記事の要点
・ヤマガタデザイン株式会社と株式会社FDが、再エネ(太陽光)と教育を組み合わせた課題解決モデルの創出に向けて「街づくり包括連携協定」を7月27日に締結。
・今回の締結では、今年8月から、地域の子育て教育を応援したい企業の屋根に太陽光発電設備を設置し、①電気代削減 ②再エネ比率向上 ③教育応援の3つが同時に実現できる「ソライでんき PPA モデル」の提供を開始。
・ヤマガタデザインは、山形庄内から全国に展開可能な日本の地方活性化のモデル事例を創出することを目的に、企業との街づくり連携をすすめている。
編集部コメント
地方都市の課題を希望に変える街づくり会社・ヤマガタデザイン株式会社と、建物の屋根上での太陽光発電事業で業界をリードする株式会社FDが、「太陽光と教育」を組み合わせた課題解決モデルの創出に向けて「街づくり包括連携協定」を7月27日に締結した。
ヤマガタデザインは、山形県庄内地方に拠点や縁を持つ企業の投資により設立された会社。同社は街づくりを「地域課題をクリエイティブに事業としてデザインして解決すること」と定義し、ホテル、教育、人材紹介、農業(生産販売、学校、ハード開発)、といった幅広い事業で分野横断的に取り組んでいる。
2020年には、山形県内の子育て・教育環境を充実させる取り組みの一環として新電力の販売取次事業を立ち上げ、庄内地域の企業に割安な新電力プランを販売。得た収益をプランに応じて山形県内の教育的なプロジェクトに投資/寄付を行うことで、地域が教育参加する仕組みを構築している。2021年7月26日現在、契約件数は180社となっている。
また、同社は全国の地方都市に共通する課題解決に向け、山形県庄内地方を「モデル地域」とし、同社の事業を基盤に大手企業やある分野のトップランナーとまちづくり包括連携協定を締結。”社会実験や新たなビジネス創出などを通じた課題解決”を目指す取り組みもスタート。2021年4月には、観光客の二次交通の課題解決、地域の教育向上への連携、 防災力強化に協働で取り組むべく、日産自動車グループと「電気自動車を活用したまちづくり連携協定」を締結、同年5月にも農業用ロボットの開発連携やキッズドームソライの活動を支援する「街づくり連携協定」をTDK株式会社と締結して、全国の地方都市が抱える課題に対し、相互の事業連携強化を図ることで、全国に展開可能な日本の地方活性化のモデル事例創出を目指している。
そして今回、再エネ(太陽光)と教育を組み合わせた課題解決モデルの創出に向けて、再生可能エネルギーに取り組んでいる株式会社FDとの連携により、新たに「PPAモデル(※)」の提供開始へと至った。
(※) PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)とは、PPA 事業者が施設の屋根等に太陽光発電設備を設置し、施設側は発電した電気を購入する契約のこと。第三者所有モデルとも呼ばれており、施設側は、初期費用の負担や設備の維持管理費不要で、再生可能エネルギーの電気を使用することができる。
これは、子どもたちの子育て教育環境の向上を応援したい企業の屋根に、FDが太陽光発電設備を無償で設置し、発電した再エネ電力を20年間お得な単価で供給、ヤマガタデザインが売上の一部を教育還元に活用するというもの。
通常、再エネを購入するには電気代に2、3割の追加料金を上乗せする必要があるが、本PPAでは、電気代自体が安くなるうえ初期投資や管理コストは一切かからないため、導入する施設や企業のデメリットが少なくなっているのが特徴だ。
この取り組みは、企業が教育を継続的に応援する仕組みであり、既存のソライでんき同様、同社が運営する児童教育施設「キッズドームソライ」のコンテンツの充実化や外部講師の招聘などへの活用に加え、山形県内の高校生のデジタル人材育成プロジェクト「やまがたAI部」の活動をスポンサードするなど、地域内の教育事業のサポートにも活用される。
このやまがたAI部とは、民間企業の声掛けにより山形県内で昨年から始まった高校生のAI教育を行う学校横断の部活動で、現在11校60名以上が活動している。
民間企業の支援などで運営するなか、活動の維持、発展のため年間1000万円程度の事業費の確保が課題となっていたところへ、ソライでんきが「やまがたAI部プラン」を作り、電気の売上の一部を使ってAI部の活動を継続的に支援する仕組により資金面で活動を支援することとなった。
国が2050年のカーボンニュートラル達成を宣言し、グローバル企業を中心に取り組みが加速している一方、中小企業においてはコスト増に繋がりかねないため、最エネの導入はまだまだ進んでいないのが現状だ。
同社とFDは、本取り組みによって、企業の再エネ普及とCSR活動を新たな仕組みでサポートしながら、教育環境の充実化に結びつけていくという。
再エネ×教育で地方都市の課題を解決をめざす同社の動向に今後も注視していきたい。