経済産業省が主催する公共領域のデジタル・トランスフォーメーション(DX)勉強会『Govtech Conference Japan』シリーズ。
行政が抱える課題を解決しうる技術をもつ企業・団体と、政府・自治体職員のコミュニティ創出の場として、令和2年1月16日、通算3回目となるイベントが「中央官庁のデジタル化と自治体との連携」をテーマに開催され、300名以上の参加者で賑わった。
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レポート第2弾の本記事では、「中央官庁デジタル・トランスフォーメーションの本音」というテーマで設置されたセッションについてお伝えする。
セッション前半では内閣官房・国土交通省・経済産業省それぞれが進めるデジタル・トランスフォーメーションの取り組みについて紹介され、そのあと登壇者によるパネルディスカッションが行われた。
<登壇者情報> ※写真左から順番に
- 平本健二氏(内閣官房政府CIO上席補佐官) ※モデレーター
- 川村尚永氏(内閣官房日本経済再生総合事務局参事官)
- 帆足雅史氏(内閣官房IT総合戦略室企画官)
- 廣瀬健二郎氏(国土交通省大臣官房建設生産性向上推進官)
- 中野美夏氏(経済産業省商務情報政策局総務課情報プロジェクト室長)
デジタル手続法は、あくまで一つのツール
内閣官房IT総合戦略室企画官 帆足雅史氏
総務省行政管理局行政情報システム企画課最適化推進係長、内閣官房総務官室国会専門官、内閣官房IT総合戦略室参事官補佐、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会大会準備運営第一局運営戦略企画部企画課長等を経て、2018年7月より現職。
「昨年12月に施行されたデジタル手続法案、およびデジタル化を進めていくための政府の計画(デジタル・ガバメント実行計画)を作成しました。」
出典:内閣官房「デジタル手続法案の概要」より
『デジタル手続法』とはReport1でも記載した通り、2019年3月に閣議決定し、同年5月31日に公布されたもので、デジタル化に関わる四つの法律を改正するための法律である。「デジタルファースト」「ワンスオンリー」「コネクテッド・ワンストップ」(※)の三つを基本原則に掲げており、行政手続きのオンライン実施原則など、国民や地方公共団体等が行政サービスを便利に利用できるよう策定されたものだ(自治体は努力義務とされ、また適用除外も設けられている)
※それぞれの意味については以下の通り。
・デジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
・ワンスオンリー:一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
・コネクテッド・ワンストップ:民間サービス含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する
「デジタル手続法については、これが全てということではなく、我々にとっては一つのツールだという認識をしています。」
また『デジタル・ガバメント実行計画』については、2017年5月に策定された「デジタル・ガバメント推進方針」を具体化し、実行計画として2018年1月に策定されたものだ。昨年12月20日には内容が改定され、デジタル手続法第4条に基づく「情報通信技術を利用して行われる手続等に係る国の行政機関等の情報システムの整備に関する計画」と一体のものとして閣議決定している。
出典:内閣官房「デジタル・ガバメント実行計画の概要」より
「個人的には、この実行計画がデジタル・ガバメントの定義を広げた、と思っています。」
つまり、“ガバメント”と表現するとどうしても「中央官庁」をイメージするものだが、そこに限らず国・地方公共団体・民間事業者・国民などと対象を広く定義し、あらゆる活動においてデジタル化の恩恵を受けることを目指すとしている。
「作るものは作ったので、あとはもうやるだけです。政府は言うなれば“初心者”なので、失敗例なども含め地方公共団体や民間事業者等と一緒に進めて参りたいと思います。
また、その際は『共用化』という概念が大事になってくると個人的には考えており、既存の政府情報システムが情報連携用に設計されていないからこそ、そのような“レガシー”の刷新もしっかりやっていきたいと思います。」
省庁横断的な事業環境改善プロジェクト
内閣官房日本経済再生総合事務局参事官 川村尚永氏
これまで、中小企業の生産性向上や働き方改革、大企業のコーポレート・ガバナンス推進、鉄道などのインフラ輸出などに従事。現在、省庁横断的な事業環境改善を担当し、法人設立オンライン・ワンストップや民事訴訟手続のIT化などを推進。法人設立では印鑑届出の任意化を実現。また、経理・税務手続の電子化・自動化として、年末調整・確定申告に関する情報連携などを推進。
