという欧米からの報道も出始めた。
自宅内での様々なストレスが増えやすい状況において、小児科医、産婦人科医、助産師という妊娠・出産・子育てを支える専門家を含めたセーフティネットの強化が求められているタイミングで、こうした取り組みは心強い。
全国の自治体で導入が進むことを期待したい。
以下、リリース内容となります。