レコテックが“ごみ”の可視化システムを発表、店舗向け「GOMiCO」と収集運搬業者向け「MPS」β版

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記事の要点

・廃棄物対策コンサルティングや環境機器・プラント導入支援を行うレコテック株式会社が、街中の飲食店等が出すごみを可視化するWebアプリ「GOMiCO」と、その情報を集約して効率的な回収ルート等を弾き出してくれる「Material Pool System(MPS ※特許申請中)」のβ版をリリース。

 

飲食店では毎日のようにごみが出て、軒先に出されたごみは、その種類ごとに収集運搬事業者が回収していくものだが、小規模店において、ごみの種類によっては一店舗当たりの量が圧倒的に少なく、一つずつ回収していっては工数も時間も足りなくなってしまうので、結果として、リサイクル可能なごみもそうでないごみと一緒にまとめて回収・処理されてしまう、ということが起こっている。それを解決するのが「GOMiCO」と「MPS」となる。

 

今回のβ版正式リリースにあたって、まずはGOMiCOの運用実証を実施。飲食店を運営する株式会社ゼットンや、カフェ運営のFUGLEN TOKYO、生分解性ストロー販売の株式会社4Natureが実施するTOKYO 100cafe Projectに参加するコヒーショップが実証参加を予定しており、本実証実験を通して、「見える化による発生抑制効果の検証」「費用対効果の検証」「参加企業の裨益等々の検証」を行なっていく。

LoveTechポイント

小規模店舗で発生するごみを可視化し、お店にとっての収益化インセンティブを与えることで、結果として回収業者にも地球環境にも優しいシステムとなる点が、LoveTechだと感じます。

静脈資源という、これまでなかなか着目されて来なかった領域におけるイノベーションが、今後の持続可能な社会に向けたキーファクターになってくることは、ほぼ間違いないと思います。

編集部コメント

廃棄物対策コンサルティングや環境機器・プラント導入支援を行うレコテック株式会社が、サーキュラー・エコノミー(※)社会を実現するためのWebアプリケーション「GOMiCO」と、資源循環プラットフォーム「Material Pool System(MPS ※特許申請中)」のβ版をリリースした。

※サーキュラー・エコノミーについてご存知ない方は、以下の記事を参照

 

どういうことか。

 

本事業の一次対象者は、小規模飲食店などの店舗型事業者が想定されている。

 

通常、こういった飲食店では毎日のようにごみが出て、軒先に出されたごみは、その種類ごとに収集運搬事業者が回収していく。

 

しかし、ごみの種類によっては一店舗当たりの量が圧倒的に少なく、一つずつ回収していっては工数も時間も足りなくなってしまうので、結果として、リサイクル可能なごみもそうでないごみと一緒にまとめて回収・処理されてしまう、ということが起こっている。

 

本来的には少量であったとしても分別された形で回収・処理されるべきであり、またそれが実現すれば、飲食店サイドにとっても新たな収益源になる可能性を秘めている。

 

つまり、そのためには「一店舗ごとのごみの可視化」が必要となるわけだ。

 

このような背景から開発されたのが、今回発表された「GOMiCO」と「Material Pool System」となる。

 

「GOMiCO」とは、排出者がごみの種類・量・発生場所などの情報を記録するためのWebアプリケーション。

 

飲食店等によるごみ情報の“インプット”部分を担うサービスとなる。

 

GOMiCOから記録されたごみの情報は、クラウド上で見える化され、店舗ごとにカスタマイズが可能なので、小さい作業負荷でごみの計量管理を始めることが可能となっている。

 

また、この蓄積されたデータはグラフや集計表などに加工できるので、ごみの発生抑制に向けた対策の検討や、報告書作成などに役立てることも可能だ。

 

一方、Material Pool System(以下 MPS)は、上述のGOMiCOで記録されたごみ情報が集約されるクラウドプラットフォーム。

 

主にごみの収集運搬事業者の活用を想定したものだ。

 

ごみの種類・量・発生時間などの情報が地図上にマッピングされて表示されので、どの地域にどれくらいのごみが存在しているかが一目でわかるようになる。

 

従来通り一店舗ずつ回っていては、このような情報は見えては来ないはずだ。

 

このように、飲食店サイドによるごみ情報が集約され、プラットフォーム上で見える化されることにより、ごみの収集運搬ルートだったり、再資源化の工程を効率化することができる。

 

製造業者にとっては、静脈資源(※)のトレーサビリティー、安定調達、品質管理の実現を目指し、さらには新製品の市場投入と同時に回収スキームを提供する仕組みづくりに取り組んでいくという。

※静脈資源:我々がモノを消費した後にごみとして分別・排出し、これを市町村や事業者等が収集・運搬し、リユースもしくはリサイクルすることで、再び市場にて流通されるようになる流れのことを示す。これは社会におけるモノの流れを「生き物の血液の流れ」になぞらえて表現したもので、上述に対して、資源の採掘から原料・製品の生産、お店までの流通、そしてエンドユーザーへの到着までの流れを「動脈資源」という

 

そもそもはと言えば、日本における「環境リテラシー」の低さが、このような事態の引き金になっていると考えられる

 

「え?日本って、街並みが綺麗で分別意識も高いから、むしろ環境先進国なんじゃないの?」

 

そう思われるかもしれないが、実は我が国の一般廃棄物のリサイクル率は20%程であり、廃棄物のほとんどを焼却している “焼却大国” でもある。

 

リサイクル率はOECD加盟国34カ国の中で29番目と低水準にあり、焼却炉の数は世界最多。世界の焼却炉の70%が日本に集中しているとも言われている。

 

そんな背景があり、同社はごみを「資源」とみなすにあたっての「バリューチェーン可視化」に着目し、ごみの賦存量が定量的に把握できるようにするためのクラウドプラットフォームとWebアプリケーションを開発したというわけだ。

 

今回のβ版正式リリースにあたって、同社は本事業のコンセプトに賛同する事業所と協業して、まずはGOMiCOの運用実証を実施する。

 

参加企業は、飲食店を運営する株式会社ゼットンや、カフェ運営のFUGLEN TOKYO、生分解性ストロー販売の株式会社4Natureが実施するTOKYO 100cafe Projectに参加するコヒーショップが予定されており、本実証実験を通して、「見える化による発生抑制効果の検証」「費用対効果の検証」「参加企業の裨益等々の検証」を行なっていくという。

 

ゴミを可視化して収益化し、地球環境にも優しい形で循環させる。

 

静脈資源という、これまでなかなか着目されて来なかった領域におけるイノベーションが、今後の持続可能な社会に向けたキーファクターになってくることは、ほぼ間違いないだろう。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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