LIFULL、空き家・所有者不明不動産問題の解決に向けブロックチェーン活用実証実験を予定

社会課題

記事の要点

・株式会社LIFULLが、急増する空き家・未登記による所有者不明不動産問題の解決に向け、ブロックチェーン技術を用いた不動産権利移転記録の実証実験を2019年11月より開始。

 

・パブリックブロックチェーンの公証性と特定の機関に依らず取引のタイムスタンプを記録・保持できるという点に着目し、所有者不明不動産問題の要因としてあげられる「未登記により所有者がわからない」という課題に対し、安価に不動産の権利移転記録を残し、移転登記の代替としての可能性を探る。

 

・具体的なケースとして、市場価値がゼロに近くなってしまった不動産をLIFULLがオーナーから無償譲渡を受け、一連の実証実験を実施する予定。

LoveTechポイント

空き家や所有者不明問題は、地域に少なからずネガティブな側面(外部不経済性)をもたらすものであり、それらの解決を試みるテクノロジーという観点で、LoveTechだと感じます。

今回の実証実験結果への期待はもちろん、今回の実証実験のようなブロックチェーン活用可能性への気づきに、多くのステークホルダーが繋がってもらえればと感じます。

編集部コメント

今、空き家や所有者不明不動産が深刻な問題になっている。

 

2018年6月から今年1月までに開催された、増田寛也元総務相主宰「所有者不明土地問題研究会ワーキンググループ」の試算によると、所有者不明不動産は、2016年時点で九州全土の面積を上回る約410万ヘクタールにのぼると推計されており、このまま対策を講じなければ、2040年には北海道全土に相当する約780万ヘクタールにまで拡大する可能性があるとされている。

参考:http://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei2_last_honbun.pdf

 

本ワーキンググループ設置の目的は大きく分けて2つ。

土地に対する国民の意識の変化と、空き地のもたらす外部不経済、それぞれに対応する必要性の高まりにある。

 

前者について、国土交通省「土地に関する国民の意識調査」(対象者無作為抽出)によると、「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という質問に対して「そう思う」の回答が30%であるのに対し、「そうは思わない」の回答が42.5%となっており、その数値は年々増加しているという(いずれの数値も2016年)。

また、「土地を所有することに負担を感じたことがあるか又は感じると思うか」という質問に対しては、42.3%が「感じたことがある又は感じると思う」と回答。

 

ここから、多くの国民が土地の所有に負担を感じており、資産価値についても相対的に低く評価を下し始めていることがわかる。

 

さらに、後者の外部不経済性についても、国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)によると、景観の悪化、ごみ等の投棄、害虫の発生、地域のイメージや活力の低下、地域の治安の悪化等が挙げられている。

 

このように、年々増加する所有者不明不動産問題には様々な要因が考えられ、その中に「未登記により所有者がわからない」という課題がある。

 

著しく市場価値が低下してしまった不動産の場合、移転登記費用が不動産価値を上回る等のケースもあり、登記が行われず、取引記録が断絶してしまうのだ。

 

その結果、空き家所有者の特定が困難になり、空き家対策が進まない一因となっているという。

 

そんな背景からこの度、住宅・不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」などの企画・運営を行う株式会社LIFULLが、ブロックチェーン技術を用いた不動産権利移転記録の実証実験を2019年11月より開始すると発表した。

 

同社は、不動産業界の抱える課題を最先端テクノロジーを活用して解決するべく、早い段階からブロックチェーン推進グループを中心として不動産×ブロックチェーンの研究やコラボレーション、勉強会等を進めていた、スタートアップマインド溢れる東証第一部上場企業である。

 

今回の実証実験では、パブリックブロックチェーンの公証性と特定の機関に依らず取引のタイムスタンプを記録・保持できる点に着目し、安価に不動産の権利移転記録を残し、移転登記の代替としての可能性を探るという。

 

具体的なケースとしては、市場価値がゼロに近くなってしまった不動産をLIFULLがオーナーから無償譲渡を受け、一連の実証実験を実施するという。

 

具体的な譲渡の流れは以下の通り。

  1. トークン移転をもって不動産の権利移転(譲渡)とみなす当事者間契約の締結
  2. 既存の権利証明ファイルのハッシュ値を含んだNFT(※)の生成
  3. トークンの移転(トランザクションの生成)
  4. 移転トランザクションの値を記載した権利証明書の発行

※NFT:Non Fungible Tokenの略。「非代替トークン」と訳され、通貨性がなく、権利証や会員権などの個別的な資産を表すことができる

 

検証ポイントは下記の3点となっており、ブロックチェーン技術の適用可能性およびアクセプタンスについての検証を通じて、今後の不動産登記システムのあり方や不動産取引と登記の同時執行についての議論を深めて行くとのこと。

  1. 登記費用・手続きがハードルとなって進まない不動産の譲渡が、本スキームにより推進されるか、取引全体の実行を通じての検証
  2. 不動産権利のNFT化および移転証明がブロックチェーン技術を用いて実行可能であることの技術検証
  3. ブロックチェーン上の移転記録に対する移転当事者からの懸念および生じる課題についての検証

 

ブロックチェーン=仮想通貨、というイメージも今や久しく、今年度に入ってこのような「社会課題」への技術実装案件が具体的に増えてきたような印象である。

 

空き家という、未だ抜本的な対策の打てていない領域における課題解決を図った取り組みとして、本実証実験の結果報告が楽しみである。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

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