「現在、アベノミクス第三の矢『成長戦略』の中の『事業環境改善』を担当しています。」
令和元年6月21日、経済財政諮問会議と未来投資会議が合同会議を開催され、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(通称:骨太方針2019)と「成長戦略実行計画」が取りまとめられ閣議決定された。川村氏は、このマクロ・ミクロの二本柱で動いている部隊に所属している。
中でも「事業環境改善」では、「2020年までに世界銀行事業環境ランキングにおいて、先進国(OECD)3位以内を目指す」というKPIを閣議決定しており、省庁横断的に物事を進めていくミッションを担っている。以下ご覧の通り、我が国の事業環境は、法人設立や信用付与、輸出入等の項目において特にランキングが低い状況だ。
出典:首相官邸「世界銀行の事業環境ランキングに関する更なる取組の検討について」より
「それぞれの項目において、デジタル化が進んでいなかったり、手続きの数が多いといった要因が考えられます。」
当日は法人設立、裁判手続、電子帳簿保存制度の3点についての取り組みが紹介された。本記事ではその中でも、法人設立におけるデジタル化についてお伝えする。
法人設立には、登記前後で様々な手続きを経る必要がある。中でもデジタルで完結しないものが、以下4点となる。
- 公証人による定款認証
- 代表者の印鑑届出
- (行政業務)電子化・改革が必要な登記審査
- (縦割り行政手続き)複雑な手続きと多数の窓口、同じ情報を何度も提出
まずは定款認証について、これまで公証役場まで出頭しなければならなかった手続きを、2019年3月27日からテレビ電話での対応を開始している。また2021年2月を目処に、定款認証および設立登記のオンライン同時申請を対象に、24時間以内の設立登記完了実現を目指すとしている。
次に印鑑届出についてだが、商業登記法を2019年12月に改正しており(施行は2021年2月)、印鑑を届出なくても良い、つまりはハンコレスな会社を作ることができるようになる。厳密には、印鑑届出制度は従前のとおりとして、「印鑑のみ」「電子証明書のみ」「印鑑および電子証明書」という3択から任意選択できるようになるわけだ。
そして、これら含めた4点を実現するのが「法人設立ワンストップサービス」となる。
マイナポータル(※1)を活用して、国税・地方税・年金・雇用保険など設立後の手続きをワンストップで実現するものとして、2020年1月20日から開始している。また、2021年2月からは先述の通り、公証役場や法務局の手続きも追加されるようになる。
さらには、gBizID(※2)や商業登記電子証明書など他サービスとの連携や、API公開による民間サービスとの連携にも、今後期待をしているという。
※1. マイナポータル:子育てや福祉・介護などの行政手続きがワンストップでできたり、行政期間からのお知らせを受け取ることができるようになる政府運営オンラインサービス。マイナンバーカード利用を前提に組まれたもの
出典:内閣府「マイナポータルとは」より
※2. gBizID:電子署名によらず、1つのID・パスワードで様々な行政サービスにログインできるサービス。アカウントによって、jGrants(補助金申請システム)、社会保険手続の電子申請、保安ネット、農林水産省共通申請サービスについて利用可能となっている(2020.2時点)
国土交通データプラットフォームは「データのショピングモール」のイメージ
国土交通省大臣官房建設生産性向上推進官 廣瀬健二郎氏
北海道函館市生まれ、小樽育ち。2000年建設省(現:国土交通省)入省。
これまで主に道路行政を中心に、道路に関する調査や計画、補助制度に関する業務に従事し、道路を賢く使う取組や老朽化対策の個別補助制度の創設などを推進。また、在外公館勤務や海外インフラ展開など国際関係業務に従事し、日本の技術の海外展開に関する業務に携わる。
2019年4月より現職。建設業のデジタル化を進め、生産性向上を図るi-Constructionの推進やデジタルツインを実現する国土交通データプラットフォームの構築を担当し、Society5.0の実現に向けた国土交通行政のデータ連携を推進。
「国土交通省では現在、i-Constructionという取り組みを推進しています。」
i-Construction(アイ・コンストラクション)とは、ICT等の全面的な活用で建設現場の生産性向上を図る取り組み。2016年から始めているもので、つまるところ、建設の世界でもデジタル化を進めようというものである。
建設現場がどんどんと高齢化しているのに対し、膨大なインフラ整備が今後増えていく。また昨年度は台風をはじめとする災害が多く、インフラが壊れた場合の迅速修復に向けた対応策も喫緊の課題だ。
