記事の要点
・「安心して産み育てられる社会をつくる」をビジョンに活動するConnected Industries 株式会社(以下、CI Inc.)が、2020年4月5日(日)より、病児保育運用支援システム『あずかるこちゃん』のサービスを開始。初年度で200施設の導入を目指す。
・保護者は近くの病児保育施設の場所をマップから視覚的に検索することができ、あずかるこちゃんを契約している施設には、そのままスマホから予約申込を行うことができるようになっている。また、子どもの受け入れの判断に必要な情報(名前・年齢・病名・アレルギー・既往歴・発達の状況など)を一元管理できる。毎度電話で決まった情報をヒアリングするのは施設にとって非常に煩雑なだけでなく、保護者にとってもストレスなので、あらかじめ入力された情報をパソコン画面上でチェックすることで、双方の予約工数が劇的に向上する。
・2019年10月から実証実験を開始しており、現在7つの施設で運用。実証実験期間中の保護者登録者数は1,200人を超えている。
LoveTechポイント
病児保育施設を一度だけ利用したことがあるのですが、電話ベースのやりとりに非常にストレスを感じました。
そんな保護者のペインポイント解消だけでなく、施設サイドの業務改善にも寄与し、結果として社会全体の経済循環を促進する仕組みを構造的に作ろうとしている点が、非常にLoveTechだと感じます。
編集部コメント
「安心して産み育てられる社会をつくる」をビジョンに活動するConnected Industries 株式会社(以下、CI Inc.)が、2020年4月5日(日)より、病児保育運用支援システム『あずかるこちゃん』のサービスを開始する。
そもそもだが、子育てをしている皆さん、「病児保育施設」をご存知だろうか。
子育て中の方ならば経験があるだろうが、子どもの体調が急に悪くなると、仕事どころではなくなる。通常の保育施設は37.5度以上の発熱で預かってもらえなくなることがほとんどなので、有給休暇や看護休暇など、会社の制度を使って休みを取ることになるだろう。
だが、子どもの病気は突然に、且つ不定期に、何度もやってくる。休暇取得による対応のみでは限界があることは明白だ。
そんな時に重宝するのが、病児に対して一時的なケアと保育を行ってくれる「病児保育施設」。政府の「病児保育事業」による子ども・子育て支援交付金予算で運営されているものだ。
「病児保育事業」の類型としては「病児対応型・病後児対応型」「体調不良児対応型」「非施設型(訪問型)」の3つがあり、一般的に認知されている病児保育施設とは、1番目の「病児対応型・病後児対応型」のことを示す。
・病児対応型・病後児対応型:地域の病児・病後児について、病院・保育所等に付設された専用スペース等において看護師等が一時的に保育する事業。当面症状の急変は認められないが、病気の回復期に至っていないことから(病後児の場合は、病気の回復期であり)、集団保育が困難であり、かつ保護者の勤務等の都合により家庭で保育を行うことが困難な児童であって、市町村が必要と認めたおおむね10歳未満の児童が対象となる。
・体調不良児対応型:保育中の体調不良児を一時的に預かるほか、保育所入所児に対する保健的な対応や地域の子育て家庭や妊産婦等に対する相談支援を実施する事業。事業実施保育所に通所しており、保育中に微熱を出すなど体調不良となった児童であって、保護者が迎えに来るまでの間、緊急的な対応を必要とする児童が対象となる。
・非施設型(訪問型):地域の病児・病後児について、看護師等が保護者の自宅へ訪問し、一時的に保育する事業。平成23年(2011年)から実施され始めたもので、病児及び病後児が対象となる。
内閣府「病児保育事業について」(平成25年12月11日発表)より
この病児保育施設だが、全国的に施設数が増加しており、平成29年(2017年)には「病児対応型・病後児対応型」だけで1,622施設にのぼっている(下図の棒グラフ)。
また、延べ利用人数も年々増加しており(下図の赤折れ線グラフ)、平成27年(2015年)には「病児対応型・病後児対応型」病児保育施設利用者数は58万人以上を記録している。
