記事の要点
・自家配合飼料20年の実績をもつコーンテックが、養豚農家向けにAIカメラ「PIGI(ピギ)」のベータ版を公開。
・PIGIでは、養豚施設に設置したカメラの映像解析から、豚の個体数の特定、体重を判別し、これらの推移データを出荷予測などに活用することが可能。また、豚舎内の温度差を24時間測定、常に豚舎内を適温に保ち、環境の変化による豚への影響を動態を分析することで異常を検知することもできる。
・畜産業界においては勘と経験に依存した管理や台帳記入など、アナログな業務管理が多い一方、人材確保が難しくなっている昨今の労働背景や防疫の観点からも人の介在を減らすことが重要だと考えられている。
LoveTechポイント
ここ1年ほどで養豚領域に対するテクノロジー活用が盛んになってきた印象ですが、まだまだ認知含めて課題は山積していると感じます。
毎日口にすることも多い豚肉に関わることだからこそ、コーンテックのようなサステナブルな仕組みを前提にテックを活用する事業者を、引き続き注視していきたいと思います。
編集部コメント
自家配合飼料20年の実績をもつ畜産業界のリーディングカンパニー・コーンテックが、養豚農家向けにAIカメラ「PIGI(ピギ)」のベータ版を公開した。
畜産業界においては勘と経験に依存した管理や台帳記入など、未だアナログな業務管理が多く、旧来の体重測定・管理方法では豚を1頭づつ体重計に乗せて計測したり目視で計測したものを台帳に記入するなど、人が介在し多くの時間をかけてきた。
一方で、人材確保が難しくなっている昨今の労働背景や防疫の観点からも、今後は人の介在を減らすことは必至だ。
このような現状から、コーンテックは「世界の食料問題を解決し、エネルギーと資源が循環する社会をつくる」を理念とし、養豚プラントの設計・施工・コンサルティングにより、「畜産エコシステム」を確立し、儲かる”畜産”の仕組みを創ることを目指している。
主な事業である養豚プラントの設計・建設では、家畜の餌にかかる割合が経営コストの60%以上を占めるほど大きく、畜産の儲からない体質の要因となっていることから、「自家配合プラントの構築」と「飼料マネジメント」を畜産農家ごとにコンサルティング。導入後、20~30%以上のコストを削減し経営改善を実現している。
こちらについては以下の記事も参考にしていただきたい。
[clink url=”https://lovetech-media.com/news/social/20200612_01corntec/”]
また、輸入に頼らない自家配合飼料の実現に向けて、エコフィード(食品残さ等を利用して製造された飼料)を使用することで飼料コストの削減を目指す地場循環型自家配合飼料も今後、導入予定だという。
そんな中、今回発表されたPIGIは、複数の豚の体重・体長を同時に計測ができるカメラ仕様になっているという。
1つのカメラで同時に最大50頭分の体重・体長を計測でき、常時、計測を行うため日々の増体変化などをグラフで確認することができる。つまり、計測にかかる時間と労力を削減でき、増大の個体差を限りなくなくすことで、理想の体重で出荷することができるというのだ。
またPIGIは、豚舎環境と豚への影響を分析することもできる。
豚の体調管理に不可欠な温度管理はセンサーで行うことができ、豚舎内の温度差を24時間測定し、常に豚舎内を適温に保つ事が可能。さらに、環境の変化による豚への影響を動態を分析することで異常を検知し、早めの対処を行うことができることになる。
勘と経験に頼っていた養豚業務が、PIGIによってDXが進み、生産性を上げつつも人の介在を減らしていくことを実現するわけだ。
また今後は、AIを駆使した最適な飼料配合を実現する最先端の自家配合プラントも導入される予定で、自家配合プラントにカメラやセンサーなどのIoT機器を組み込み、豚の体温・餌の消費量・気温や湿度・豚の運動動向など様々な視点からデータを取得。AIを駆使して、誰にでも最適な飼料配合が可能になる世界を実現していくという。
良質な豚を飼育するための省力化・効率化は、これからますます増えていくだろう。大事なことは、その上で儲かる畜産の仕組みを作ること。そして同時に、フードロスといった社会課題の解決も目指すこと。
その両軸を進めていくコーンテックを、今後も注視していきたい。