ウミトロン、海上でリアルタイムに魚の食欲を判定し給餌を完全自動化する「UMITRON FAI」を開発

社会課題

LoveTech Media編集部コメント

水産養殖×テクノロジーのウミトロンが、新たに、機械学習による世界初のリアルタイム魚群餌食い評価システム「UMITRON FAI (Fish Appetite Index)」を開発したと発表した。

 

ウミトロンとは、持続可能な水産養殖を地球に実装することをミッションに、成長を続ける水産養殖にテクノロジーを用いることで、将来人類が直面する食料問題と環境問題の解決に取り組むFishTechスタートアップ企業。

 

シンガポールと日本に拠点を持ち、IoT、衛星リモートセンシング、機械学習をはじめとした技術を用い、持続可能な水産養殖のコンピュータモデルを開発している。

 

事業背景にあるのは、当メディアでも何度も取り上げている、地球におけるタンパク質危機。

 

アジアを中心とした世界的な健康ブームにより、一人当たりのタンパク質需要は増加を続けている中、国連の発表によると世界の人口は、2050年には97億人に達することが予想されており、深刻なタンパク質不足の可能性が懸念されているというものだ。

出典:いずれもウミトロン社ホームページ

 

同テーマについては、こちらの取材記事も併せてご覧いただきたい。

 

ウミトロンはこれまで、水産養殖に関わるあらゆるデータを収集し、持続可能な水産養殖コンピュータモデルを構築するというサービス開発手法をとってきた。

 

スマート給餌機「UMITRON CELL」や水産養殖保険向けデータサービス「UMITRON EYE」などのプロダクトを、国内外問わず展開している。

 

今回発表された「UMITRON FAI」は、機械学習によって魚の餌食いをリアルタイムで自動評価する世界初のアルゴリズムであり、上述の「UMITRON CELL」と連携することで、電源や通信が限られた海上で、「魚の遊泳データの自動蓄積・リアルタイムでの摂餌状況のスコア化・スコアに応じた給餌制御」を可能とする洋上自律型のサービスだという。

 

開発の背景は、水産養殖における給餌コストの課題。

 

生産者は洋上に浮かべた多数の養殖生簀を活用して魚を育てており、これまでは毎日特定の担当者が海に出て魚の様子を確認することで、きめ細やかな生育を実現してきた。

 

しかし、船で一つ一つの生簀を回るオペレーションは役割分担が難しく、また魚や海の状態変化を知るためには、決められた担当者が現場で日々継続的に魚を確認し、年間を通してほとんど休みなく生育管理をする必要があった。

 

また、天候不良時等の危険な環境下では長時間の洋上作業は極めて困難であり、一つの生簀あたりの作業時間は必要最小限にする必要がある。

 

つまり、これまで給餌中の魚の観察や給餌方法の変更は給餌担当者が洋上現場の限られた時間内のみで素早く行う必要があったわけだ。

 

UMITRON CELLで撮影した給餌中の動画から魚の摂餌中の状態を自動的にスコア化することで、現場担当者が後からスコアの良し悪しを元に給餌状況の振り返りをすることができる。

 

解決する課題は以下の通り。

  • 生育期間を通した魚の摂餌状況(時系列データ)や、複数の生簀同士での餌食い状況(生簀間データ)を俯瞰して観察することで、より客観的な目線で給餌戦略を立てることができる。
  • UMITRON FAI」を活用して考案した給餌改善計画をスマートフォンを使ってすぐにUMITRON CELLでの給餌スケジュールに反映させることができるため、給餌調整のための洋上作業時間がなくなると同時に、短期間で給餌変更のトライアンドエラーが可能になる。
  • 現場の給餌担当者以外の社員も含めてこれらの摂餌情報を共有することで、給餌を止めるべき判断基準(スコア)を全員でシェアし、今後の給餌計画(量やタイミング)を改善することができる。
  • また、生産者が全生簀の餌やりを1日中観察し続けることは難しいですが、UMITRON FAIが生産者の代わりに魚の餌食を観察、評価してくれるため、餌食が落ちるタイミングなど、より重要な場面のみ直接観察をするなどの生育方法も可能となる。
  • 実際に魚の食欲は生育段階や水温などの環境条件で急激に変化するため、「UMITRON FAI」を使ってリアルタイムに魚の状態を解析することで無駄餌の早期発見や、リアルタイムでの給餌の自動最適化にも繋がる。

これらシステムにより、水産現場における社内での知見の資産化、洋上作業を減らすことによる労働環境の改善、無駄餌の早期発見を通した海の保全、魚の早期成長や給餌コストの最適化による経営改善をサポートしていく。

 

これらは、UMITRON CELLを活用する既存ユーザー向けにすでにベータ版を実装開始しており、今後も新しい機能を随時アップデートしていく予定とのこと。

 

海という流動性の高い環境だからこそ、持続可能な開発と食の安全・安定生産に向け、ウミトロンのテクノロジーに根ざした研究開発とソリューションに今後も期待したい。

 

なお、同社では給餌船などの養殖向け大型設備に「UMITRON FAI」等のソフトウェアを連携するシステム連携パートナーの募集も開始している。

 

興味のある方は、ウミトロンにご連絡されてはいかがでしょう。

 

以下、リリース内容となります。

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