ICタグとブロックチェーン証明書でアート作品の来歴等を見える化。スタートバーンが新サービス発表

文化/芸術/心

記事の要点

・アート作品の流通を支えるブロックチェーンインフラ「Startrail」を手がけるスタートバーン株式会社が、「Startrailブロックチェーン証明書」と「ICタグ」をセットで提供するサービス『Startbahn Cert.』のβ版をローンチ。

 

・美術品に物理的なICタグをつけ、ブロックチェーン上の情報と簡単に紐つけるようにすることで、実空間における作品の流通状況とブロックチェーン上に存在する証明書の来歴情報の連携が容易になる。

 

・所有者がICタグに自身のスマートフォン等をかざすことで、「Startbahn Cert.」のビューアが開き、証明書に記録された各種情報(作品情報・発行者情報・来歴・個別規約など)を閲覧することができるようになる。またアート作品の流通に関わる事業者は、「Startbahn Cert.」のWebサイト上で自身のアカウントを開設することで、作品の制作者や所有者に対する証明書の発行や、取引に応じた来歴の更新、制作者への還元金などの流通や利用に関する個別規約の設定などが可能になる。

LoveTechポイント

アートはもっと、手軽で自由な見方がなされて良いと感じています。

Startrail協議会が運営するプラットフォームによって、ただ作品やその情報の流通を効率化させるだけでなく、中長期的にアーティストへの還元スキームを作り、業界全体の活性化を目指している点が、LoveTechだと感じます。

編集部コメント

アート作品の流通を支えるブロックチェーンインフラ「Startrail」を手がけるスタートバーン株式会社が、「Startrailブロックチェーン証明書」と「ICタグ」をセットで提供するサービス『Startbahn Cert.』のβ版をローンチした。

 

まずStartrailとは何かということだが、一言でいうと、アートの信用担保とさらなる発展を支える流通・評価インフラである。そこではアート作品の登録・売買ができ、ブロックチェーン技術を用いた作品証明書の発行や、来歴の証明・確認が可能となっている。

 

ほとんどの方は「アートなんて、なんとなく難しくて自分とは関わりがない世界」と感じるだろうが、このインフラが整備されることで、これまで美術商(ギャラリスト)などに閉じられていた情報が、我々一般消費者にも見える化され、アート作品やアーティストがより身近な存在になる可能性がある。

 

例えば、先ほど何気なく記述した「来歴」という単語。これは、特に高額な美術品等取引の際の重要な情報になる。所蔵歴ともよばれており、作家が作品を生み落してから、どのような過程を経て現在に至ったかを記した「記録」である。もちろん、ただ紙の記録が残っているだけでなく、例えば取引時の領収書や展覧会図録、展示された美術館のシールなど、その来歴を証明するものも往々にして添付されている。

 

こういった情報は圧倒的にクローズドな世界でやりとりされていたので、情報の非対称性が激しい領域だったわけだが、このStartrailプラットフォームが機能することで、アーティストをはじめとする業界関係者はもちろん、そうでない人でも適切な形で作品情報と流通経路を辿れるようになる。

 

これによってアートの楽しみ方が拡張されることはもちろん、アーティストというキャリアの選択や、その活動への支援の輪の広がりなど、様々なポジティブインパクトを期待する事ができる。また、作品が手から離れたアーティストへの恒久的な「還元金」の提供なども、可能になることだろう

 

2018年7月に同社がこの構想を発表して以来、「Art Blockchain Network」として約1年を超える実証期間を経て、2019年10月にはその全貌を記したホワイトペーパーを公開し、2020年3月にプラットフォームの名称を「Startrail」と改めて、今に至る。

 

ちなみに、Startrailは公共インフラとして独立性・公平性を保つため、同社が主導する任意団体「Startrail協議会」が、実際の運営を担っているという。

2018年11月発表時の構想イメージ

 

今回発表された「Startbahn Cert.」は、美術品に物理的なICタグをつけ、ブロックチェーン上の情報と簡単に紐つけるようにするもの。実空間における作品の流通状況とブロックチェーン上に存在する証明書の来歴情報の連携が容易になるわけだ。

 

ICタグはシールとカードの2種類が用意されており、その内部に埋め込まれたICチップの「UID」(NFCチップの製造時に付与されるユニークなID)と証明書のIDが一対一の関係で紐付いている仕様だ。

左・中:ICタグのオリジナルデザインサンプル(カード 8.6 x 5.4cm・シール 1.8×1.8cm) 右:ICタグに内蔵されているICチップ

 

所有者がICタグに自身のスマートフォン等をかざすことで、「Startbahn Cert.」のビューアが開き、証明書に記録された各種情報(作品情報・発行者情報・来歴・個別規約など)を閲覧することができるようになる。

証明書情報を閲覧するビューアイメージ

 

またアート作品の流通に関わる事業者は、「Startbahn Cert.」のWebサイト上で自身のアカウントを開設することで、作品の制作者や所有者に対する証明書の発行や、取引に応じた来歴の更新、制作者への還元金などの流通や利用に関する個別規約の設定などが可能になる。

 

現在アート作品の売買や管理のためのWebシステムを持っていない事業者でも、この「Startbahn Cert.」を利用することで、証明書の発行・移転が可能になる。プラットフォームとしての流通コミュニケーション機能を兼ね備えた大きなCMS(content management system)と捉えると、わかりやすいかもしれない。

 

この「Startbahn Cert.」、まずは初期導入として東方文化支援財団に対し、3,000枚のICタグ付きブロックチェーン証明書を有償供給するという。その上で東方文化支援財団は、「Startbahn Cert.」を必要とする希望者の中から選考の上、無償で提供していくという。


ストーリー性が人重要視される時代において、アート作品情報の見える化は、人々によるアートの新しい楽しみ方を刺激することは間違いないだろう。

 

ブロックチェーンだから全てを解決できるわけではないことは大前提としつつ、トレーサビリティ性の向上がアートの民主化が促進させ、アーティストへのリソース還元を実現し、結果をしてアートシーンがより別の意味づけもなされて活性化される。

 

そんなワクワクする未来を見据えたプロダクトが、着々と構築されていってることは、非常に豊かなことだと感じた次第だ。

 

この「Startbahn Cert.」、国内外のギャラリーや美術系学校などの証明書発行団体に向けて販売するとのことで、最新の流通インフラを体験する意味でも、該当事業者・団体は試しにスモールスタートで導入してみてはいかがでしょう。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

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