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英国で15〜17歳の12%が出会い系アプリを訪問。年齢確認の実効性を問うと共に、日英の規制状況の違いを確認

2026 7/22
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長岡武司

英国の通信・オンライン安全規制機関であるOfcomは2026年7月15日、オンラインサービスにおける年齢確認や年齢推定の実態を調べた「Use of Age Assurance Report 2026」を公表した。

報告書によると、2025年12月、英国のオンライン人口に含まれる15〜17歳の12%が、出会い系アプリ3種のうち少なくとも1つを訪れていたという。英国で子どもの保護に関する義務が本格的に動き始めた2025年7月より前の同年5月も12%だったことから、割合は変わっていない。12月に訪問したユーザーが各アプリで過ごした時間は、1カ月平均で1〜4時間だった。

このデータだけで12%全員が年齢保証を通過したとは断定できない。ログイン前の画面を開いたケースなどが含まれる可能性があるからだ。それでもOfcomは、未成年者がアプリへのアクセスを試み、実際に入れている場合もあるとみている。

日本は、出会い系サイト規制法によって18歳未満の利用禁止と事業者による年齢確認を20年以上前から定めてきた。しかし、児童被害の主な接点は、届出済みの出会い系サイトからSNSへ移っている。以下、英国の実測結果を手がかりに、日本の入口規制と2026年のSNS規制議論を見ていく。

目次

年齢保証、年齢確認、年齢推定、年齢推測、年齢チェックの違い

Ofcomの報告書では、複数の年齢関連用語が出てくるので、まずはそれらの整理から始めたい。

用語本記事での訳語意味と位置づけ
Age assurance年齢保証年齢確認と年齢推定の総称。オンライン安全法230条で定義されている
Age verification年齢確認ユーザーの正確な年齢を確認するための方式。顔写真付き身分証の照合、クレジットカード確認、携帯キャリア確認、オープンバンキング、デジタルIDサービスなどが含まれる
Age estimation年齢推定ユーザーの年齢または年齢帯を推定するための措置。顔画像やメールアドレスの利用履歴による推定のほか、年齢推測(Age inference)を含む
Age inference年齢推測年齢推定の下位分類。ユーザーの行動データや、コンテンツ・機能とのやり取りを「シグナル」として分析し、年齢を推測する
Age check年齢チェック年齢保証のプロセスがユーザーに適用された個々の実施。方式の名称ではなく、実施回数を数える単位

※Ofcom「Use of Age Assurance Report 2026」Annex 4 Glossaryを参照

「年齢保証」という概念の下に「年齢確認」と「年齢推定」が紐ついており、「年齢推測」は年齢推定の一種となる。一部のSNSでは、生年月日を自己申告させたうえで、ユーザーが大人か子どもかを年齢予測モデルで推測し続ける受動的な年齢推測を採っている。もっとも、推測モデルの精度にはばらつきがあり、効果を示せない場合には、別の方式への置き換えや補完が必要だとOfcomは指摘している。

また、個々の技術は「年齢保証方法」なのであって、複数の方法を組み合わせた一連の「年齢保証プロセス」とは区別される。後述する「チャレンジ年齢」は、まず年齢推定を行い、推定年齢が基準を下回った場合に年齢確認などの追加手順へ進める二段構えのプロセスとなっている。

15〜17歳の12%が主要出会い系アプリを訪問

今回発表されたOfcomの報告書は、オンラインコンテンツを規制するための法律「2023年オンライン安全法(Online Safety Act 2023)」に基づく法定報告で、計32サービス(ポルノサイト19、SNS9、出会い系4)から集めたデータを中心に、2025年7月から12月までの運用状況を分析している。

32サービスでは、この半年間に6,900万回を超える年齢チェックが行われた。この数字は直前の半年間の23倍に当たるのだが、英国全体の年齢チェック回数はさらに多いとみられる。

出会い系アプリの訪問状況には、オンラインオーディエンス測定サービス「Ipsos iris」のアプリ利用データが利用され、対象となったのは到達率の高い3アプリだという。(サービス名は報告書に記載されていない)

“In December 2025, 12% of UK online 15 to 17-year-olds visited at least one of the three highest reaching dating apps.”

