2019年2月9日(土)、総勢61名となる島根県出雲市出身者および出雲に関心のある男女による「出雲×Omiai 縁結びパーティー」が、東京・青山にあるホテル「島根イン青山」で開催された。
出雲市といえば、かの有名な縁結びの聖地「出雲大社」でお馴染みの土地。市内には多くの神々をおまつりする古い神社が今日も至る処に鎮座しており、「神の国・神話の国」とも言われている。
主催は出雲市と、恋愛・婚活マッチングサービス「Omiai」を展開する株式会社ネットマーケティングだ。同社は昨年8月に岡山県と連携し、自治体×マッチングアプリの事例を開始したばかりであり、今回は市区町村とマッチングアプリを活用した婚活パーティー開催事例となる。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/okayamaomiai20180906/”]今回も「Love Tech Media」ではイベントに潜入させていただき、当日の状況はもちろん、出雲市の結婚支援施策や担当者の思い、「Omiai」の目指す世界観などを伺った。
出雲縁結びプロジェクトの各種施策
まず、出雲市ではどのような結婚支援施策を実施しているのかをみていく。
同市では結婚支援に関する取り組みは「総合政策部 縁結び定住課」が運営する「出雲縁結びプロジェクト」事務局が担っている。
同事務局は、婚活中の男女に対しイベントやセミナーなど各種催しを企画・紹介しており、ホームページにて各種内容や申込方法などが掲載されている。
出雲縁結びプロジェクトのホームページ(2019年2月13日時点の情報です)
また相手探しを個人的に相談したい方向けには、無料で相談会を実施している。相談の対応者は、「島根はっぴぃこーでぃねーたー」、通称「はぴこ」と呼ばれる方々。一般社団法人しまね縁結びサポートセンターに登録された、結婚を望む独身男女の縁結びを応援するボランティアスタッフの方々である。出雲市に限らず、合計250名以上の「はぴこ」が、島根県内全域で活動している(2019年1月末時点)。ちなみに出雲市在住の出雲はぴこは約40名いらっしゃるという。
さらに出雲市では、結婚支援を専門に行う女性職員「婚活サポートマネジャー」を配置し、独身男女やはぴこの支援を行うとともに、「いずも縁結び女子navi」という、出雲市に居住しているまたは出雲市への移住を考えている女性”専用”の相談窓口も開設している。実は多くの自治体で相談窓口が設けられているものの、女性専用の窓口を別途用意している事例はまだまだ珍しい。
出雲縁結びプロジェクトのホームページより、1対1での相談の様子
さすが縁結びの街とあって、様々な結婚支援施策を実施している。今回の東京でのイベントも、縁結び定住課による企画である。出雲に対して中長期的な視点で関係を持ってもらうべく実施した施策である。
それでは次に、当日のイベント状況をご覧いただきたい。
計61名の出雲好き男女が大集合
まず当日の会場であるホテル「島根イン青山」であるが、ここは東京都にある県民のための宿泊施設だという。島根県民であれば、お得な県民料金で宿泊できるということで、宿泊費用が半額程度になる。ご存知でない方も多いと思うので、島根県民の方は要チェックだ。
島根県ホームページより
婚活パーティーの参加者は、27〜39歳の男性31名、 24〜38歳の女性30名の計61名。正月の帰省タイミングで出雲市の募集告知をご覧になった方や、Omiaiのユーザーを中心に応募された方々だ。
出雲市にゆかりのある若い人たちが多く集まるということで、会場には宍道湖のしじみ汁や赤天ぷらなど地域特産の食材を使った料理や、出雲市のふるさと納税返礼品の試食や地酒の試飲などのブースが展開されていた。
会場に用意された各種地酒。参加者の皆様は積極的に試飲された
かの有名な出雲そば。会場でも特別に料理として提供された
出雲の縁起 福こづち。出雲大社のご祭神「大国主大神様(おおくにぬしのおおかみさま)」がお持ちになる打出の小槌にちなんだ品。出雲大社のお膝元である島根県出雲市大社町で、一つ一つ手造りで製作しているという