さらに非公式だが、CI Inc.のヒアリングによると、平成29年の利用者数は約69万人まで拡充しているとのことで、全国的なニーズがますます顕在化している状況だ。
出典:病児保育施設数、利用延べ人数に関するデータ(内閣府「保育環境改善等事業」(令和元年)より)※一部凡例の柄をわかりやすいように修正
だが、これは決して高い数字とは言えない。
2013年に内閣府が発表した病児・病後児保育に関する実態調査によると、1施設当たりの稼働率は約30%となっており(※)、十分に活用されていないのが現状だという。原因としては認知度の低さもあるが、一番はその“使い勝手”と言えるだろう。利用には事前登録が必要となり、子供が発症した際には電話予約し、診察を経て入室をする必要があるので、非常に煩雑だ。
※平成25年度厚生労働科学研究費補助金活用で実施された「病児・病後児保育の実態把握と質向上に関する研究」における病児・病後児保育に関する実態調査。ここでは、1施設当たりの稼働率は「年間延べ利用児童数/(施設定員×年間開所日数)」で計算されており、全体では30.5%、病児対応型で45.0%、病後時対応型で16.0%という稼働率がはじき出されている。
世の保護者達にとって非常に貴重なインフラであるからこそ、非常にもったいない現状と言える。
そんな状況を打破するべく開発されたのが、今回リリースされる「あずかるこちゃん」だ。
あずかるこちゃんとは、24時間いつでも簡単にスマホやLINEから病児保育施設の検索と予約を行うことができるサービス。保護者と施設スタッフ、双方にとって煩雑な手続きから解放してくれるシステムとなっている。
まず保護者について。病児をかかえる親御さんは、あずかるこちゃんを通じて近くの病児保育施設の場所を、マップから視覚的に検索することができる。さらには、あずかるこちゃんを契約している施設には、そのままスマホから予約申込を行うことができるようになっている。予約の際には詳しい内容や空き状況を確認でき、安心して予約申込をすることが可能だ。
また、毎朝の病児施設スタッフを悩ませているのが、病児の受け入れ電話以上に、キャンセルの電話。子どもの体調は変わりやすいので、朝になって熱が37.5度以下になることもざらだ。あずかるこちゃんでは、保護者が24時間いつでもスマホから簡単にキャンセルすることができる上に、当日朝にリマインドを送信することができるので、双方の工数削減はもちろん、適切なキャンセルを促し、別のキャンセル待ちの親御さんへのスムーズな利用につなげる仕様となっている。
さらに、子どもの受け入れの判断に必要な情報(名前・年齢・病名・アレルギー・既往歴・発達の状況など)を一元管理できる点もありがたいところ。毎度電話で決まった情報をヒアリングするのは施設にとって非常に煩雑なだけでなく、親御さんにとってもストレスである。あらかじめ入力された情報をパソコン画面上でチェックすることで、双方の予約工数が劇的に向上する。
あずかるこちゃんは2019年10月から実証実験を開始しており、現在7つの施設で運用。実証実験期間中の保護者登録者数は1,200人を超えているという。
また、当メディアも取材した経済産業省主催の「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2020」ではグランプリに輝いており、社会的期待値が非常に高いことがうかがえるサービスだ。
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病児保育施設または市区町村からシステム利用料を受け取る形で運営されているため、保護者は完全無料で利用することができる。お子様のいる親御さんは、ぜひインストールしておくことをオススメする。
また施設にとっても、システム導入の際には約1ヶ月の導入準備期間が設けられており、その期間で初期設定や使い方の案内などを手厚くサポートしてくれるという。
今後拡大していく病児保育プラットフォームとして、病児保育施設の管理者は、早めに導入を検討してみてはいかがでしょう。地域社会の子育て世帯にとって、大きなプラスとなることは間違いない。
以下、リリース内容となります。