記事の要点
・「死」からテクノロジーと社会の未来を問う展覧会「END展 死×テクノロジー×未来=?」が、11月3日(祝水)から11月14日(日)まで計12日間、東京・六本木のアートコンプレックスビル・ANB Tokyoで開催。
・会期中は描き下ろしの短編マンガやHITE-Mediaが選び抜いたマンガ作品の1コマ、気鋭のアーティストたちの作品が展示。併せて11月6日(土)・7日(日)には、会場に様々なゲストが登場し、彼ら彼女らをホストにした「END BAR」と呼ばれる対話の場も催される予定。
・直前企画では、角川ドワンゴ学園N高等学校、S高等学校、N中等部との共同企画も予定されており、中高生たちとの「死」をテーマにしたディスカッションを通じて生まれた様々なコメントが、会期中に展示物として可視化される。
編集部コメント
11月3日より12日間限定で、「END展 死×テクノロジー×未来=?」という、なんとも興味深い名前の展覧会が開催される。
日々のネット検索や購買の履歴、SNSの投稿からスマホの位置情報に至るまで、ネット上には多くの個人データが蓄積されているが、自分の死後、これらの情報がどのように扱われるか、想像したことはあるだろうか。
いまやAIが亡くなった著名人の「新作」を発表したり、バーチャル空間で死者と擬似的に「再会」したりすることも可能な時代となっており、家族形態や住む土地への帰属意識の変化によって、葬儀や墓など弔いのあり方も見直されるようになってきている。
「死後、SNSのデータは消したいですか?」
「故人とVR上で再会できるとしたら、会いたいですか?」
「お墓は今後も必要でしょうか?」
今回開催されるEND展では、このような「死」をテーマとしたさまざまな問いが、来場者へと投げかけられるという。また、そのプロセスに対するヒントとして、会場では描き下ろしの短編マンガや気鋭のアーティストたちの作品を展示。「死」を切り口にした参加者とアーティスト、そして企画者による哲学対話のようなイメージで、会場構成がなされるということだろう。
こちらを主催するのは「HITE-Media」。
HITEとはHuman-Information Technology Ecosystem(人と情報のエコシステム)」の頭文字をつなげた造語で、人や社会への理解を深めながら、どんな問題が起きるかを考え、人間を中心とした視点で新たな技術や制度を設計していく研究領域のことだという。これは科学技術振興機構社会技術研究開発センター(RISTEX)から発信されている公募型の研究開発領域でもあり、先端情報技術を「人間中心」の視点で捉えなおし、技術や制度を協調的に設計していくことを目指しているという。
HITE-Mediaは、このHITE領域のなかでも、多様な領域の研究者やエンジニア、企業、メディア関係者、クリエイターといった異分野の人々を交えて活発な議論の場を創出するプロジェクトのこと。そこで生まれた様々な「問い」を人々に届け、未来への想像力がふくらむ媒介として、マンガを軸としたメディア・コンテンツを制作している。
メンバーを見てみると、武蔵大学社会学部 教授の庄司昌彦氏を研究代表として、ドミニク・チェン氏や中西崇文氏など、錚々たるユニークなメンバーが参画していることがわかる。
当日は、この運営メンバーが選び抜いたマンガ作品の1コマも、複数展示されるというから楽しみだ。
11月3日(祝水)から11月14日(日)まで計12日間、東京・六本木のアートコンプレックスビル・ANB Tokyoで開催される予定のEND展。
直前企画では、角川ドワンゴ学園N高等学校、S高等学校、N中等部との共同企画も予定されており、中高生たちとの「死」をテーマにしたディスカッションを通じて生まれた様々なコメントが、会期中に展示物として可視化されるという。
さらに11月6日(土)および7日(日)には、会場に様々なゲストが登場し、彼ら彼女らをホストにした「END BAR」と呼ばれる対話の場も催される予定だ。
展示会は全てオンライン事前予約制となっており、平日は3つ、土休日は4つの予約グループから選択することとなる。
コロナ禍においては従前以上に「死」について考えた方は多いだろうが、「アート作品を通じたデジタル社会における死」というテーマに没入できる機会は、日々過ごしている中ではそうそうないのではないだろうか。
今回の企画をきっかけに、自分の中の「死」の概念を見つめ直すと、何か新たなきっかけになるかもしれない。
《出展作家》
[マンガ家]
五十嵐大介/諸星大二郎/しりあがり寿/うめ(小沢高広・妹尾朝子)/ハミ山クリニカ+宮本道人
[アーティスト]
ノガミカツキ/たかくらかずき/Mikiko Kamada
[マンガ・1コマ出典作品(予定)]
岩明均『寄生獣』/士郎正宗『攻殻機動隊』/萩尾望都『トーマの心臓』/よしながふみ『大奥』/大島弓子『ダリアの帯』/星野之宣『ヤマタイカ』/五十嵐大介『海獣の子供』/板垣巴留『BEASTARS』/ヤマシタトモコ『違国日記』/山下和美『ランド』/市川春子『宝石の国』/遠藤浩輝『EDEN』/平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』/山田参助『あれよ星屑』/岡崎京子『リバーズ・エッジ』/鬼頭莫宏『ぼくらの』/ウチヤマユージ『よろこびのうた』/川上泰樹『転生したらスライムだった件』/柞刈湯葉・中村ミリュウ『オートマン』/地下沢中也『預言者ピッピ』/石森章太郎『サイボーグ009』/長谷川裕一『機動戦士クロスボーンガンダム』/野田サトル『ゴールデンカムイ』/大友克洋『AKIRA』、ほか
《開催概要》
- 展覧会名:END展 死×テクノロジー×未来=?
- 会期:2021年11月3日(祝・水)〜11月14日(日)(12日間)
- 開場時間:平日 13:00〜18:00/土日祝 11:00〜19:00
- 会場:ANB Tokyo(港区六本木5-2-4)*六本木駅から徒歩3分
- 入場料:無料
※事前予約制(ご予約はPeatixより)- 本展は、新型コロナウイルス感染予防措置を講じて、オンライン事前予約制にて開催いたします。以下の入館時間枠でご予約をお取り頂き、その時間枠内にご来館ください。
■平日 13:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
①13:00〜14:30
②14:30〜16:00
③16:00〜17:30
■土休日 11:00〜19:00(入場は閉館の30分前まで)
①11:00〜13:00
②13:00〜15:00
③15:00〜17:00
④17:00〜18:30
※指定した時間枠内であれば、いつでもご入場頂けます。
※入場後は終了時間まで時間制限なくご鑑賞頂けます。入替制ではありません- 主催:HITE-Media
- 共催:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)
会期中イベント《END BAR》
なかなか表立って話される機会のない、現代社会をめぐる様々な死にまつわる問いについて、さまざまなゲストがホストとして参加者と対話を繰り広げる《END BAR》を開催します。
- 日時:11月6日(土)、7日(日)
- お申し込み:【END BAR お申し込みフォーム】より
※詳細はこちらのページをご覧ください。