記事の要点
・国立成育医療研究センターと、女性の健康情報サービス「ルナルナ」を運営する株式会社エムティーアイは、今年開始したAIを用いた不妊治療支援用スマートフォンアプリの開発を目指す共同研究の第二弾として、不妊治療患者一人一人に合った治療方法を提案する独自のアルゴリズム開発を目指し、5,000人を目標として不妊治療経験者のデータ収集を開始する。
・10月22日より「ルナルナ」の各アプリを通して治療経験者へアンケートを実施し、年齢や既往歴、不妊治療中の検査結果の数値などのデータ収集を行う。
・本研究で確立を目指すアルゴリズムは、今後エムティーアイが提供する「ルナルナ 体温ノート」の中の、不妊治療の記録・管理を支援する「治療サポートコース」へ組み込まれる予定で、より効果的・効率的な不妊治療の実現が期待される。
LoveTechポイント
子どもの約16人に1人が体外受精で生まれるなど、不妊治療がスタンダード化しつつある日本ですが、患者と医師の双方が抱える課題は根強いです。
ダウンロード数約1,500万の巨大プラットフォーム「ルナルナ」を活用した、患者一人ひとりにより効果的・効率的な不妊治療を届けるというLoveTechな取り組みに期待が集まります。
編集部コメント
日本の夫婦の約3組に1組(35%)は、自分たちは不妊ではないかと心配したことがあり、約6組に1組(18.2%)は不妊症の検査、または治療を受けたことがある。また、子どもの約16人に1人が体外受精で生まれるなど、不妊治療がスタンダードなものになってきているわけだが、患者側は「検査・治療内容の理解が難しく自分に合った治療ができているのか」という不安を抱え、また医師側も「患者の膨大な健康・診療データの効率的な活用が難しい」などの課題を抱えている。
こうした背景を受け、日本で最大規模の小児・周産期・産科・母性医療を専門とする国立成育医療研究センターの再生医療センター 梅澤明弘部長、横溝陵研究員らのグループと、女性の健康情報サービス「ルナルナ」を運営する株式会社エムティーアイが、今年の6月、「AIを用いた不妊治療支援用スマートフォンアプリの開発」に関する共同研究を開始した。
これは、不妊治療を受ける患者と医療機関が所有する膨大なデータを、分かりやすく簡便に管理できるツールを提供することで不妊治療を支援することを想定したもの。これまで十分なデータがなかった「この患者さんにはどのような治療法がいいか?」「この患者さんにこの治療法を行った場合の妊娠率はどれくらいになりそうか?」といった、不妊治療の抱えるアンメットニーズの解決を目指すとしている。
今回、研究の一環で、妊治療患者一人ひとりに合った治療方法を提案する独自のアルゴリズム開発を目指し、5,000人を目標として不妊治療経験者のデータ収集を開始するという。不妊治療は患者の状況によって治療方法が異なるため、一人ひとりに適切な治療方法を提案するアルゴリズムを開発するには、治療経験者のデータが重要なものとなる。
10月22日からルナルナの各アプリを通して治療経験者へアンケートを実施し、年齢や既往歴、不妊治療中の検査結果の数値などのデータ収集を行っていく。
その上で、アンケートによって得られる不妊治療に関するビッグデータのうち、量や質に関して一定基準を満たした匿名化処理済みのものに関して、国立成育医療研究センターとエムティーアイが統計解析、結果解釈、成果公開などを行っていく予定とのことだ。
「ルナルナ 体温ノート」の中の、不妊治療の記録・管理を支援する「治療サポートコース」への組み込みも予定されており、患者一人ひとりの状況にあった効果的・効率的な治療への貢献が期待される。
以下、リリース内容となります。