横浜のサーキュラーエコノミーを官民連携で加速。新プラットフォーム「Circular Yokohama」が始動

食/地域/環境

記事の要点

・Webメディア「IDEAS FOR GOOD」などを展開するハーチ株式会社が、神奈川県横浜市におけるサーキュラーエコノミーの取り組みを加速させるためのメディアプラットフォーム「Circular Yokohama(サーキュラーヨコハマ)」を3月19日にオープン。

 

・横浜市内で展開されているサーキュラーエコノミープロジェクトの可視化や、サーキュラーエコノミー体験プログラムの企画・提供、新規プロジェクトの創出やタレントシェアリングおよび国内外への発信を通じて、横浜市内の地域課題を解決し、新たな雇用創出や経済成長を実現することを目指す。

 

・サーキュラーエコノミーとは、循環型経済とも呼ばれ、従来からある“3R”とは異なる視点で欧州から生まれた経済活動の考え方。従来は廃棄されていたモノや未使用の空間などを「資源」として捉え、新しい付加価値の創出を目指す。世界では気候変動をはじめとする社会課題解決に向けた具体的な戦略として注目されている。

LoveTechポイント

サーキュラーエコノミーの考え方自体に目新しさはないですが、様々な社会課題を解決するために循環型経済を主流としていけるかどうかが論点で、これまで取り込めなかった層を巻き込めるか否かが重要になります。

そういった意味で、Circular Yokohamaがモノやサービス、空間だけでなく「ひと」のエンパワーメントや持続可能性に取り組み、人的観点からもサーキュラーエコノミーの実現を目指していくという点がLoveTechだと思います。

編集部コメント

Content Marketing for Good(社会をもっとよくするコンテンツマーケティング)をコンセプトにウェブメディア事業を手がけるハーチ株式会社が、神奈川県横浜市におけるサーキュラーエコノミーの取り組みを加速させるためのメディアプラットフォーム「Circular Yokohama(サーキュラーヨコハマ)」を3月19日にオープンした。

Circular Yokohama 公式サイト

 

サーキュラーエコノミーとは、循環型経済とも呼ばれ、従来からある“3R”(※)とは異なる視点で欧州から生まれた経済活動の考え方だ。従来は廃棄されていたモノや未使用の空間などを「資源」として捉え、新しい付加価値の創出を目指す。そんなコンセプトが2010年に確立し、これに対してEUが成長戦略として掲げ、戦略が具体化されていった背景がある。

※3R:Reduce(リデュース:廃棄物の発生抑制)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:再資源化)という、環境と経済が両立した循環型社会を形成していくための3つの取組の頭文字をとったもの。リデュース、リユース、リサイクルの順番で取り組むことが求められている

 

この辺りについては、当メディアでも以前、FIN/SUM取材の一環でお話を伺っているので、以下も参考にしてほしい。

 

それから10年弱、そのEUが2020年3月11日に新たな「Circular Economy Action Plan(サーキュラーエコノミー行動計画)」を公表した。

 

EUが先だって2019年12月に公表していた環境・経済・金融政策「欧州グリーンディール」の柱の一つとして位置づけられるなど、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済モデルに代わる、地球環境や雇用・労働環境に持続可能性をもたらすオルタナティブな社会経済の仕組みとしても注目される。SDGsを達成するための切り札とも考えられるだろう。

EU Circular Economy Action Plan

 

今回ハーチ社から発表された「Circular Yokohama」は、サーキュラーエコノミーの考え方を通じて横浜市内の地域課題を解決し、新たな雇用創出や経済成長を実現するためのメディアプラットフォームだ。

 

以下の取り組みを通じて、横浜のサーキュラーエコノミーを加速させることを目指すとしている。

  • 横浜市内で展開されているサーキュラーエコノミープロジェクトの可視化
  • サーキュラーエコノミー体験プログラムの企画・提供
  • 新規プロジェクトの創出やタレントシェアリング
  • 横浜発のサーキュラーエコノミープロジェクトの国内外への発信

Circular Yokohamaより

 

サイト内では既に複数のプロジェクトが紹介され、それぞれの取り組みが、どのような観点で「循環型」であるかどうかが解説されていて、読者は理解を深めることができる。

Circular Yokohamaより

 

実は、Circular Yokohamaを展開するハーチは、2016年10月から世界中のクリエイティブな社会課題解決アイデアを紹介するオンラインマガジン「IDEAS FOR GOOD(https://ideasforgood.jp)」を運営しており、その中で「サーキュラーエコノミー」に焦点をあてた取材を重ねてきた。

 

IDEAS FOR GOOD編集部は2019年11月から1ヶ月にわたりアムステルダム・ヘルシンキ・ロンドン・パリ・ベルリン・オスロの欧州6都市を訪問し、70以上の最先端サーキュラーエコノミープロジェクトを取材している。

 

これらの取材を通じて培った知見を基に、日本国内においてもサーキュラーエコノミーを推進し、優れた実践を創り出していきたいと考え、新たにスタートしたのがCircular Yokohamaの事業というわけだ。

2020年2月13日「みんなでつくる、横浜発のサーキュラーイノベーション」@横浜・YOXO BOX。ハーチでは、Circular Yokohamaのローンチに向けた準備段階として、2019年12月~2020年2月にかけて横浜市内の事業者・NPOとの協働により横浜・東京の2箇所でサーキュラーエコノミー関連イベントを3回開催し、合計200名以上の方が参加した

 

Circular Yokohamaが、循環型経済社会の先駆けとして社会に根付いていくには、どれだけ多様な人材を、規模感を持って巻き込めるかにかかっていると感じる。

まさにマルチステークホルダー・プロセスだ。

 

そういった意味で、2020年3月5日にハーチがフリーランスエージェント事業などを手掛ける株式会社Warisと事業提携(※)をしたことは注目すべきであり、プロジェクト成功の鍵となるのではないか。

※株式会社Warisは、ビジネス系フリーランス女性とのマッチング事業「Warisプロフェッショナル」と女性のための再就職支援事業「Warisワークアゲイン」などに取り組んでいる企業。今後、Circular Yokohamaを含む、さまざまなサーキュラーエコノミーやサステナビリティ関連プロジェクトに対してプロボノ、複業フリーランスなどの人材のマッチングが進む予定で、人的観点からもサーキュラーエコノミーの実現を目指していくという

 

モノやサービス、空間だけでなく「ひと」のエンパワーメントや持続可能性を推進できるか、編集部としてもこの点に重きを置き、取材を続けてみたい。

 

以下、リリース内容となります。

百谷伶奈

LoveTech Mediaライター。大企業~スタートアップの広報責任者まで、広報歴10年超。自身が妊娠・出産で苦労をしたこともあり、妊娠・出産・子育て領域...

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