それに対し同省では、i-Constructionで得られる3次元データを活用し、また気象庁や海上保安庁などインフラ以外の様々なデータ連携を進めることで、オープンイノベーションを加速し、「国土交通データプラットフォーム(仮称)」の構築と産学官連携によるイノベーションの創出を目指すとしている。
「2019年5月30日に『国土交通データプラットフォーム(仮称)整備計画』を発表し、そこでデジタルツインの実現を目指し、3次元データ視覚化機能、データハブ機能、情報発信機能を有するプラットフォームの構築を行うとしました。また、各データはAPIで連携し、横断的に検索・ダウンロード可能にすることを目指します。」
データにはそれぞれ「国土に関するデータ」「経済活動に関するデータ」「自然環境に関するデータ」が存在し、それぞれを国土交通データプラットフォーム傘下のレイヤーとして集約しデータ連携基盤の構築を進めていく。最初から全てを同時にできないので、まずは「国土に関するデータ」の連携整備に着手するとのことだ。
「国土交通省は母体が大きな官庁なので、こういう取り組みは一部局がやっていこうとしてもなかなか上手くいきません。だからこそ、大臣を本部長とする「国都交通省IT政策推進本部」にて整備計画を策定し、省全体として取り組めるような組織体を作って進めております。」
令和元年度は、国土地盤情報センターが持つ「国土地盤情報データベース」と、同省が持つ「社会資本情報プラットフォーム」のAPI連携を試行。
その上で、次年度以降は地方公共団体や他省庁、民間等のデータベースとの連携を順次拡大していくという。その際に、実際にどんなものができるかを見せないとなかなかイメージが湧かないので、2019年10月には静岡県のオープンデータをベースにプロトタイプを作り、産学官の幅広いコミュニティを形成してフィードバックを受けながら進めている。こちらは2020年3月には一般公開する形で進めているとのことだ。
「役所的には、このような3次元データのユースケースとして、災害の復旧や最適な避難の誘導を想定しております。ただ、地方公共団体や民間企業等とのオープン化によって、他にも様々なユースケースが出てくることになるでしょう。」
プラットフォームという“箱”を作るのは役所の仕事として、民間・国を問わず、データを持っているもの同士が連携を進める。国土交通省ではそんな世界観で、組織や分野を超えたデータの利活用プラットフォーム実現を目指しており、様々なデータの“ショッピングモール”のようなイメージを持ちながら進めているとした。
一度に完璧にやり切ろうとせず、段階的に精緻化・高度化
経済産業省商務情報政策局総務課情報プロジェクト室長 中野美夏氏
2000年4月通産産業省(現:経済産業省)入省。2008年〜2010年にかけて、経済産業省大臣官房会計課の業務改革を担当。府省共通システムの一つである旅費等システムに業務見直し(BPR)面で携わる。
会計課での業務改革経験を買われ、2016年6月より経済産業省商務情報政策局総務課情報プロジェクト室長(現職)。デジタルガバメントを成長戦略の柱として位置づけるよう働きかけるとともに、経産省自らが提供する行政サービスのデジタル変革に向けて、「法人デジタルプラットフォーム」を提案・構築中。サービスの一つである補助金申請システム(Jグランツ)は2019年末に一般公開開始、また、一つのIDで多様な手続きに対応できるGビズID(法人共通認証基盤)は2020年4月から社会保険手続きでも利用予定。
2019年3月より、内閣官房IT総合戦略室企画官を併任。CIO補佐官と連携し、政府情報システム全体のデジタル変革に向けたグランドデザインの検討を進めている。
「GovTechが何を示しているかを非常にシンプルに言うと、『行政サービスが便利になること』、そして『職員の効率的で効果的な働き方』。この2つだと思います。
これを実現するために、まずは組織を整備しました。」
それが経済産業省デジタル・トランスフォーメーションオフィス、通称「METI DX」だ。省横断的な組織として2018年7月に設置され、デジタル化推進の体制を構築している。
その大きなポイントは、外部人材の活用にあると言う。デジタルの本質を理解したプロフェッショナル人材と行政官がチームを作って対応している。国内最大級のハイクラス転職サイト「ビズリーチ」にて、経産省でのデジタル化マネージャー募集の求人案件は、ビジネス界隈で話題になったことは記憶に新しい。
では実際のDX基盤となるものが何かと言うと、「法人デジタルプラットフォーム」だ。上図がその全体像となるわけだが、簡単に言うと、本人確認(ログイン部分)は共通機能として一つ作り、その上でそれぞれの個別サービスを、インターフェースを揃える形でデジタル化していくということだ。本セッションでは、現在動いているもの2つについて紹介された。
