記事の要点
・FemTechベンチャーのネクストイノベーション株式会社が、「ピル(経口避妊薬)」に関するデータがまとまった冊子(ファクトブック)を、西條婦人科往診クリニック院長の西條良香氏監修のもとで作成・リリース。
・公式サイトにてデジタル版(PDF)が無料公開されている他、同社提供サービス「スマルナ」がプロデュースしたクリニックには紙の冊子が配布されている。また希望する教育機関にも、無償で冊子の提供が行われる。
・今後も、各医療機関との連携を通じて科学的根拠に基づく知識や情報を提供し、直近では「性感染症」「性教育」といったテーマでのファクトブック作成も予定。
LoveTechポイント
科学的根拠に基づく正しい情報を知ることは、様々なリスクを回避、ないしは適切に対処する前提条件になります。
表立って声をあげにくいテーマだからこそ、こういったファクトブックを通じた知識の習得が、非常に重要だと感じます。
編集部コメント
主に避妊に用いられる女性ホルモン剤「ピル(経口避妊薬)」に関するデータがまとまった冊子(ファクトブック)が、FemTechベンチャーであるネクストイノベーション株式会社よりリリースされた。
「PILL FACTBOOK/経口避妊薬ファクトブック〜人々が健康に活躍できる社会のために みんなに知ってほしい7つのこと〜」(こちらよりダウンロード)
ピルは、高い避妊効果や月経痛の緩和、月経周期の安定、過多月経の改善、PMS(月経前症候群)の改善など、女性にとって様々な効果をもたらしてくれるものだ。
しかし、2019年に国連人口部が発表した統計データ(※)によると、婚姻・同棲関係にある女性のピルの平均服用率は先進国で24.6%なのに対し、日本は0.9%と極めて低い服用率にとどまっている。
※「Contraceptive Use by Method 2019」p21掲載表に記載
PILL FACTBOOKより(p5)
また直近ではコロナ禍に伴う休校の影響で、中高生の意図しない妊娠が増えているという報道や、外出自粛で生活リズムが変化したストレスから、月経不順の女性が増えることを懸念する報道がなされている状況だ。
同社の運営する女性向けオンライン診察アプリ「スマルナ」でも、ユーザーとのコミュニケーションの中で、自分の身体のことをよく理解しておらず避妊や生理のトラブルの際に誰に相談して良いかわからないため、適切に医療にアクセスできていないといった声が多く届いているという。
そんな状況だからこそ、今回発表されたファクトブックを通じて自身の“ヘルスリテラシー”を上げることは、非常に大切なことと言えるだろう。
掲載されているコンテンツは以下の通り。西條婦人科往診クリニック院長の西條良香氏監修のもとで作成されている。
はじめに
1.ピルの普及状況/日本はピル後進国
2.ピルの服用目的/避妊だけではないピルの効用
3.避妊/世界と比較する日本の避妊
4.性感染症/性感染症を防ぐために
5.中絶/解決すべき社会的課題
6.少子化/ピルの普及で少子化が進む?
7.婦人科系がん/婦人科系がんリスクの低下のために
持続可能な開発目標
こちらは公式サイトにてデジタル版(PDF)が無料公開されている他、スマルナがプロデュースしたクリニック(※)には紙の冊子が配布されている。
※2020年4月1日クリニック内で助産師や薬剤師が生理や避妊などに関する相談を無料で受け付ける関西初のユースクリニックの機能を持った「スマルナ医科歯科レディースクリニックOSAKA」をイオンスタイル海老江内にプロデュース(開設者:広域医療法人鳳珠会)。2020年5月11日には福岡市早良区「スマルナ医科歯科クリニックHAKATA」とコラボ(開設者:医療法人一柳会)
また、希望する教育機関にも、無償で冊子の提供が行われるとのことだ。
ネクストイノベーション株式会社 教育機関様向けファクトブック窓口担当
info@sumaluna.com
同社では、今後も各医療機関との連携を通じて科学的根拠に基づく知識や情報を提供し、直近では「性感染症」「性教育」といったテーマでのファクトブック作成も予定しているという。
自身の身体のことやピル関連のデータについて確認されたい方、およびヘルスリテラシーの現状に課題を感じている教育機関の方は、まずは今回発表された冊子をチェックしてみると良いだろう。
以下、リリース内容となります。