各企業で高まる「不妊退職」対策
スグケアシリーズでは、ここまで見てきた「SuguCareメンズホームチェッカー」の他に、前編でも言及された「SuguCareオンライン妊活カウンセリング」も展開している。
ビデオ通話を通じて、不妊症看護認定看護師や臨床心理士などの専門カウンセラーに、不妊に関する個別相談ができるもので、15分からのお試し相談が可能なオンラインサービスだ。
これらスグケアシリーズは、個人利用の他に、「企業の福利厚生」としての利用ニーズも高まっていると言う。
この点について、スピンシェル株式会社の五十嵐和佳子(いがらし わかこ)氏よりお話を伺った。
スピンシェル株式会社 マーケティング&コミュニケーションズ 五十嵐和佳子氏
「今、企業における『不妊退職』が問題になっています。」
2017年10月にNPO法人Fine(ファイン)が発表した、不妊治療当事者5,526人へのアンケート調査結果によると、仕事をしながら不妊治療を経験したことのある方のうち、実に95.6%が「両立は困難」と回答している。
そのうち「仕事と不妊治療の両立が困難で働き方を変えざるを得なかった」との回答も40.8%と数値が高く、「働き方をどのように変えたか?」の設問には、半数の50.1%が「退職をした」と回答している。
出典元:NPO法人Fine
なんと、不妊治療者の半数が退職を余儀なくされていると言う事実が浮き彫りになったのだ。
「せっかく入社した優秀な人材が、不妊治療を理由に退職してしまうのは、非常に残念な状況です。
今いる人材をいかにキープするか、不妊退職をいかに減らすか、と言う点が、多くの企業様における緊急度の高い経営課題となっています。」
そんな背景から、スグケアシリーズをはじめとする妊活・不妊治療支援サービスの、企業への福利厚生パッケージ導入が加速していると言う。
7月より新たな福利厚生パッケージを開始する予定の株式会社ミクシィも、スグケアシリーズを採用する1社である。
同社の福利厚生パッケージ構築担当者に、今回のスグケアシリーズ採用のポイントを伺ったところ、以下の3点を挙げられた。
- 臨床心理士や不妊カウンセラー等の資格がある専門家の方に相談できる安心感があるため
- WEBサービスを使い慣れている社員がほとんどなので、スマホなどでオンラインカウンセリングできる手軽さとの相性が良いため
- お試し相談 15分という手頃なカウンセリングメニューがあり、今まで利用したことのない人にとって使いやすいと考えたため
キーワードとしては「安心感」「手軽さ」といった点が挙げられた。
一方で、「WEBサービスに慣れているからこそ」という点も重要なところと言える。今後、オンラインサービスに慣れていない従業員の多い企業での需要も想定し、いかにして「オンラインサポート」を身近に、そして簡便に感じてもらえるかが、福利厚生としての普及がドライブするポイントと言えるだろう。
「単純に外付けでスグケアシリーズを導入いただいても、各種人事制度と連動していなければ、根本的な問題解決とは言えないでしょう。
弊社としては、妊活の啓発セミナーを実施したり、妊活をする従業員様のための休暇制度の設計コンサルティングなども展開していき、中長期的な不妊退職問題の解消を目指してまいります。」
前編・中編を通じて、スグケアシリーズ開発の背景や思い、企業による福利厚生ニーズのトレンド等についてお話を伺った。
後編ではいよいよ、筆者自らが「SuguCareメンズホームチェッカー」を実際に利用した【実践レポート】をお届けする。
》後編記事につづく(2019年7月5日以降公開予定)