まず一つ目はgBizID。上図でいう本人確認共通機能の部分だ。1つのID/パスワードで、複数の行政サービスにアクセス(ログイン)できる認証システムである。こちらは2020年1月から利用開始されており、官民双方における手続きに要する時間やコストを削減することを目的に構築されている。省庁関係のWebページは一般的に情報がごちゃついたイメージのものが多いが、gBizIDのページはすっきりとした“今風”の仕上がりになっている印象だ。しっかりとUXを意識している証拠と感じる。
こちらは法人基本3情報を正確に確認し発行するアカウント「gBizIDプライム」と、それらを行わずオンラインで簡単に登録できるアカウント「gBizIDエントリー」の大きく2種類(※)があり、前者は実際の申請等手続きを、後者は情報の受信等をメインに想定して設計されている。
※正確には、この他に「gBizIDメンバー」という、組織の従業員用アカウントとして「gBizIDプライム」が発行するアカウントもある
ちなみに、現時点で決定している活用可能な行政手続は以下の通りだ。
2019年度:保安ネット(産業保安法令手続きシステム:経産省)、JGrants(補助金申請システム:経産省)
2020年度:企業の社会保険手続き(厚労省)、JGrants(他省庁・自治体)、経営力向上計画申請システム(経産省)、認定支援機関申請システム(経産省)、認定情報処理支援機関システム(経産省)、ミラサポplus(経産省)
※2020年1月16日時点の情報
二つ目はjGrants、補助金申請システムだ。
こちらは2020年1月16日時点で「補正予算7補助金、当初予算70補助金(経産省:20、他省庁:50)」に加え、複数自治体でも来年度利用予定となっており、省庁・自治体を横断しての利用が進んでいる。画面右下に設置された、事業者の申請を支援するためのチャットボットが有難い機能の一つとなっている。
「jGrants事例を通じて、経産省のDXを進める上で気をつけたことをまとめたものが、こちらとなります。ポイントは『一度に完璧にやり切ろうとせず、段階的に精緻化・高度化』するということです。これはIT室の文章に書かれていることですが、すごくいいフレーズなので、敢えてそのまま書いています。
ちなみに右側には対比として、電子政府PJの“個人的に感じた”反省点も記載しています。」
スピード感は長期間プロジェクトから「スモールスタート」へ、開発手法はウォーターフォールから「アジャイル開発」へ、そしてBPRは「開発との並行推進」という形で、それぞれ進めているという。
パネルディスカッション
今回のセッション名が「中央官庁デジタル・トランスフォーメーションの本音」ということで、最後は内閣官房政府CIO上席補佐官 平本健二氏モデレーションのもと、各登壇者同士によるパネルディスカッションが展開された。
内閣官房政府CIO上席補佐官 平本健二氏
大手SIerからコンサルティング会社等を経て現職。デジタル技術による行政サービス改革を担当。グローバルな視点から戦略や方針の検討を行うとともに、Webサイトの見直し、データ連携基盤整備、本人確認方法の見直し等、行政サービス改革を総合的に推進。国・自治体を通じた調達情報、支援制度情報の総合サイト等、サービスの企画、構築、運用も実施。国際調整や人材育成も担っている。
--まずはデジタル化に向けて突き当たった「壁」エピソード、もしくはそこを突破するポイントやお考えについて教えてください。
川村氏(内閣官房 参事官):我々は現場を持っているわけではなく、カウンターパートにどうやらせるかを考えねばならない部署です。そのために、「なんでできないの? 」と「海外でできているのになぜ日本でできないの?」という、2つのロジックで進めます。つまり、国際比較を通じてプレッシャーを感じていただき、その上でできる・できないを考えてもらっています。
またその際に、課長など現場の方だと基本的にはやりたがらないので、レベルを一つ上げての意思決定をしていただくようにしています。
帆足氏(内閣官房 企画官):正解はなく近道もないのですが、我々は別に「デジタル」に固執しているわけでもなく、便利であれば何でも良いという考え方です。ラグビーと一緒で、いろんな理屈は面倒だからとりあえず一緒にやろうよ、というのが一番かなと思っています。
また役人の文化に則ってやるというのも大事でして、例えば“政府CIO”は役人の中では2番目に偉いわけでして、そういう組織体を作ることも重要であると認識しています。
廣瀬氏(国交省):我々国土交通省は、現場を持っていることが強みだと思っています。i-Constructionを進めるために、この出先の現場と連携するのが大きなポイントでした。
