記事の要点
・合同会社DMM.comが、近年増加する鳥獣被害対策を行う新会社「株式会社DMM Agri Innovation (DMMアグリイノベーション)」を設立。DMMグループとしては、農業領域参入は株式会社ファーマリーの「DMM農機」に続く2社目。
・DMMアグリイノベーションでは、JA全農の協力のもと、経済連・県JAや全国各地の農協への「電気柵販売」を足がかりに、実証実験を行いながら、鳥獣被害対策商品全般の製品開発・販売にも取り組んでいく予定。
・農林水産省発表のデータによると、平成30年度は年間で約158億円もの農作物被害が発生しており、数字に現れる以上に、営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加など、深刻な影響を及ぼしている。
LoveTechポイント
鳥獣被害対策という、農業の担い手にとってのクリティカルなペインポイントの一つに向き合い、既存の業界ステークホルダーと連携して課題解決を目指している点が、LoveTechだと感じます。
また、世の中に顕在化されていない課題だからこそ、このような活動によって「認知」そのものが広がることも、重要な側面だと感じます。
編集部コメント
合同会社DMM.comが、近年増加する鳥獣被害対策を行う新会社「株式会社DMM Agri Innovation (DMMアグリイノベーション)」を設立した。DMMグループとして、農業領域参入は株式会社ファーマリーの「DMM農機」に続く2社目となる。
ここ最近、鳥獣・害獣被害を循環経済へと応用するビジネスが増えてきている。例えば、ペット用ジビエ食材(鹿/猪)のサブスクサービスを展開するForemaなんかは、害獣駆除と食品流通、地域活性化を循環させるモデルを目指して動いているスタートアップ企業だ。
背景にあるのは、野生鳥獣による農作物への被害の甚大さにある。農林水産省発表のデータによると、平成30年度は年間で約158億円もの農作物被害が発生しており、数字に現れる以上に、営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加など、深刻な影響を及ぼしている。
経年で見てみると、被害総額全体としては減っているものの、労働人口の減少トレンドに鑑みると、無視できない要因といえるだろう。
出典:農林水産省「野生鳥獣による農作物被害の推移(鳥獣種類別)」
これに対して環境省・農林水産省では、特にシカやイノシシなどに『抜本的な捕獲強化対策』を策定しているものの、野生鳥獣の適応能力の進化や道路整備等に起因した野生鳥獣の生息域の変動、あるいは過疎化や高齢化等に伴う人間活動の低下、荒廃土地の増加、狩猟者の高齢化に起因する捕獲数の低下など、種々の要因が複合的に作用し、思うように進んでいないという。(DMMアグリイノベーション代表・村中氏より)
DMMアグリイノベーションでは、JA全農の協力のもと、経済連・県JAや全国各地の農協への「電気柵販売」を足がかりに、実証実験を行いながら、鳥獣被害対策商品全般の製品開発・販売にも取り組んでいく予定とのこと。
その際に、DMMが持つテクノロジー・ソリューション、人材、プロモーション、ブランディングノウハウ等は、レガシーな本領域においては強力な武器となることだろう。
ただ「駆除しておしまい」ではなく、いかに各ステークホルダーと連携し、資源やリソースを循環させるモデルを構築できるか。
レガシーな産業だからこそ、DMMアグリイノベーションの今後の展開に期待したい。
以下、リリース内容となります。