AIスタートアップ2社
次に、実際にAIスタートアップとして事業展開する2社による事業紹介がなされた。
人類の面白い未来を期待しよう(金井良太氏)
高度なAIソリューションを提供する株式会社アラヤは、大きく以下3軸での事業展開をしている。
- ディープラーニングを活用した画像・IoTセンサー識別ソリューション
- ディープラーニングの精度を下げないように演算量を削減する技術提供
- 深層強化学習の応用(これからPoC段階)
特に2番目の「ディープラーニング小型化ソリューション」について、ディープラーニングが研究・開発から実用・普及フェーズに入ってくる中で、スマートフォンや自動車・家電といったエッジ側での処理実行ニーズが高まっており、これらを実現する小型化・高速化・低消費電力化ソリューションとして注目されている。同社独自開発のディープラーニング演算量削減技術は、Microsoft Innovation Award 2018の最優秀賞を受賞している。
「人類の面白い未来を期待しよう、というコンセンサスが弊社内にあり、私たちが想像していないような産業が、AIの発達により誕生すると期待しています。
インターネットが登場した時と比較して考えると、今はまだ『ホームページを作成します』みたいな段階だと思うんです。今後、検索サービスやSNSに準じたものが出てくるはずです。
今は、知っている問題にAIを当てはめる形が多いですが、今後、AIを使って新しく解ける問題を見つけるようになるでしょう。そしてそれらを解くことで、人類の未来に劇的な効果が現れると期待しています。」
安いデバイスに乗せて大量に運用する(中村晃一氏)
ディープラーニングによる画像認識等の推論技術を、ハードウェア製品に搭載する技術に取り組むIdein株式会社。
ディープラーニング演算を行うには、できるだけ高性能なプロセッサを利用したい一方で、製品価格や消費電力がかかりすぎるという課題がある。また熱や湿気、埃といった環境を考慮する必要もあり、ハードウェアについてもしっかりと考える必要がある。現状では、このソフトとハード、両方において選択肢が少ないという状況がある。
そんな中、クラウドやサーバーではなく末端のデバイス上でディープラーニングを実行するというエッジコンピューティングのニーズが高まっており、同社はそのための「最適化コンパイラ技術」を研究開発している。
「エッジコンピューティングは、『いかに安いデバイスに乗せれるか』というエッジサイドにばかり注目が行きがちですが、実は『どうやって大規模に運用できるシステムにするか』という点が盲点になっています。
実は弊社は、そっち側がメインの売り物でして、『大量のデバイスにAIを配って、遠隔運用する』ためのクラウドサービスを提供しています。
昨今ではソフトウェアでできることが増えており、これに併せて組み込みソフトウェアの立ち位置も変わってきております。
弊社はAIの周辺技術企業として、『安いデバイスに乗せて大量に運用する』というソリューションを提供しております。」
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