ゴリラの鼻くそ。名前でギョッとするが、中身は黒豆薄甘納豆である。そのユニークな名称から、多くのメディアで紹介されている
島根県出雲地方特産の板わかめ。通称「めのは」とも呼ばれている。イベント当日は、カラッと焼き上げた焼きめのはが提供された
島根県出雲市で作られた「超トマト」。土を使わず、水と養分を必要以上に与えずコントロールした高糖度のトマトであり、食べると口いっぱいに甘さが広がる
また、市から特別に「縁結び絵馬掛け」が準備され、参加者は願いを込めたハート型の絵馬を飾っていった。
ちなみに飾られた絵馬たちは、パーティー終了後に市職員によって出雲市内の縁結び神社へ奉納されたという。
今回もイベントのメインコンテンツとして、ぷりあでぃす玲奈氏による相性占いが実施された。同氏はゲッターズ飯田氏の一番弟子として注目されている。
当日に向けて参加者全員のお名前と生年月日から統計的な性格や恋愛傾向を調べ、一人ひとりにとって最も相性の良い異性3名を紹介してくれた。
具体的には男女ともに受付で封筒を渡されており、そこに自分と相性の良い異性の参加者番号が記載されているという仕組みだ。参加者にとっては相性が見える化されるので、コミュニケーションもより円滑になる。
また、当日仲の良くなったカップルに対し、即席での相性占いをぷりあでぃす玲奈氏自らが実施してくれる一幕もあった。普段直接の相性占ってもらえる機会もないので、多くのカップルが列に並んだ。
筆者も数多くの婚活パーティーを見てきたが、今回のイベントほど盛り上がりを見せた会も珍しい。岡山県との取り組みの際にも感じたことだが、同郷ほど盛り上がる共通点はない。参加者の皆様は、地元トークで大いに盛り上がっていた。
<参加者の感想>
- 普段の生活では出雲出身の女性に会うことはなかったのですが、東京にもこんなにいるんだと実感しました。また、県が運営しているホテルが都内にあることも驚きました。(30代男性)
- 鳥取出身なので地元が近い人に出会いたいと思い参加しました。(20代女性)
- まだOmiaiはあまり力を入れて使えていなかったんですが今回のこのパーティーに参加して、出身地が
- 近い人ってやっぱりいいなと思ったので、そういう検索も今後してみようと思いました。(30代男性)
- 地元の人たちに会えたこと、交流できたことが本当によかったです。定期的に会って地元の話をしていきたいとおもいました。(30代女性)
本イベントを企画した「出雲市」および「ネットマーケティング社」、そして「ぷりあでぃす玲奈氏」に、それぞれイベントに対するコメントをいただいた。
長期的に出雲のファンになって欲しい
出雲市 縁結び定住課 課長 池田 徹(いけだ とおる)氏
『出雲市ではこれまで、結婚を望む男女および親御さんに向け、セミナーや婚活イベントを実施してまいりました。その中で以前から、「結婚するなら同郷の人と」「東京で同郷の人と出会いたい」といった声をいただいており、東京での婚活イベント開催が望まれていました。
首都圏での開催ノウハウがない中で、今回Omiaiさんと連携できたことは、非常に大きな意味がありました。
まず何と言っても、集客の面で非常に助かりました。出雲市単体で東京に出張所を持っているわけではなく、地元でチラシなどを通じて告知しても、首都圏での取り組みへの集客は相当困難だと考えておりました。Omiaiユーザーへの告知を通じて、あっという間に参加者に集まっていただけたのは、大変有難かったです。
また、出雲市出身者や興味を持ってくださってる方にピンポイントで訴求できたことも大きいです。Omiaiを通じて集客しないと、ここはなかなか実現しなかったと感じております。私自身は20歳で結婚したので、こういったイベントは出たことがなく、今の人は羨ましいなと思います(笑)
私が考えるに、出雲は「住むのにちょうど良いまち」です。
出雲大社はもちろん、山・湖・川・海など自然が豊かで、例えば島根の中で病院が集積している地域だったりと、意外に便利な町なんです。
そこを知ってもらうためには、もっとPRが必要です。
