記事の要点
・味の素が、アスリート向け献立提案AIアプリである「ビクトリープロジェクト®管理栄養士監修 勝ち飯®AI」β版を開発し、ユーザーテストを開始。
・特に栄養面では、同社のトップアスリートへの食サポート活動「ビクトリープロジェクト®」管理栄養士監修のもと、そのサポート現場で使用される栄養計算基準をアルゴリズム化。
・今回のβ版にて限定ユーザテストを開始し、ユーザーからのフィードバックを通してサービスの有効性やコンセプトの受容性を確認する。
LoveTechポイント
これまでも多くの選手などとの連携がなされている「勝ち飯」が、いよいよアプリ化されたということで、選手にとっても調理者にとってもメリットがあるアプリです。
特に調理者が「選手の栄養価を考えた献立」を毎回ゼロベースで考える苦労からある程度解放してあげる点が、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
うま味調味料等の販売でおなじみ、味の素株式会社が、アスリート向け献立提案AIアプリ「ビクトリープロジェクト®管理栄養士監修 勝ち飯®AI」(以下、勝ち飯AI)β版を開発し、ユーザテストを開始した。
勝ち飯AIとは、既存の提供ブランド「勝ち飯」をAIアプリ化したものだ。
昨今、生活者のライフスタイルの多様化、デジタルテクノロジーの発展に伴い、個人に最適化されたサービスの提供が求められる中、”食のパーソナライズ領域”に着目し、生活者へダイレクトに価値を届けられるモデルを検討してきた。
同社では、日々のライフスタイルの変遷に伴う食のパーソナライズ領域に着目しており、その調査のために生活者へヒアリングやリサーチを実施。その結果から、一般アスリートや部活生においても、トップアスリートと同様の「食サポートプログラム」のニーズが高いことが判明した。
また、食事を作る側である中高部活生を子に持つ親からは、子どもの食事を作るときの栄養計算や献立の組み立てに困っているといった声が上がっており、一方で指導者からは、コロナ禍に伴って「たくさん動いてたくさん食べる」が指導できないといった声も多く聞かれたという。
このような背景から、同社がこれまでトップアスリート向けに培ってきた栄養計算や高度なサポートの知見を、一般のアスリートにも広く提供していくことをコンセプトに数年前から開始されたのが「勝ち飯」プロジェクトであり、それを自動献立提案すべくアプリされたものが「勝ち飯®AI」というわけだ。
「勝ち飯AI」では、アスリートの厳しい栄養基準を満たしながらも、好きなメニューを献立に組み込むなど、食事を楽しみ、親子のコミュニケーションを促しながら選手の目標に向けてサポートする機能が実装されている。
栄養面では、同社のトップアスリートへの食サポート活動「ビクトリープロジェクト®」管理栄養士監修のもと、そのサポート現場で使用される栄養計算基準をアルゴリズム化。これにより、ユーザーがアプリ上で必要情報を入力すれば、AIがその内容を自動判断し、トップアスリートと同様のレベルで、栄養基準を満たす献立の提案をしてくれるという。
また、必要栄養価を充たす献立を提案するためのメニューデータベースには、同社が運営するレシピサイト「AJINOMOTO PARK」のデータを活用。各々のメニューに対し、栄養情報はもとより季節や調理時間など様々な情報が紐づけられており、AIのリコメンドのための学習教材となっている。
使い方としては、まずは「選手」と「調理する人」がアカウントを連携し、選手は身体の基本情報や種目、目標などを登録。体組成の対組成や食事記録をつけていくことで、AIが選手の摂取した栄養価を自動判断し、選手に最適化された献立をリコメンドするようになるという。
一方で調理する人は、選手の目標や体組成に応じてAIから提案される献立(10日分、毎食3パターン)から調理するメニューを選ぶことができ、あらかじめ選手が食べられない食材を登録したり、選手からのリクエストメニューを表示することもできるようになっている。
まずはβ版ということで、ユーザー(選手と調理する人)からのフィードバックを通じて、サービスの有効性やコンセプトの受容性を確認することになる。
日々の献立作成には時間がかかるものだが、食事によるパフォーマンスの向上意識が高い一般アスリートや、部活生をもつ親にとって、必要な栄養を含み、美味しさや好みも考慮した献立を作成することは、一般人の知識だけではとても難しい事だと感じる。
今回のユーザーテストを通し、より良い形で「勝ち飯AI」がリリースされ、献立作りに悩める人により広く認知・活用されることが期待される。