記事の要点
・放置竹林の課題解決を目指すLOCAL BAMBOOが、耳川広域森林組合と業務提携を締結。
・耳川流域における森林資源の保護と林業のさらなる発展を目的とし、林業の担い手確保の推進、林業のマーケット拡大と林業の6次産業化推進、耳川流域の森林資源の保護に関する取り組みを強化していく。
・耳川広域森林組合は、林業振興を図っていくことを目的に、耳川流域8つの森林組合が合併した団体。
編集部コメント
宮崎県延岡市で放置竹林の課題解決を目指すLOCAL BAMBOOが、耳川広域森林組合との業務提携を発表した。
誰にも整備されず、森に入る日光を遮るなど様々な被害をもたらす放置竹林。
生活用品や建材、たけのこ生産等に利用され適切に管理されている竹林がある一方で、このような放置竹林の面積は増加傾向にあるという。生産者の高齢化・後継者不足、プラスチック製品の普及や輸入タケノコの増加といった要因が増加を後押ししている状況だ。
そこで地域ベンチャーであるLOCAL BAMBOOが始めたのが、放置竹林を食材の「メンマ」にする活動である。すでに2020年11月から1年間で、約1,000㎡の竹林管理に相当する竹を「延岡メンマ」として販売している。
一方、耳川広域森林組合は、2000年に耳川流域にあった8つの森林組合が合併して誕生した組織。林業振興を図っていくことを目的として、植林〜育林〜伐採〜加工に至る林業のサイクルにおいて、一貫したサービス提供を実現している。
全国トップクラスの素材生産量を誇る耳川流域だが、前述の放置竹林や、全国的な人材不足の影響を受け、担い手不足といった課題が深刻化してきた。
今回の締結は、この耳川流域における課題解決と森林資源の保護、そして林業のさらなる発展を目指したものとなる。
具体的な活動として、まず、林業に興味を持ってもらうための体験イベントや移住促進、インターンカリキュラムの企画・実行を行う。これは、中長期的な林業の担い手確保に繋げていくことも視野に入れた取り組みである。
また、「林業に興味がある」「製品を開発したい」という人に対し、林業における新しい仕事や職業も提案。林業のマーケット拡大と、林業の6次産業化推進を目指していくという。
さらに、木材製品として高い評価を得ている「宮崎・耳川の杉」のブランド化を進め、間伐等の適切な森林整備を推進。放置竹林の課題を解決することで、森林資源を守り、育てる活動を継続的に行っていく予定である。
森林管理をする農業従事者、林業従事者といった、日々の暮らしを支えてくれる存在が減っていることは全国的な課題でもあるだろう。宮崎から始動した本取り組みが、森林管理に課題を抱える多くの地域に広がっていくことに期待したい。