日本の皆さん、こんにちは!
私は、フィンランドにて、妊娠から出産、育児における、母子とそのご家族へのトータルケアに従事してきた助産師のシニ・ハブカイネン[Sini Havukainen]です。妊娠から出産、子育てまでをトータルサポートするフィンランド発の無料アプリ「Layette(レイエッテ)」の監修も行っています。
フィンランド発の妊娠子育て無料アプリ「Layette(レイエッテ)」
フィンランドは、手厚い子育て支援制度やきめ細やかな産科クリニックでのケアが世界的に高く評価されており、子育てのしやすい、ママに最も優しい国とも言われています。
突然ですが、妊娠中の皆さんは、パートナーと良好な関係を築けていますか?
フィンランドは、ジェンダーギャップ指数ランキング世界第3位(※1)を誇り、男女平等の考えが社会に根付いています。また、2020年には政府が今後父親が取得できる育児休暇の期間を拡大し、母親と同じにするという方針を発表(※2)するなど、国として男女共同参画をさらに推進しています。
そのため、フィンランドの男性は子育てに参加するのが当たり前であり、子育てを「手伝う」という意識はありません。そのようなベースがあることは、フィンランドの妊婦さんに精神的な安定をもたらす大きな要因でもあると思います。パートナーとより良好な関係を築くことを日々心掛ければ、これからやってくる出産や育児をポジティブに、またリラックスした状態で臨むことができると考えます。
今回は、フィンランドで長年培ってきた知識や経験をふまえ、妊娠中にパートナーとの信頼や愛情を高めるためのコツをご紹介したいと思います。
※1. ジェンダーギャップ指数ランキングTOP20
世界経済フォーラム(WEF)「世界ジェンダー・ギャップ報告書2020」p9より
※2. フィンランド、サンナ・マリン政権が2020年2月5日に発表。現行制度下では母親が約4.2カ月、父親が約2.2カ月(子どもが満2歳になるまで)の育休を取得できるが、新制度では両親共に最大約6.6ヶ月(164日)の育休を取得することができるようになる。また、それぞれが最大69日分をパートナーに譲ることも可能になる。施行は2021年秋を予定。詳細の報道資料はこちら
お互いへの信頼と愛情を高めるための、パートナーとの関係を築くコツ
妊娠期は、女性が母親になるための準備期間だけではなく、男性が父親としての意識や役割を身につけるための準備期間です。赤ちゃんは母親の体内で成長しますが、子どもを迎える親として、父親は母親と対等です。パートナーとより良い関係を築くために、ぜひ以下のことを実践してみてください。
自分の考えや相手に対する期待を伝え、尊重しあうことで絆を深める
妊娠がわかったら、パートナーと妊娠のことや親になることについての考えや感情を率直に、時間をかけてゆっくり話し合いましょう。女性が母親になるのと同様に、男性が父親になるには多くの変化が伴います。子どもと家族を支えられるだろうかと不安になったり、趣味や友人付き合いへの喪失感を感じる男性もいます。
そのため、妊娠初期の段階で、自分の気持ちや相手に対して期待することを伝えましょう。また、出産が近づいたら、パートナーと事前に出産について話し合い、出産中にリラックスできる方法を話し合うことも大切です。
余談ですが、フィンランドには出産時に訓練を受けたドゥーラ(※)と呼ばれる出産支援者を、パートナーに加えて、分娩室に伴うことがあります。ドゥーラは出産時においてパートナーをサポートする役割もあり、多くのパートナーは、出産をスムーズに進める方法をドゥーラに相談できるため、大きな安心を得れると感じています。いずれにしても、お互いの気持ちを尊重しながら、同じ方向を向いて出産・育児に備えていくことにより、パートナーとの絆を深めことができます。
※ドゥーラ(doula):フィンランドドゥラット協会を参照
パートナーに出産・妊娠に関する知識の習得を促し、共感度を高めましょう
特に初めての妊娠の場合、男性は妊娠や出産に関する知識がほとんどありません。フィンランドでは、パートナーがネウボラでの検診や保健指導に付き添うことは一般的です。そこで、妊娠や親になることへの意識や、育児は共同参画するものであるという自覚が高められます。ぜひ日本でも、パートナーも医師や助産師の話を聞きに検診に付き添ったり、パパママクラスに参加するなどして、妊娠や出産に関する知識を深めるよう心掛けましょう。
また、妊娠がどのように進んでいくかについて、パートナーのそばでリアルタイムで把握するようにしましょう。パートナーの知識や共感度が高まると、妊娠の辛さや悩みを共有することができます。
また、「手伝う」から「共に行う」という感覚が芽生えれば、より良い関係性を築くことができるでしょう。
愛情を確認するためのスキンシップと性生活についての相互理解
妊娠中に、お互いに性生活をどのように考えているのかを理解することは重要です。フィンランド医学会Duodecimは次のように述べています。
「産科医やその他の医療従事者から制限されない限り、妊娠中にセックスをすることがあるでしょう。重要なのは、成長する子宮への配慮です。つまり、子宮に強い圧力をかけないようにし、常にそのような方法や態勢で練習する必要があることを意味します。」
男性の性のサイクルは一定であり、性欲があるということは健康な証拠です。女性は男性のからだのメカニズムを理解し、妊娠中に快適な性生活を営むための方法をパートナーと確立させましょう。
体調不良で気分が進まないときは、我慢せずにお休みしたいことをはっきりと伝えることも重要です。その代わり、お腹を触ってもらったりボディーケアをしてもらうなどして、積極的にスキンシップをとりましょう。お互いの愛情を確認することができます。
フィンランド保健福祉研究所は、「妊娠中の睡眠不足、ストレス、さらに家族関係の悪さは妊娠中・出産後の母親のうつ病を引き起こす要因となり得ることや、それが新生児にも悪い影響を与える」ことを示しています(※)。つまり、パートナーとの関係が良くないと、深刻な心の病を発症するだけでなく、子どもとの関係性にも影響するのです。
妊娠中は、これまでになかった様々な問題が起こりやすくなりますが、それはパートナーとの信頼や愛情を高めるチャンスでもあります。お互いに配慮しながら協力し合い、日々の問題に取り組みましょう。
愛情に満ちた夫婦関係は、妊婦さんが妊娠中にリラックスし、出産後には赤ちゃんの結びつきを深めるうえで役立ちます。お互いを尊重し、前向きにサポートしあう環境をつくることが、良好な関係を築くための鍵となります。
※フィンランド保健福祉研究所(Finnish institute for health and welfare)より “Even mother’s mild depressive symptoms affect the child’s emotional well-being – support must be provided through pregnancy and the child’s first year”
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今回ご紹介した内容は、フィンランドでの私自身の助産師としての知識や経験のほんの一部です。これから、妊娠、出産、育児を迎える日本のママたちのお悩みの解消や、妊娠期を健康的にでポジティブに過ごすためのノウハウとして、お役に立てていただけることを願っています。
「Layette(レイエッテ)」共同創設者、CEO兼助産師 シニ・ハブカイネン
より詳細な情報は、フィンランド発の妊娠子育て無料アプリ「Layette(レイエッテ)」でご覧いただけます。
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