ファミリーマートがTelexistence製遠隔操作ロボットを10月より導入。商品陳列業務から対応

家族/仕事

記事の要点

・Telexistence株式会社とファミリーマートが、2021年10月より、遠隔操作ロボット技術を核とした新たな店舗オペレーション基盤の構築のため、TX製遠隔操作ロボットおよび「Augmented Workforce Platform (拡張労働基盤)」を、ファミリーマートへ導入することを発表。

 

・工数が大きい商品陳列業務を遠隔操作化・自動化することで、店舗の省人化や物理的な店舗立地に制約されない自由度の高いスタッフ採用と、新しい店舗オペレーション基盤導入を推進。

 

・同時にロボットフレンドリーな環境の模索により、生産性向上や非接触化、ユーザーの利便性向上と店舗従業員のオペレーション負荷の軽減の実現を目指す。

LoveTechポイント

テレイグジスタンスを探究し続けている舘研究室では、自分自身と同体のロボットを一般的な「他者としてのロボット」に対比して「分身ロボット」あるいは「アバター」と呼び、1970年代から40年以上にわたり一貫して研究しています。

人の温もりを感じるVR的フルダイブ 、およびメタバース実現に向け、同社を引き続き注視していきたいと思います。

編集部コメント

株式会社とファミリーマートが、2021年10月より、遠隔操作ロボット技術を核とした新たな店舗オペレーション基盤の構築のため、TX製遠隔操作ロボットおよび「Augmented Workforce Platform (拡張労働基盤)」を、ファミリーマートへ導入することを発表した。

 

Telexistenceとは、2017年に東京大学と慶應義塾大学の舘研究室が立ち上げた、「テレイグジスタンス」の社会実装をめざすベンチャー企業である。

 

聴き慣れないテレイグジスタンスという言葉だが、これは東京大学名誉教授 舘暲氏が1980年に世界で初めて提唱した、人間が、自分自身が今いる場所とは異なった場所に実質的に存在し、その場所で自在に行動するという、人間の存在拡張の概念およびそれを可能とするための技術体系のことである。

 

具体的には、自分自身の分身ロボットであるアバターを用いて遠隔の場所に存在したり、コンピュータが創成した身体であるバーチャルヒューマンをアバターとして、コンピュータの創成した情報空間に存在したり、また情報空間を介して、実空間に存在したりすることが可能となる。

 

つまり、テレイグジスタンスは、アバターを利用して、人間を同時にいたるところに存在する、ユビキタスにすることを可能とする技術というわけだ。

 

実際のロボットの制御の方法は、人間の運動や力などを実時間で計測して推定した内部状態がロボットに伝達され、直接ロボットの運動制御システムが制御される仕組みで、人の動きを忠実に再現するよう、ロボットの人工の目、首、手、足などを制御するというもの。

 

 

また、その時のロボットの人工の感覚器からの情報は、逆にすべて人間の感覚器にそれぞれ直接提示がされる。例えば、人間が見たい方向を向けば、ロボットも同一方向を向いて、そこに人がいた時に見える情景に対応する像を、人の網膜上に実像として結像したり、人が自分の腕を目の前に持ってくると、視野内にはロボットの腕が自分の腕のかわりに全く同一の位置関係で現れてくる。

 

このように、テレイグジスタンスでは、人が遠隔地に実際に存在しているかのような、高度の臨場感を持って作業やコミュニケーションを行なうための技術を目指しており、自分の分身のようにロボットを利用する方法が研究され、医療や宇宙開発、深海調査の分野で実用化が進められている。詳細は舘研究室のホームページも併せてご覧いただきたい。

 

今回の取り組みは、このテイクレジスタンスの技術を用いて開発された半自律型遠隔操作ロボット(※)を、「ファミリーマート経済産業省店」へ導入し、店舗のバックヤードにおける商品補充業務を行うというもの。

※半自律型遠隔操作ロボット:人工知能の活用により、一部動作の自律・自動化が可能な遠隔操作ロボットのこと。人工知能による自律動作で効率化、省人化を実現しつつ、遠隔操作により人間の器用さを要する細かい作業の質を維持することができる。

 

これは、ファミリーマートが2019年11月より参画する、経済産業省における「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」の一環でもある。

 

まずは、飲料売場にて業務量の多いペットボトル飲料の陳列から遠隔操作による業務を開始し、ロボットによる陳列速度や精度の検証を行い、その後、多店舗展開が可能な取り組みについては、ファミリーマート全店への順次導入を検討しているという。

 

この取り組みにより、店舗の省人化や物理的な店舗立地に制約されない、自由度の高いスタッフ採用と、ロボティクスを軸にした新しい店舗オペレーション基盤の導入の推進が期待される。

 

また併せて、ロボットを導入しやすいロボットフレンドリーな環境を継続的に模索することで、生産性の向上や非接触化、ユーザーの利便性向上と、店舗従業員オペレーション負荷の軽減などの実現を加速していくとのこと。

 

舘研究室では、このテレイグジスタンスの他にも、盲導犬ロボットやバーチャルリアリティ、などの,人間のための科学技術を追求しており、そのDNAは間違いなくTelexistence社にも内包されていると感じる。

 

人の温もりを感じるVR的フルダイブ 、およびメタバース実現に向け、同社を引き続き注視していきたい。

 

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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