記事の要点
・水産関連企業へのコンサルティング等を行うシーフードレガシーが、サステナブル・シーフードに特化したサプライチェーン関係者向けBtoB専用ウェブサイト「Sustainable Seafood Catalog」(サスシーカタログ)をリリース。
・サスシーカタログでは、日本国内で調達できるサステナブル・シーフード、もしくは認証を取得できるレベルのサステナビリティを目指している漁業・養殖業による水産物のみを掲載。リリース時は15社から提供される約70商品を掲載しており、今後も随時増やしていく予定。
・商品購入者にとってはサステナブル・シーフード選びをより簡単にするツールとして、水産物を販売する側にとってはサステナブルシーフード専属の営業ツールとしての活用が期待される。
編集部コメント
水産関連企業へのコンサルティング等を行う株式会社シーフードレガシーが、サステナブル・シーフードに特化したサプライチェーン関係者向けBtoB専用ウェブサイト「Sustainable Seafood Catalog」(以下、サスシーカタログ)をリリースした。
一般社団法人MSCジャパンおよびASCジャパンが毎年運営している「サステナブル・シーフード・ウィーク」公式サイトによると、サステナブル・シーフードとは以下のように定義されている。
“将来もお魚を食べ続けていくことができるように、水産資源や環境に配慮し適切に管理されたMSC認証を取得した漁業で獲られた水産物、あるいは環境と社会への影響を最小限に抑えたASC認証を取得した養殖場で育てられた水産物”
サスシーカタログは、日本国内で調達できるサステナブル・シーフード、もしくは認証を取得できるレベルのサステナビリティを目指している漁業・養殖業による水産物のみを掲載するサイトで、BtoBマーケットプレイスとしてのプラットフォームとなっている。
開発の背景にあるのは、水産資源の乱獲などの実態にある。
世界の漁業生産量は、数字だけを見ると約1億7730万トンに及んでいるのだが、天然水産物の生産量は近年で頭打ちとなっており、開発に余裕がある漁業資源の割合は、1974年の90%から2017年には65.8%と減少し続けているという(※1)。日本周辺の水産資源の状況をみても、過剰漁獲状態にある魚種は約半数、豊富なものは2割にも至らないのが現状だ(※2)。
※1. FAO,『世界漁業・養殖業白書2020』
※2. 国立研究開発法人水産研究・教育機構,「我が国周辺の水産資源の現状を知るために」
この課題を解決するために、適切な資源管理や環境への配慮、労働者の人権など、社会的な持続性にも配慮するサステナブル・シーフードへの切り替えが重要だと、シーフードレガシーは強調する。
日本では2018年に、70年ぶりとなる大規模な漁業法改正が行われ、東京2020やSDGsを契機に、企業によるサステナブル・シーフードの普及推進の取り組みが活性化。現にMSC(持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際非営利団体)が2020年6月に発表した調査によると、日本の消費者の3人に1人が、水産資源を守るためにサステナブル・シーフードを選びたいと回答している。
このように、サステナブル・シーフードの認知自体は進んできたわけだが、現状では購入しようと思ってもまだ取扱業者が少なく、ニーズに合った商品を見つけるのが非常に難しいのが現状だという。
そんな課題を解決すべく開発されたサスシーカタログでは、エビやサーモンなど商品ごとに掲載されているため、具体的な商品選びが可能。MSCやASCといったサステナブル・シーフードの認証取得の有無はもちろん、取扱会社名、産地、加工形状や最低ロットも記載されており、用途に合わせて商品を選ぶ事ができる。
また、原産国、認証の種類、魚種、加工、取扱業者の項目で商品の絞り込みもでき、ニーズに合った商品があるかどうかの検索する機能も実装。各商品のページ下には「購入について問い合わせる」ボタンがあるため、取扱業者に直接連絡をとることもできるようになっている。
商品を購入する側としては、商品数が多くない中で探す手間と時間の短縮になり、また商品提供側としては、個別の企業のバイヤーに対して都度案内していたのをまとめてアピールができる。加えて、特定企業とのマッチング、商談のセッティングも行うフローがあるので、新規顧客開拓の機能にも期待ができそうだ。
リリース時は15社から提供される約70商品を掲載しており、今後も随時追加していく予定とのこと。
最近スーパーなどでもサステナブル・シーフードを見かけるが、消費者にとってはまだ選択する機会も、認知されているメリットも少ないと感じる。外食先や加工品などでもサスティナブル・シーフードを使用した商品が増えている中、消費者の選択の幅が広がるとともに、認知拡大にもつながることを期待したい。