排泄予測デバイス「DFree Personal」、障がい児トイレトレーニングへの活用可能性を発表

育児/教育

LoveTech Media編集部コメント

超音波センサーを用いて膀胱の変化を捉えることで排泄のタイミングを予測するIoTウェアラブルデバイス「DFree Personal」が、障がい児童のトイレトレーニングへと活用できる可能性があると、開発会社であるトリプル・ダブリュー・ジャパンが発表した。

 

きっかけは、北海道苫小牧市が運営する「苫小牧市イノベーションマッチング実証事業(2018年度)」。

 

同社と、児童発達支援事業・放課後等デイサービスを運営し障がいのある児童の自立支援を行う一般社団法人りあんが、上述実証事業でマッチングし、障がいを持つ児童3名に排泄予測デバイス「DFree Personal」を利用したトイレトレーニングを行った結果を受けてのことだ。

 

トリプル・ダブリュー・ジャパンのスタッフがりあん職員や保護者に対して「DFree Personal」の使用方法やトイレトレーニングの進め方についてアドバイスを行い、職員や保護者が日常生活の中で「DFree Personal」の数値を確認して尿が溜まったタイミングで児童をトイレに誘導するなどのトイレトレーニングの実践を進めていった。

 

結果として、児童3名のうち2名でトイレでの自力排泄に向けた良い傾向が見られ、支援者側の意識も変わるなど、DFree Personalを障がい児童のトイレトレーニングに活用できる可能性が確認できた。

 

子どもが尿意を表現してくれないことは、保護者にとっての育児ストレスであり、子どもにとっても自信がなくなってしまうという、悪循環になる可能性がある。

 

今回の結果を受けてDFree Personalを活用することで、尿が溜っている段階でトイレに座らせることができ、また子どもが出していた「トイレのサイン」らしきものに気づくことができるなど、子ども・保護者双方にとっての良い結果となる可能性があることがわかった。

 

まだまだ症例数が圧倒的に少ないので、今後の継続的な実証実験と、適切な形での社会実装が望まれる。

 

以下、リリース内容となります。

リリース概要

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:中西 敦士)は、苫小牧市が主催する「苫小牧市イノベーションマッチング実証事業(2018年度)」に参画し、2018年10月~2019年2月、一般社団法人りあん(所在地:北海道苫小牧市ときわ町4-23-8)に通う障がいを持つ児童3名に排泄予測デバイス「DFree Personal」(ディー・フリー・パーソナル https://dfree.biz/)を利用したトイレトレーニングを行い、その結果について取りまとめて4月に報告をしました。

3名の児童のうち2名でトイレでの自力排泄に向けた良い傾向が見られ、支援者側の意識も変わるなど、排泄予測デバイス「DFree Personal」を障がい児童のトイレトレーニングに活用できる可能性が確認できました。一方で課題も見えたため、今後は利用事例を増やしながら、DFreeを使ったトイレトレーニングの方法のとりまとめや対象者への啓発を強化していきます。

1.実証事業の概要と目的

「苫小牧市イノベーションマッチング実証事業(2018年度)」は、苫小牧市内事業者とベンチャー企業がマッチングし、市の課題解決に向けて行う実証事業に市が事業費を補助するものです。児童発達支援事業・放課後等デイサービスを運営し、障がいのある児童の自立支援を行う一般社団法人りあんと、排泄予測デバイス「DFree Personal」を持つ当社がマッチングし、障がい児童へのトイレトレーニングの実証事業を行うことになりました。(http://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/shisei/shisei/shiseihoshin/senryaku/TIM2018PRJ.html

尿意が分からない・尿意の意思表示ができないためにトイレで排泄ができない障がいのある児童3名に「DFree Personal」を装着してもらい、トイレトレーニングが効果的に進められるかを確認する目的で行いました。

2.実証事業の内容

当社スタッフがりあんの職員や保護者に対し「DFree Personal」の使用方法やトイレトレーニングの進め方についてアドバイスを行い、職員や保護者が日常生活の中で「DFree Personal」の数値を確認して尿が溜まったタイミングで児童をトイレに誘導するなどのトイレトレーニングの実践を進めました。装着期間は人によりますが、最長で2018年10月から2019年2月の5か月、りあんの放課後デイ通所時と自宅で利用してもらいました。