今回のパーティーを通じて、長期的に出雲ファンになっていただきたいと思います。
ここでのご縁が、出雲との関わりのスタート地点になってくれたら本望です。』
開拓精神溢れる方々と地域の課題解決をしていきたい
株式会社ネットマーケティング 執行役員 メディア事業本部 本部長 柿田 明彦(かきだ あきひこ)氏
『「Omiai」はこれまで『男女の出会い』を応援するサービスでしたが、前回の岡山県との取り組みを通じて『地域との出会い』も応援できると確信し、今回は新たに出雲市様と取り組みを実施させていただきました。
いわゆる一般的なマッチングイベントにはない要素として、ぷれあでぃす玲奈さんによる相性占いのほか、出雲市ならではの食材や工芸品などの展示を通じて、会話が多く生まれるきっかけをつくっています。
そして私自身、実は島根県出身です。このパーティーのお話をいただいたとき、やっと地元にも貢献できると感じて、とても嬉しく思いました。
今回は参加者の半数近くが出雲市や島根県内の出身者だったので、地元に帰って結婚するという選択肢も提供できたのではないかと思います。
Omiaiは恋活・婚活サービスとして誕生してもうすぐ7周年を迎えます。今後は人と地域の出会いも創出するサービスとしての側面も強化して参ります。
ぜひ今回の出雲市縁結び定住課の皆様のように『開拓精神』溢れる方々と、地域の課題解決に貢献して参りたいと考えております。』
担当者一人ひとりの思いがとても強かった企画
株式会社ネットマーケティング メディア事業本部 チームマネージャー 能登円香(のと まどか)氏
『実は今回の取り組みは、昨年2月に出雲市のご担当者様から弊社宛にお問い合わせをいただきました。正直申し上げて、非常に驚きました。
当時、マッチングアプリと自治体が連携して何かをやるという事例を聞いたことがなく、その中でお問い合わせいただいたこと自体、とても先進的な着眼点だなと感じました。
首都圏での婚活パーティー実施の課題を伺いながら打ち合わせを進めていく中で、特に出雲市側が難しいと感じていた首都圏での出身者や出雲市に興味ある人に対する集客と、東京での婚活パーティー開催のノウハウを活かした企画のお手伝いするというのは、まさにOmiaiが得意とするところでした。
多くの自治体と接している中で感じたのは、今回のような自治体と協業した取り組みを成功に導くのは、その担当者お一人お一人の強い思いと、スピード感を持って行動に移す推進力だと、感じました。
まずは今回の婚活パーティーの結果を出雲市にフィードバックし、今後の継続施策を考えて参りたいと思います。とても楽しく今回の企画を進めていくことができ、盛況に終わったことにホッとしております。』
出身地という共通点は入り口としてとても良い
ぷりあでぃす玲奈氏
『岡山県様に続き、今回も出雲市様とのイベントにお声がけいただき、大変有難く思います。
人と人との出会いにおいて、出身地という共通点は入り口としてとても仲良くなりやすく、素敵な場だなと感じました。参加者の方はめちゃくちゃ幸せだと思います。
私自身、兵庫県出身なのですが、地元でこのようなイベントがあったらぜひ参加したい!と思いました。
今回は東京での開催でしたが、実際にその土地に行ってこのようなイベントを開催するなんてことも、今後積極的に取り組んでいけたらいいなと思います。』
編集後記
筆者も実は3年前に出雲市に伺い、まさに今回の企画・主催者である縁結び定住課へ結婚支援施策のヒアリングをしたことがありました。
3年前の時点で、市町村としては先進的に相談窓口やイベント・セミナーの企画を進められており、今後の取り組みを期待した記憶があります。
そういう意味では、今回の取り組みは「やっぱり出雲市ですか」という印象でした。
多くの自治体で人口現象および人口流出が課題となっている中、打ち手を講じる自治体とそうでない自治体が、明確に分かれてきました。
出雲市のような、当事者意識を持ってエネルギッシュに課題解決に取り組んでいく自治体は、今後もLove Tech Mediaとして追って参りたいと思います!