記事の要点
・西粟倉村の関係人口アプリ「西粟倉アプリ村民票」の登録者が、2021年6月22日に1,420名に達し、アプリリリース以来のマイルストーンである村の人口(1,418名)を超えたことが発表された。
・「西粟倉アプリ村民票」は、西粟倉村とその関係人口とを繋ぎ、ネットワークを作るスマートフォンアプリで、2019年3月のリリースから2年4ヶ月間、登録者の拡大に努め、村民規模に匹敵するネットワークを形成するに至った。
・今後は、関係人口と村との様々なコラボレーションを支える活発なネットワークとしてさらなる成長を目指していく。
LoveTechポイント
アプリ以外にも関係人口はいるのでしょうが、そうはいっても顕在的にアプリを活用する「強めの関係人口」が村の人口を超えたというのは、凄いことなのではないかと感じる次第です。
リアルとデジタルの双方を駆使して地域活性化を強力に推進している点が、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
岡山県の最北東端に位置し、村の面積の約93%を森林が占める小さな自治体、西粟倉村が運営する「西粟倉アプリ村民票」をご存知だろうか。
これは、西粟倉村とその関係人口を繋ぎ、ネットワークを作るスマートフォンアプリだ。
村の出身者(現村外在住者)や、仕事や旅行で村を訪れた人、村にふるさと納税をした人、何らかの理由で村と関わりを持ったことがある人、そのほか村に関心を持つすべての人々、すなわち西粟倉村の関係人口が、いつでも村の動向にアクセスしてイベントやアンケートへと参加できるツールである。
2019年3月にリリースされたアプリだが、そのユーザー数は順調に成長しており、2021年6月22日に1420名を突破。人口1,400人余り(1,418名)の小さな自治体で運営される関係人口ネットワークとしては異例の数である。
西粟倉村では登録者拡大に向けた施策として、2019年度に村産品のサンプリングとアンケートを実施、2020年度には村の総合振興計画に対して関係人口の意見を取り入れるためのアンケートを実施するなど、村と関係人口の繋がりを意識した取り組みを推進してきた。
また、アプリの登録者には西粟倉村への移住や、それにともなう村での仕事探しに関心を持つ人が多いことから、村の求人情報を集めた「村の求人票」など、移住促進に役立つコンテンツなども定期的に発信。現在に至るまで、人気のコンテンツになっているという。
さらに、2020年にはトップページデザインを刷新し、アプリと連携した地域通販サイト「nimogie(ニモギー)」もオープン。西粟倉村の森に繋がる産品をギフトとして全国に贈れるサービスも開始している。
日常的な利用を見込んだアプリのアクティブ率は10%~20%が標準的とされ、一般的には20%を越えると優秀な状態とされるなか(※)、本アプリは2020年8月の全面リニューアル以降、平均28%のアクティブ率(月間アクティブユーザー数)、月次のニュースレターについては毎回30%を超える開封率を実現。北は宮城県から南は沖縄まで登録者は全国に分布している状況だという。
※参考:https://makitani.net/shimauma/dau-mau-ratio
そんな西粟倉村は、他にも先進的な取り組みにチャレンジしている。
2008年に「百年の森林(もり)構想」を掲げ、村にとってかけがえのない資源である森林を、世代を超えて守り育てるために林業の六次産業化の推進や、再生可能エネルギー100%の村作りに取り組んでいる。
また、村へ移住し、村で起業する人たちの支援である「西粟倉ローカルベンチャースクール」の取り組みを2015年からはじめており、2021年度からは「TAKIBIプロジェクト」として、年商1億円規模のビジネスを複数創り出すための取り組みを開始している。
さらに、村と村内企業との共同で「一般財団法人西粟倉むらまるごと研究所」を設立し、「最新テクノロジーは地域や人を幸せにできるのか」を命題に、西粟倉村をまるごと検証フィールドとして、企業や研究機関と新技術の研究開発及び地元と連携した実証事業も行っている。
「西粟倉アプリ村民票」は、そのような活動を強力にバックアップする存在だと言えるだろう。
多くの自治体が関係人口の創出に苦労している中、西粟倉村の取り組みは一つの成功事例として大いに参考になるだろう。
面白い自治体で面白い活動に参加してみたい。そんな思いを持っている方は、早い段階から様々な施策を打っている西粟倉村の「西粟倉アプリ村民票」に登録してみてはいかがだろうか。