記事の要点
・江崎グリコ株式会社が、家族で共に取り組む育児「Coparenting(コペアレンティング)」社会の実現を目指す「Co(こ)育てPROJECT」の一環として、オンライン子育て支援サービス「Co育てプログラム」を開発し、自治体向けに提供を開始。
・全国初の導入事例となったのは大阪府寝屋川市。妊娠期からオンラインで支援するプログラムや、夫婦間のコミュニケーション活性化を図るアプリ「こぺ」を活用し、子育てしやすい街づくりに取り組んでいく。
・取り組みの背景にあるのは、コロナ禍で孤独感が増す子育て世帯の実情。江崎グリコ株式会社が現在妊娠中または0~2歳の子どものいるパパママ(20代~40代)600名を対象にアンケートを実施したところ、コロナ禍で「外世界との接触機会が減ったことで、孤独を感じていること」、 「家族時間が増えても、夫婦間で子育てに対する意識差があると孤独感が高まること」などの課題が浮き彫りになった。
LoveTechポイント
「コロナ禍によって家族の時間が増えた」「夫婦協力して子育てができるようになった」などコロナ禍による子育てへのプラスの声が聞かれる一方で、感染拡大防止の観点で公的サービスやコミュニティへのアクセスが制限されている実態もあります。
行政がオンラインサービスの拡充を行い、公的支援へのアクセスや地域住民同士のつながりが再構築され、相互に支えあう体制が強化されるLoveTechな事例が増えることが期待されます。
編集部コメント
江崎グリコ株式会社が、家族で共に取り組む育児「Coparenting(コペアレンティング)」社会の実現を目指す「Co(こ)育てPROJECT」の一環として、オンライン子育て支援サービス「Co育てプログラム」を開発し、自治体向けに提供を開始した。
Co育てPROJECTとは、江崎グリコが2019年2月にスタートしたプロジェクト。妊娠から2歳までの1000日間を子どもの基礎をつくる大切な時期と捉え、その時期の子育ての課題解決を目指すものだ。
米国で提唱された、夫婦などの家族間でのコミュニケーションや育児協同を推進し子育て環境を良好にするための概念「Coparenting」を理想とし、家族のコミュニケーションや育児協同を推進し、子育て環境を良好にするための活動を志している。
その中で今回、新たに開発された「Co育てプログラム」は、パパママを中心とする家族を対象に、生まれる前から一緒に「Co育て」ができるように考えられた、妊娠中期・後期・出産後の合計3クラスで構成される体験型講座となっている。
一般的に自治体等で実施されている「両親学級」が「妊娠・分娩の経過と過ごし方」「育児技術」など具体的な知識や実技を中心とした内容が多いのに対し、「Co育てプログラム」はお互いの意識のすれ違いを認識し、家族というチーム作りに寄与することを目的に開発されている。
すれ違いが多くなりがちな出産前後の時期に、プログラムを通じて「どうしたらCo育てできるか」を家族で一緒に考えて話し合うことで、子育てへの不安を軽減するとともに、家族で共に取り組む育児「Coparenting」社会の実現を目指していくというわけだ。
<「Co育てプログラム」イメージ>
(左上)出産前に、どんな子どもに育ってほしいかをパートナー間で伝え合う機会をつくることで、互いの考えを認め合い、「Co育て」を促す
(右上)“ある家族の一幕”を通じて、出産後の「Co育て」を体験することで、親としての自覚・意識の差の軽減を図る
(左下)出産後はより一層「Co育て」が大事になる一方で、すれ違いが多くなりがちな時期。上手にCo育てするために、今のうちから育児・家事の役割分担について話し合う機会をつくり、よりよい子育て環境作りを促す
(右下)クイズやイラストを取り入れ、楽しみながら「Co育て」について話し合う構成
「Co育てプログラム」以外では、江崎グリコ株式会社が開発した、家族間のコミュニケーションを活性化するアプリ「こぺ」も活用し、Coparetingのサポートを行っていくという。
「こぺ」は、パートナー間専用のメッセンジャーや、パートナー間で共有できる育児ログ、妊娠期からのCo育てノウハウなど、子育てに役立つ様々な機能を搭載している
これらの取り組みの背景には、コロナ禍で孤独感が増す子育て世帯の実情がある。
同社が、現在妊娠中または0~2歳の子どものいるパパママ(20代~40代)600名を対象に、「コロナ禍における出産と子育てに関するアンケート」を実施したところ、コロナ禍で「外世界との接触機会が減ったことで、孤独を感じていること」、 「家族時間が増えても、夫婦間で子育てに対する意識差があると孤独感が高まること」などの課題が浮き彫りになった。
具体的には、まずは7割以上のパパママが、新型コロナウイルスは子育てに影響があったと回答。そのうちの約6割が「家族で一緒に過ごせる時間が増えた」と回答している。
一方で、コロナ禍の子育てにおいて孤独感や心細さを感じているママは約6.5割にも上り、その理由としては「地域のコミュニティに参加できない」「ほかの子育て中のお母さんと交流できない」など、外の世界との接触機会が減ったことが主な原因としてあげられている。
さらに、孤独感や心細さを感じているママのうち、それに対する対処法として「身近な人やパートナーに話す」という回答が最も多い一方で、コロナ外出自粛下では、4割以上が「今は仕方ないとあきらめる」と回答。解決策が見出せず、孤立化している現状が伺える。
このような背景の中、子育てをする上で重要だと思うこととして最も選択されたのが、パパママ共に「夫婦で協力して子育てに当たること」との集計結果が出ている。
しかし、男女で20%以上回答数に差があり、家族で一緒に過ごせる時間が増えていても、いまだに夫婦で協力して子育てすることに男女間で意識差があることが読み取れるだろう。
ちなみに、パパ・ママがそれぞれどこから子育てに関する情報を得ているかについて集計すると、ママはWebサイトやSNSに次いで、「友人・知人」や「ママ友」と回答。一方パパは、7割以上が情報収集源を「パートナー」と回答しており、夫婦間で子育てに関する情報や知識が“ママ頼り”になってしまっていることが明らかになっている。
今回の「Co育てプログラム」提供は、これらの調査結果を踏まえ、コロナ禍の家族をサポートするために企画されたものというわけだ。
Co育てとは、「Communication(和気あいあいと)」、「Cooperation(上手に協力しながら)」「Coparenting(一緒に子どもを育てる)」の3つの“Co”を取った造語であり、上述の調査結果に必要な概念が詰まったものである。
行政が本件のようなオンラインサービスの拡充を行い、公的支援へのアクセスや地域住民同士のつながりが再構築され、官民およびパートナー同士が相互に支えあう体制が強化される事例が増えることが、今後ますます期待される。
以下、リリース内容となります。