LoveTech Media編集部コメント
細胞培養技術を用いた食肉生産、「細胞農業」スタートアップのインテグリカルチャー株式会社が、日本ハム株式会社と共同で、動物細胞の大量培養による食品の製造に向けて基盤技術開発を始めると発表した。
インテグリカルチャーといえば、動物を殺すことなく、細胞培養技術を通じてお肉などのタンパク性食糧を作ることのできる未来を作ろうとしているビジョナリー企業だ。
以前、当メディアでも食のタンパク質危機への対応を進めるLoveTechな企業として、イベントを通じて取材させていただいた。
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また、昨年12月には、東京女子医科大学と共同で、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の宇宙探査イノベーションハブが実施する研究提案プログラムに、TansaXチャレンジ研究として採択され、宇宙という環境で、食肉生産を可能とする細胞農業技術について、共同研究をスタートさせている。
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食料需給の将来予測では、人口増と新興国の経済成長を主因とする世界的な需要急増により、食肉の調達が危ぶまれており、タンパク質の不足が大きな課題として到来することが予測されている。
同社はそれに対し、細胞培養技術によって作られた食品を、消費者の手の届く価格帯で提供することで、持続可能なタンパク源を提供することを目指している。
具体的には、細胞培養コストを現時点で1/100以下にするCulnetシステム(細胞工場)を研究開発している。
高価な細胞由来機能成分や、細胞そのものを安価に生産できるというこの技術は、コスメや機能性食品への応用だけでなく、大規模プラントでの食肉生産も期待でき、この大規模プラント運用が実現すれば、2026年には細胞培養コストを1/10000以下にまで下げることができると想定しているという。
まさに、農地不要・超省資源で様々な「細胞農業」が可能になるわけだ。
農業で作物を栽培するのように細胞を培養する「やさしいSFの世界」を実現するスタートアップと、業界最大手の企業によるコラボレーションということで、今回の共同研究には大いに期待したい。
以下、リリース内容となります。
細胞培養技術を用いた食肉生産、「細胞農業」スタートアップのインテグリカルチャー株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:羽生雄毅、以下、「当社」という。)は、日本ハム株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役:畑佳秀)と共同で、動物細胞の大量培養による食品の製造に向けて基盤技術開発を始めます。
食料需給の将来予測では、人口増と新興国の経済成長を主因とする世界的な需要急増により、食肉の調達が危ぶまれています。当社は細胞培養技術によって作られた食品を、消費者の手の届く価格帯で提供することで、持続可能なタンパク源を提供することを目指しています。