<進め方>

<トイレトレーニングの実践内容>

3.結果

Aさん

小学3年/重度の自閉症で、意思疎通が難しいお子さん
普段はオムツに排尿しており、尿意も感じていない様子

<DFreeを使用した内容と結果>
・DFreeをつけてしばらく排尿の傾向を見て、メーターが8になったときにトイレへ連れていくようにした
・溜まっている状態で連れていくことができ、トイレで尿が少し出るようになった
・トイレのサインかもしれない仕草に、支援者が気付けるようになった

Bさん

小学4年/低酸素脳症で肢体が不自由、知的障がいもあるお子さん
発語はないが、指でさして言いたいことを伝え、意思の疎通はできる
普段はオムツに排泄しており、尿意は感じていない様子で、トイレの主張もない

<DFreeを使用した内容と結果>
・DFreeをつけてしばらく排尿の傾向を見て、メーターが4~5くらいまで溜まるとトイレに連れていくようにした
・家での使用中は、オムツで濡らすことなく、トイレでの成功が増えた
・学校では、DFreeを使用しない定時誘導で、その際のトイレでの成功率も増えた

<Bさんの結果詳細>

トイレでの排尿率

尿が溜まったタイミングでトイレに連れていくことによりトイレでの排尿率が大きく上昇

       11月   2月
トイレ成功率: 0%  → 15%
トイレ準成功率:0%  → 62%
トイレ排尿率: 0%  → 77%

※トイレ成功率:トイレで排尿あり、オムツに排尿なし
トイレ準成功率:トイレで排尿あり、オムツに排尿あり
トイレ排尿率:トイレ成功率+トイレ準成功率

おもらし率

トイレでの成功率が上昇するにつれて、おもらし率が低下

         11月   2月
空振り率:             0%  → 0%
おもらし率:           100%  → 23%
トイレ以外排尿率:     100%  → 23%

※空振り率:トイレで排尿なし、オムツに排尿なし
おもらし率:トイレで排尿なし、オムツに排尿あり
トイレ以外排尿率:空振り率+おもらし率

トイレ排尿回数

1日あたり2.5回トイレで排尿できるようなった

(1日あたり)  11月   2月
トイレ成功:         0回 → 0.5回
トイレ準成功:    0回 → 2回
トイレ排尿回数: 0回 → 2.5回

※トイレ成功:トイレで排尿あり、オムツに排尿なし
トイレ準成功:トイレで排尿あり、オムツに排尿あり
トイレ排尿:トイレ成功率+トイレ準成功率

Cさん

小学2年/筋ジストロフィーで、知的障がいもあるお子さん
オムツを利用していたが、トイレに行きたいと主張をすることもあり、その際にはトイレ誘導をしていた。しかし、トイレに行くこと自体はあまり好きではなく、遊びを中断したくない気持ちが強かった。それゆえ、誘導してもトイレに行く前に出てしまうことが多かった。

<DFreeを使用した内容と結果>
・メーターが上がったときに本人が数字を見てトイレに行き、成功することもあった
・メーターの数値と本人の感覚にずれがあり、数値が高い時もトイレで出ないことがあった。そのすれ違いが多くてトレーニングが嫌になって、徐々にDFreeを装着しなくなってしまった

4.結果について

【一般社団法人りあん 大久保代表のコメント】

トイレでの排泄に課題のあるお子さんについて、子どもが尿意を表現してくれないため、どのタイミングでトイレに連れて行ったらいいのか分からず困っている保護者は多くいらっしゃいます。今回の実証では、DFreeをつけたことで尿の溜まり具合が可視化されるため自信を持ってトイレ誘導ができるようになった点と、尿が溜っている段階でトイレに座らせることで排泄に成功した点がよかったと思います。また、子どもが出していた「トイレのサイン」らしきものに気づくことができ、保護者や職員が子どものことをさらに理解することにもつながりました。全員に良い効果が出たわけではありませんし、トイレの自立までは時間がかかりますが、障がいがある子どものトイレトレーニングの具体的な方策の1つになりうるのではないかと感じました。子どものパターンに応じたトレーニングの進め方のマニュアル化や製品自体の使いやすさ向上など、期待しています。

