徳島県の僻地に生まれた「未来コンビニ」が、国際的権威あるデザインアワード二冠を達成

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記事の要点

・徳島県那賀郡那賀町木頭地区(旧木頭村)の地方創生に取り組むKITO DESIGN HOLDINGS グループが運営する「未来コンビニ」が、建築業界において国際的に権威あるドイツの建築デザインアワード「ICONIC AWARDS 2021:Innovative Architecture」建築部門「Winner」を受賞。

 

・未来コンビニは、人口約1,000人でその過半数が65歳以上という限界集落である木頭地区最西端の「北川集落」に2020年4月に建築。地元の人々の買い物環境改善を目指すと同時に、この地で生まれ育った子供たちが多様な人生や感性に触れ合い未来への刺激を受けられる場となるように、との想いが込められている。

 

・今回の受賞により、未来コンビニは世界三大デザイン賞の一つ「レッド・ドット・デザイン・アワード」の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」賞と合わせ、国際デザインアワード2冠達成となった。

LoveTechポイント

様々な余白を意図的に作っている点も含め、建築物としてのコンセプトが非常にLoveTechだと感じます。

通り道にすぎなかった場所を「訪れるべき場所」に生まれ変わらせ、訪れる人と地域を繋ぎ、木頭の未来を紡ぐ「未来コンビニ」の取り組み。コロナ禍で県を跨いだ移動は現状は難しいでしょうが、この難局を乗り越えた暁には、ぜひ「僻地にできた魅力スポット」に赴いてみてはいかがでしょう。

編集部コメント

徳島県那賀郡那賀町木頭地区(旧木頭村)の地方創生に取り組むKITO DESIGN HOLDINGS グループ運営の「未来コンビニ」が、建築業界において国際的に権威あるドイツの建築デザインアワード「ICONIC AWARDS 2021:Innovative Architecture」建築部門「Winner」を受賞した。

 

木頭地区は、徳島県と高知県の山間にある東西に大きく広がる村。

 

村の端から端まで移動するのに車で30分以上かかる広大な地域であり、西日本で2番目に高い山「剣山(つるぎさん)」の南麓に位置し、 美しい清流・那賀川が村の中心を流れ、「四国のチベット」と呼ばれるほど自然豊かな場所だ。

 

柚子の原生林が多数存在し、日本で初めて柚子の接ぎ木に成功し柚子栽培を全国に広めた地でもあり、特産品「木頭ゆず」の品質の高さは国内外で高く評価されている。

 

そんな大自然と暮らしが昔から共生する豊かな場所である木頭地区だが、人口は約1000人、その過半数が65歳といういわゆる「限界集落」である。

 

最西端にある北川集落は、商店が無く、最寄りのスーパーまでも車で約1時間かかるなど、生活必需品の買い物が非常に不便な環境下から「買い物難民」が生まれていたという。

 

いつでも安心して買い物ができる場所、そして、子ども達が多様な人生や感性に触れ合って未来への刺激を受けられる場を作りたいとの思いから、「未来コンビニ」は建築された。名前の由来も、漫画家の手塚治虫氏が語った「子供は未来から来た未来人」という言葉が元になっている。

 

運営会社であるKITO DESIGN HOLDINGSグループは、「全ての人が笑顔になれる、奇跡の村を創る」をビジョンに掲げ、キャンプ場の再生や空き家の活用、特産の木頭ゆずを使用した加工品販売など、持続可能な故郷を作るための地方創生に取り組んでいる。

 

 

そんな同社が定義する未来コンビニのコンセプトは「世界一美しいコンビニ」。一般的なコンビニとはかけ離れた外観がまず目に留まるが、木頭の「自然との共生」を表現した自然に溶け込む設計がされている。

 

たとえば店舗の外には、経年変化を楽しめる国産の松の木の素材でできた水はけの良いウッドチップを敷き詰められており、雨の多い木頭の美しい自然との一体感を店内から感じられるようになっている。

 

また店内は、柚子畑をイメージしてデザインされたイエローのY字柱が特徴的となっている。横長のデザイン構図は、西洋的な奥行きのパース構造とは異なり、横へ目線を移しながら景観を観る日本画・禅における枯山水などの横軸の景観を継承しており、店舗の背景と共存するよう設計されているという。

 

店舗正面に大きく表示されるデジタルロックも面白い。過去・現在・未来の全ての時を象徴する装置として、時刻の他に、木頭をイメージした川の流れや雨、星空、YUZU・HOPE・LOVEなどのメッセージ、バレンタイン、クリスマスなどイベントを楽しむ光のプログラムなど、多様なメッセージを発している。

 

 

棚は「子供たちの目線」に合わせ商品を手に取りやすいように通常より低めに設計されており、結果として高齢者にも好評だという。

 

 

店内奥には「木頭ゆず」のオリジナルメニューを体験できるカフェスペースとなっており、子どもたちが様々な絵本や美しい木頭の映像を楽しめるようになっている。木頭にはない「海」の町、徳島県牟岐町と協力したイベント「木頭に海がやってくる!」といった、豊かな海の恵みとともに生活する姿と、徳島県同士の関係に楽しんでもらえるようなイベントも開催されるなど、木頭では体験出来ないことを子どもたちが経験できる場となっている。

 

 

このように、人々が気軽に集まれる交流の場として地元住民や観光客に愛されるとともに、木頭のアイコン的存在となっている未来コンビニ。今回、ドイツのデザイン協議会が1953年より主催する、世界各国の建築関連デザインに焦点を当てた国際的な建築デザインアワード「ICONIC AWARDS」建築部門の「Winner」(各部門カテゴリにおいて優秀な作品から順に 「Best of Best」「Winner」「Selection」が授与。)を受賞したわけだが、これ以前にも実は、世界三大デザイン賞の一つ「レッド・ドット・デザイン・アワード」の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」賞を受賞しており、今回の受賞と併せ国際デザインアワード2冠達成となったのだ。

 

通り道にすぎなかった場所を「訪れるべき場所」に生まれ変わらせ、訪れる人と地域を繋ぎ、木頭の未来を紡ぐ「未来コンビニ」の取り組み。

 

このなんとも言えずLoveTechなプロジェクトはまだ序章であり、KITO DESIGN HOLDINGSは、今後も木頭のような地方から社会へ与えうる可能性について模索し、持続可能かつ発展的な活動の継続を目指していくという。

 

コロナ禍で県を跨いだ移動は難しいだろうが、この難局を乗り越えた暁には、ぜひ「僻地にできた魅力スポット」に赴いてみてはいかがだろう。

長岡武司

LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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