記事の要点
・特定技能人材の農繁期スポット派遣事業を行なっている株式会社シェアグリが、損保ジャパン株式会社およびSOMPOリスクマネジメント株式会社と連携して、農業における労働安全の推進についての取り組みを行うことを発表。
・まずシェアグリが、人材シェアリング先の農業経営体に労働安全・労務管理に関するアンケートを実施し、取組みの実態を把握。そこで、取組みが十分ではないと判断される場合には改善を促すとともに、必要に応じて損保ジャパンやSOMPOリスクサイドへと繋げる。
・農作業というものは死亡事故発生率が高い仕事であり、年間の死亡者数は300人弱と、年間推移としては減少トレンドになってはいるものの、林業および漁業に次ぐ高い数値となっている。
LoveTechポイント
農業における大きな課題となっている死亡・傷害事故を、農場の実情に合わせる形で減少させるという、LoveTechな取り組みです。
今回の連携を通じて、農業が、労働環境としての安全性が担保できる業界構造へとシフトしていくことを期待したいと思います。
編集部コメント
特定技能人材の農繁期スポット派遣事業を行なっている株式会社シェアグリが、損保ジャパン株式会社およびSOMPOリスクマネジメント株式会社と連携して、農業における労働安全の推進についての取り組みを行うことを発表した。
どういうことか。
元来、農作業というものは死亡事故発生率が高い仕事であり、年間の死亡者数は300人弱と、年間推移としては減少トレンドになってはいるものの、林業および漁業に次ぐ高い数値となっている。
事故の原因は、傾斜地での転倒や高所での作業中における転落、農業機械使用時における不注意に起因するものなど多岐にわたっており、全産業の死亡者数の約3割を占めていることになる。
また、担い手の高齢化や後継者不足による就農者数の減少は農業における申告な課題であり、高い死亡事故の発生率もその一因となっている可能性がある。
このような状況の中、派遣スタッフに安心して働くことができる環境を提供したいとの思いから、今回の労働安全・農作業事故防止の推進に共同で取り組むことになったという。
今回の提携の概要は、まずシェアグリが、人材シェアリング先の農業経営体に労働安全・労務管理に関するアンケートを実施し、取組みの実態を把握する。
そこで、取組みが十分ではないと判断される場合には改善を促すとともに、必要に応じて損保ジャパンやSOMPOリスクサイドへと繋げる。
SOMPOリスクは、人材シェアリング先の農業経営体に対し、労働安全・農作業リスク対策支援を行う他、設立間もない農業経営体に対して、農作業中の安全等に配慮した就業規則や職場環境のチェック、福利厚生策の作成支援等も行う。
また損保ジャパンは、シェアグリが実施したアンケート結果を基に、農業経営体が抱えるリスクに対応した適切な保険手配や、就業規則の整備支援、確定拠出年金制度導入等の支援、福利厚生制度としての団体保険制度等の提案を行うことになる。
つまり、シェアグリ、損保ジャパン、SOMPOリスク、農業経営体の4者が提携することで、人材がより働きやすい環境の整備を目指していくというわけだ。
「農為國本」という言葉の通り、農業は国家の基本であり、国家の土台となる産業だ。
一方で、農業は栽培の過程における事故が少なくない状況であり、スポットで支援する人材からすると、あまりにもリスキーな面があることも、また事実である。
今回の連携を通じて、農業が、労働環境としての安全性が担保できる業界構造へとシフトしていくことを期待したい。