また行政なので、最後は規制・基準を作るか、補助金等で政策誘導して流れを作るかのいずれかになるのですが、デジタル化についてはトップランナー的なところをうまく吸い上げていって、事務所あるいは整備局等のレベルで横展開を進めていくのも一つ、大きなポイントなのかなと考えています。
中野氏(経産省):リスクをどう取るか、だと思っています。
いろんなことを同時並行に進めねばならず、それ故にあらゆるところで不確定要素が出てくる。その分かりにくさや気持ち悪さを大前提にやっていくしかなく、綺麗な世界はどこにもないわけです。現実の流動的な世界に対応していくべく、組織を整備していかないと、DXは進んでいかないのかなと思います。
あともう一つ、ベンダーさんとの関係も本当に大切で大変だと考えています。システムって、実態が簡単にはわからない部分も多く、また互いの思いもズレがある中で、みんなが心配になっちゃうとDXは進みにくくなります。透明性やコミュニケーションを大切に、一緒に解決していくような形を作っていくことが大切です。
--本会場には地方自治体の方も多いので、最後に、自治体への展開についても一言ずつお願いします。
川村氏(内閣官房 参事官):「今やっていないから」と思っていると、1年後には違うシステムがオッケーになっていることもあると思います。今、様々なことが水面下で進んでおりますから。そういう意味では、しっかりとアンテナを立てていただき、変わろうとしている動きを捉えながら意思決定をしていくことが大事だと思います。
帆足氏(内閣官房 企画官):前大臣が「熱意のある自治体に支援する」とデジタル手続法の審議の時にもおっしゃっていました。基本的にはそういう流れになるのかなと思います。いずれにせよ、国の方で作るのでそれを使ってください、という大きな流れになってきていると思います。
廣瀬氏(国交省):デジテル化はオフェンスが重要視されているところで、そのためには議論が大切になってきます。ぜひ、一緒に議論しながら進めていければと思います。
中野氏(経産省):自治体の方にいろんなデジタル施策の情報が押し寄せているフェーズだと思うのですが、それに全部付き合うのではなく、役に立つパートナーを選んでそこと組む。情報収集の場なのか、実益を求める場なのかをきちっと見極めて付き合うことが大切だと思います。
編集後記
日常生活を過ごしていると、中央官庁の取り組み事例に触れる機会なんてまずもってありません。
だからこそ、具体的に実務を進めている方々による事例紹介は貴重な機会となりました。
個人的に注目しているのは、国交省によるデジタルツイン構築の動き。我々が住むリアルワールド情報をリアルタイムに取得してデジタルワールドを作り上げる手法が「デジタルツイン」であり、その2世界を総じて「ミラーワールド(Mirror World)」なんて呼ぶわけですが、5G前提になる世の中だからこそ、その動きが本格化すると期待しています。
いずれにしても、デジタル化の波が押し寄せると同時に大量の情報を取捨選択する必要があるので、経産省 中野さんがおっしゃる通り、自分にとって必要な情報・データを見極めるリテラシーが、ますます求めらることになるでしょう。
第三弾では、「ネクストジェネレーションガバメントのあり方」というタイトルで設置されたパネルディスカッションについてレポートします。
お楽しみに!
「Govtech Conference Japan #03」概要
- 主催:経済産業省(企画運営:情報プロジェクト室)
- 日時:2020年1月16日(木)13時~19時
- 場所:BASE Q(東京都千代田区有楽町1丁目1−2 東京ミッドタウン日比谷 6F)
- 対象:地方自治体および省庁のデジタル化担当職員、Govtechに関心のある民間事業者
- URL:https://govtechconfdx03.peatix.com/
Govtech Conference Japan #03レポートシリーズ by LoveTech Media
Report1. 「公共のデジタル化事例」求め300名以上が参加、経産省主催のDX勉強会
[clink url=”https://lovetech-media.com/eventreport/20200207govtechconf1/”]Report2. 内閣官房・国交省・経産省、それぞれが進めるDX事例
[clink url=”https://lovetech-media.com/eventreport/20200217govtechconf2/”]Report3.(仮題)ネクストジェネレーションガバメントのあり方(2020年2月中に公開予定)
Report4.(仮題)国・自治体・企業・シビックテックの連携(2020年2月中に公開予定)
Report5.(仮題)政府情報システムのグランドデザイン(2020年2月中に公開予定)
Report6.(仮題)主催者インタビュー(2020年2月中に公開予定)