【昭和大学藤が丘病院小児科診療科長 池田裕一先生のコメント】

膀胱充満は脊髄を伝達されて大脳に到達しますが、知的障害や発達障害があると前頭前野の働きが悪いためそれを認知できない、もしくは認知が弱いために、膀胱がパンパンになって漏れてしまいます。排尿についても、脳の前頭前野から信号を送り尿道括約筋の開け閉めを行って起こるものですが、その信号をうまく出せず、排尿できない、残尿がある、ということが起こります。

今回の実証事業で良い結果が得られたお子さんがいましたが、膀胱の充満を認知する力が弱い小児でも、視覚的に蓄尿量を確認することで膀胱充満感に自ら気づけるようになることの表れと考えられます。「感覚」としてわからない膀胱充満感を「理性」的に獲得していくことに役立つ可能性があります。一方で、発達障がいでは感覚過敏や生活でのこだわりがある方も多いので、装着のテープのセレクトや継続できるような声がけの工夫、治療薬との併用などでさらに効果が出るパターンもあると思います。今後より多くの症例が集まり、より多くの方に役に立つ使い方が確立されることを期待します。

<<池田裕一先生 プロフィール>>
日本夜尿症学会 常任理事 第29回学術集会大会長
日本小児科学会専門医、指導医、代議員
日本小児腎臓病学会 代議員、専門医制度委員
日本腎臓病学会専門医、指導医

1995年昭和大学医学部卒業後、同大学藤が丘病院小児科に入局。1998年~神奈川県立こども医療センター感染免疫腎内科、昭和大学医学部小児科講師、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF ,Children Hospital Oakland,CA, USA)客員研究員等を経て、現在は昭和大学医学部小児科准教授、同横浜市北部病院こどもセンター長、同藤が丘病院小児科診療科長。また、「こどもの尿トラブル外来」を担当、HPこどものおねしょとおもらし総合相談室「おしっこトラブルどっとこむ」や講演、執筆、TV出演(NHK)等、子どもの排尿の問題に取り組んでいる。

5.今後について

症例の数を増やし、DFreeを使ったトイレトレーニングの進め方のとりまとめを行いたいと考えています。また施設での導入や対象者への啓発活動も強化していきます。

「DFree Personal」について

小型の超音波センサーを用いたIoTウェアラブルデバイスを下腹部に装着することで膀胱の変化を捉え、スマートフォンやタブレット上の専用アプリで排泄のタイミングをお知らせします。DFree本体と携帯端末は直接Bluetooth通信にて連携するため、外出先でも利用が可能です。専用アプリは、iOS版、Android版があります。商品名称:

「DFree Personal」(ディー・フリー・パーソナル)
価格:49,880円(税別)
サイズ:本体部 幅83mm×奥行き80mm×高さ33mmセンサー部 幅54mm×奥行き35mm×高さ12mm
重さ:90g
DFree専用アプリ:
iOS版(ios 10.0以上対応):https://itunes.apple.com/app/id1382218968?ls=1&mt=8
Android版(android 4.4以上対応):https://play.google.com/store/apps/details?id=biz.dfree.personal

「DFree」について

当社では、創業以来テクノロジーの力で「世界を一歩進める」ことを掲げ事業を推進し、世界初の排泄予測デバイス「DFree」を開発しました。2017年に介護施設向けのサービスを開始し、2018年7月より個人向けのサービスとして「DFree Personal」の提供を開始しています。従来の排泄ケアでは困難であった被介護者に合わせたパーソナライズケアをサポートし、被介護者のQOL向上と介護者の負担軽減を実現することができます。

会社概要

社名: トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
本社: 東京都千代田区有楽町一丁目5番2号 東宝ツインタワービル3階
代表者: 代表取締役 中西 敦士
設立: 2015年2月18日
資本金: 11億4,921万円(資本準備金含む)
従業員数: 40名
事業内容: 排泄予測デバイス「DFree」の企画・開発・販売
URL: https://www-biz.co/

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