警察署に届いた傘が返還。アイカサが遺失物になっても戻ってくる仕組みを構築

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記事の要点

・傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupが、アイカサの傘が遺失物として全国の警察署に届けられた場合、傘の所有者であるアイカサに連絡・返還されるスキームを確立。

 

・アイカサの傘が遺失物として警察署に届くと、警察からアイカサに遺失物の連絡がいき、アイカサが遺失者の特定及び連絡をした上で後、傘を引き取るという流れになる。

 

・アイカサの2021年3月31日時点のスポット数は約800箇所​、アイカサ公式LINEと公式アプリの登録ユーザー数は合計12万人を超えている。

LoveTechポイント

電車やトイレなどに、つい傘を忘れてしまい、今まで何本もの傘を無駄にしてしまった、という人も多いのではないでしょうか。

今回のような、廃棄傘が循環するスキームが構築されたからこそ、今後ますます多くのアイカサスポットが設置され、自分の傘を持参せずとも安心して移動できる環境が整うことを期待したいと思います。

編集部コメント

傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営する株式会社Nature Innovation Groupが、アイカサの傘が遺失物として全国の警察署に届けられた場合、傘の所有者であるアイカサに連絡・返還されるスキームを確立した。

 

「アイカサ」といえば、突発的な雨にもビニール傘をわざわざ購入せず、1日70円で傘を借りて利用し、雨が上がった際には最寄りの傘スポットに返却することができる傘シェアリングサービスだ。

 

東京駅や新宿駅をはじめとする都内全域をはじめ、関東、関西、福岡、岡山、愛知などで展開しており、2021年3月31日時点のスポット数は約800箇所​、アイカサ公式LINEと公式アプリの登録ユーザー数は合計12万人超えを達成している。

 

同社は、傘の大量消費をなくし循環社会を実現することを一つの目標に2018年末から事業展開しているが、利用者の増加に伴い、アイカサの傘が遺失物として届けられ、最終的に廃棄される可能性が懸念されてきた。

 

遺失物法によると、警察署長と特例施設占有者(公共交通機関や百貨店など不特定多数の者が利用する施設)は、傘や衣類等の安価な物や保管に不相当な費用を要するものについては、2週間以内に落とし主が見つからない場合、売却・廃棄等の処分ができるようになっており、安く大量消費されるビニール傘は持ち主の特定も難しく、思い入れもないため、ほとんどの人が取りに来ず、廃棄される事が多いのが現状となっている。

 

実際に都内では、鉄道会社や商業施設等から警察に届く忘れ物の傘は、年間約30万本(※)にもなるが、その中で持ち主の元に返還される傘はごくわずかで、毎年およそ1%前後だという。

※参考:警視庁遺失物取り扱い状況(令和元年中) 

 

このような背景から、今回の「警察署→アイカサ」へと戻るスキームが構築されたというわけだ。

 

具体的に、アイカサの傘が遺失物として警察署に届くと、警察からアイカサに遺失物の連絡がいく。その後、アイカサが遺失者の特定及び連絡をして、アイカサが傘を引き取るという流れだ。

 

ユーザーが傘を紛失して返却ができない場合、紛失手数料として864円(税込)を負担してもらうことになるのだが、紛失申請後、1ヶ月以内に自分で発見してアイカサ事務局に連絡した場合、紛失手数料を返金するという。

 

同社はこの仕組みによって、アイカサによって発生し得る廃棄傘をゼロにすることを目指していくことになる。

 

電車やトイレなどに、つい傘を忘れてしまい、今まで何本もの傘を無駄にしてしまった、という人も多いのではないだろうか。

 

今回のような循環するスキームが構築されたからこそ、今後ますます多くのアイカサスポットが設置され、自分の傘を持参せずとも安心して移動できる環境が整うことを期待したい。

 

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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