いちごの授粉・収穫ロボット提供「HarvestX」、東大の本郷キャンパス内に新しくラボをオープン

食/地域/環境

記事の要点

・植物工場向けの授粉・収穫ロボットを開発するHarvestXが、東京大学 本郷キャンパス内の「アントレプレナーラボ」に、イチゴの完全自動栽培ロボットシステムの研究開発施設「HarvestX Lab」を設立。

 

・ロボットシステムの検証・評価項目の追加、試験サイクルを加速するため、一年を通じて試験が可能な専用の研究開発施設として設立されたもの(同社では、授粉や収穫といった要素技術の概念実証は完了している)。

 

・HarvestX Labでは、植物工場事業会社と同等の栽培設備を使用することで、開発環境と運用環境の差分を減らし、製品の機能や品質向上を目指している。2021年夏頃には、植物工場に特化した機能拡充に向けて新たなロボットを発表予定。

LoveTechポイント

都市空間の余白を利用した「アーバン・ファーミング」へのニーズが増えており、植物工場を活用した作物生産への期待値も高まっています。

いちごの完全自動栽培を目指すHarvestXの技術は、今後いちご以外の生産物にも展開されていくでしょうから、非常に楽しみだと感じます。

編集部コメント

植物工場向けの授粉・収穫ロボットを開発するHarvestX株式会社が、アントレプレナーラボ(東京大学 本郷キャンパス内)にイチゴの完全自動栽培ロボットシステムの研究開発施設、HarvestX Labを設立した。

 

HarvestX株式会社は、「ロボットによる完全自動栽培で農業人材不足・食料の安定生産に貢献する。」をミッションに活動しているスタートアップ。代表の市川友貴氏が、在学中に個人事業主として農業用組み込み機器や植物工場のFA設計などを請け負う過程で、植物工場の課題や可能性を認識したことから2020年8月に設立した。

 

同社は、食糧問題、さらには宇宙進出といった出来事が予想される未来に、都市から砂漠、宇宙まで、どこでも美味しい果物を供給し人々を豊かにすることを目指しており、その第一歩として、「いちごの完全自動栽培」の実現に取り組んでいる。

 

 

植物工場市場は、食料問題や農業従事者の不足、また昨年からの新型コロナウイルスによる食の衛生・安全面に対する関心の高まりとともに注目が集まっている。

 

レタスやハーブなど、葉物類の植物工場が展開を広げている一方で、ミツバチを媒介とした虫媒受粉に依存する果物類は、ストレスによる受粉の不安定さや、飼育管理のコストや市街の腐敗による工場内の衛生状態の悪化が課題となっている。

 

そこで同社は、ミツバチに代わる手段として、主にロボットを活用した授粉技術の開発に取り組み、現在はイチゴを対象に授粉から収穫までの栽培の完全自動化を目指しているのだ。

 

2020年10月には、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)が展開するインキュベーションプログラム「東大 IPC 1stRound」に採択され、2021年1月には総額5,000万円の資金調達も実施。既に、授粉や収穫といった要素技術の概念実証は完了している。

 

今後、ロボットシステムの検証・評価項目の追加、試験サイクルを加速するため、一年を通じて試験が可能な専用の研究開発施設として、今回の「HarvestX Lab」の設立に至ったというわけだ。

 

HarvestX Labでは、植物工場事業会社と同等の栽培設備を使用することで、開発環境と運用環境の差分を減らし、製品の機能や品質向上を目指す。

 

2021年夏頃には、植物工場に特化した機能拡充に向けて新たなロボットを発表予定とのことだ。

 

現在は「いちご栽培」がメインの事業展開となるが、今後はその範囲も広がっていくことが期待される。

 

都市空間の余白を利用した「アーバン・ファーミング」へのニーズが今後も逓増していくことが想定されるからこそ、同社ロボットへの期待も高まっていくことだろう。

 

LoveTechMedia編集部

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