信号機のない横断歩道をサポートする「ぴかっとわたるくん」。地域貢献型メディアとして販売を強化

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記事の要点

・工事用保安機材メーカーの保安道路企画株式会社が、広告代理店の株式会社アーバン企画と提携。歩行者横断点滅器「ぴかっとわたるくん」の普及を推進。新しい地域貢献型メディアとして一般販売体制を強化。

 

・夕方以降、暗くなると車両が歩行者に気付かず事故に繋がるというケースも多く、「ぴかっとわたるくん」によって、運転者がいち早く歩行者の存在を認知できることが期待される。

 

・JAFが2019年に行った調査では、信号機のない横断歩道で8割以上の車が一時停止しなかった。また、信号機のない横断歩道では2018年度までの5年間で450件の死亡事故、2万1,255件の負傷事故が発生している。運転者・歩行者双方の法令順守や意識の向上が求められている。

LoveTechポイント

痛ましい交通事故は後を絶たず、特に高齢者、子ども、障がい者の方々などは不安を抱えているケースも多いと思います。

信号機のない横断歩道での一時停止率6~7割向上という確かな結果を出している「ぴかっとわたるくん」を、一般企業の巻き込みによりインフラ化しようとしている姿勢がLoveTechだと思います。

編集部コメント

信号機のない横断歩道では、車が一時停止しない。

 

このことが今、大きな問題になっている。

 

JAFが2019年に行った調査によると、信号機のない横断歩道を通過する車両9,730台に対し、歩行者がわたろうとしている場面で一時停止した車は、1,660台だったという。全体の17.1%だ。つまり、82.9%の車が一時停止をしなかったというわけだ。

 

実はこの調査、毎年実施されているもので、2018年以前の一時停止率はさらに低い状況であった。以下の表の通り、2018年は8.6%、2016年は7.6%と、全体の1割にも満たない状況であった。

 

それと比べると数値自体はグッと上がっているわけだが、絶対数としては依然として低い状況。実際、読者のほとんどが自身の実体験と照らし合わせてみると、納得感のある数字ではないだろうか?

出典:JAF「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2019年調査結果)

 

では実際の事故発生件数はどうか。

 

令和元年版交通安全白書によると、自動車と歩行者との交通死亡事故の約7割が道路横断中の事故で、信号機のない横断歩道では2018年度までの5年間で450件の死亡事故、2万1,255件の負傷事故が発生している。

出典:令和元年版交通安全白書「信号機のない横断歩道における自動車の危険認知速度別歩行者の事故件数(平成26年~平成30年)

 

グラフ(左)にある通り、信号機のない横断歩道での死亡事故では、自動車の横断歩道手前での減速が不十分なものが多い。

 

運転者が、横断歩道手前での減速義務や横断歩道における歩行者優先義務(※)を再認識する必要があるのはもちろんだが、日常の運転シーンで「信号機=注意すべき場所」との認識が刷り込まれている状況の中、信号機がないシーンでの注意喚起を施すといっても、現実的にはなかなか難しいところであろう。

※道路交通法では、信号機のない横断歩道で歩行者が待っていた場合、車両等は一時停止することが運転者に義務付けられている。横断歩道における歩行者優先を守らないと「横断歩行者等妨害」という違反となり、違反点数は2点、反則金は普通車9,000円、大型車12,000円、バイク7,000円、原付6,000円が科せられる。

 

「じゃあ信号機を増やせばいい。」

 

そんな声ももちろんあるが、信号機は導入・メンテナンス、いずれにおいても相応のコストが発生する。例えば秋田県警のQ&Aによると、通常の定周期信号機は約470万円の導入コストがかかるという。また、他関係者の話によると、歩行者専用信号機は、場合によっては700万円ほどかかるとも言う。人口減に伴い行政予算が年々削減される昨今においては、むしろ一部信号機撤去の動きすら検討される可能性がある状況だ。

 

そんな背景の中、上述の両コスト面の課題を低減させ、運転者の注意喚起を施すべく開発されたのが「ぴかっとわたるくん」である。

 

これは、押しボタン式歩行者信号機のように、横断する際にボタンを押すとLEDランプが点滅し、ドライバーへ横断者がいることを知らせてくれるもの。16個のLEDを点滅させ、ドライバーに歩行者の存在を素早く知らせることができる。特に夜間での効果発揮が期待できるだろう。

 

価格は1台250万円(税別)からで、10年間利用した場合、月あたりの金額は2.4万円からとなる。ソーラーパネルで充電するため電源不要で、5年間はメンテナンスフリー。5年経過後はメンテナンス費(おおよそ50万円程度とのこと)のみで再度5年間の利用が可能だ。

 

先述した一般的な歩行者専用信号機よりも、圧倒的にシンプルな設計なので、製品・施工・メンテナンスいずれにおいてもコストがかなり抑えられる。

 

また、その導入効果も如実に現れている。設置後の調査によると、6ヶ月後に一時停止率が6~7割にまで向上し、設置前と比べると約6倍の結果だったという(保安道路企画による各設置場所での調査における平均値)。

 

本製品は工事用保安機材メーカーの保安道路企画株式会社が開発したもので、2018年の発売以来、交通事故防止策として賛同した横浜市旭区など、複数の自治体で順次設置が進んでいる。

 

だが、自治体主導の設置では普及にも限度があることから、この度、横浜の総合広告代理店・アーバン企画との提携が発表され、地域社会との共生を目指す「地域貢献型メディア」として活用することで、一般への普及を目指すというわけだ。

 

SDGsの達成に乗り出す企業が増えているなか「住み続けられるまちづくりを」という観点で、地域社会の安全な暮らしを守る活動に取り組む事例も今後ますます増えることが予想できる。企業の力で、普及速度が加速することが期待されるだろう。

 

<契約から設置までのフロー>

出典:広告代理店・株式会社アーバン企画

 

「ぴかっとわたるくん」が、運転者と歩行者、双方の意識を向上させるきっかけになり、交通ルールの順守を徹底する人が増えることを期待したい。

 

以下、リリース内容となります。

百谷伶奈

LoveTech Mediaライター。大企業~スタートアップの広報責任者まで、広報歴10年超。自身が妊娠・出産で苦労をしたこともあり、妊娠・出産・子育て領域...

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