「2025年12月、英国の15〜17歳のオンラインユーザーの12%が、到達率の高い出会い系アプリ3種のうち少なくとも1つを訪れていた」(編集部訳)

— Ofcom「Use of Age Assurance Report 2026」

15〜17歳の標本数は、2025年5月が193人、12月が118人と小さいため、数ポイントの差を精密に比較できる調査ではない。一方、12月にアプリを訪れたユーザーが各サービスで過ごした時間は、平均1〜4時間に達した。Ofcomは、未成年者のアクセスが単発の試行だけでは説明できない場合があると受け止めている。

※8〜14歳については、同じ3アプリを訪れたユーザーが相当数いるという結果は得られなかった

Ofcomの働きかけで各サービスは生存確認やチャレンジ年齢の追加に着手

Ofcomが詳しく調べた出会い系サービスは計4つで、いずれも顔画像による年齢推定と、顔写真付き身分証を照合する年齢確認を採用していた。3サービスでは、まずカメラに映った顔から年齢を推定し、判定が難しい場合や異議申し立ての際に身分証を使っていたという。

こうした年齢保証の仕組みがあっても、未成年者のアクセスが残るのはなぜか。調査時点では、4サービスのうち2つが、カメラの前にいるのが生身の人間かを確かめる「生存確認」を導入していなかった。つまり、静止画や録画映像を使った偽装に耐えられるかという点で弱さが残っていた。

年齢推定の境目を18歳に置けば、少し年上に推定されただけで通過するおそれもある。このリスクを抑えるため、21歳など18歳より高い基準を設定し、その年齢を下回ったユーザーには年齢確認などの追加手順を求める「チャレンジ年齢」の仕組みが使われる。しかし、複数のサービスでは、この基準も十分に設定されていなかった。Ofcomの働きかけを受け、各サービスは生存確認やチャレンジ年齢の追加に着手している。

さらに、年齢保証のプロセスを終えたユーザーのうち、後から18歳未満として報告・検知された割合は、2025年7月から11月までで0.04%未満だった。15〜17歳の訪問データと合わせると、年齢保証を通過した未成年者がアプリ内でほとんど見つかっていない可能性もあるため、Ofcomは、通報や自動検知を含む入場後の対策も必要だとしている。

もっとも、オンライン安全法がすべての出会い系アプリに一律の18歳以上確認を命じているわけではない。ユーザー投稿型のポルノ機能など、子どもに有害なコンテンツを扱うサービスには高度な年齢保証が求められる一方で、アプリ独自の18歳以上という利用条件を守るため、自主的に年齢確認をしているサービスも調査対象に含まれている。Ofcomが2026年5月に公表した出会い系サービス向け案内では、公開プロフィールと個別メッセージの双方で未成年者を有害コンテンツに接触させないよう求めている状況だ。

別調査では子どもの32%が年齢チェックを回避。保護者が手伝った例も

Ofcomとは別に、英国における子どものインターネット利用を調査する非営利団体Internet Mattersは2026年5月、9〜16歳の32%が過去2カ月に何らかの年齢チェックを回避したとする調査を公表した。最も多かったのは「偽の生年月日を入力する」で13%、「他人のログイン情報を使う」が9%だった。

この調査は、2025年9月から10月に英国の子どもと保護者1,270組を対象に実施したオンライン調査である。回答は自己申告で、出会い系アプリだけを調べたものでもない。それでも、子どもの46%が年齢チェックを回避するのは簡単だと答え、保護者の17%は回避を手伝ったと回答している。Internet Mattersの報告書は、端末や家庭の協力によって年齢保証の仕組みが破られる可能性も示している。

もちろん、年齢保証を厳しくすれば、成人ユーザーが身分証や顔画像を渡す場面は増える。年齢を誤って低く判定された成人が、アプリから締め出されることもあり得る。事業者には、年齢保証に使うデータを絞り、保存期間と委託先を説明したうえで、別の方法や異議申立てを用意することが求められる。

日本は約20年早く出会い系サービスの入口を規制

これに対して、日本の状況を見てみる。我が国では、2003年に施行された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」、通称「出会い系サイト規制法」によって、18歳未満のサービス利用が禁じられている。

具体的には、法11条にて、男女の交際相手を探すユーザーが連絡先や会う日時・場所を書き込み、閲覧し、送信できるようにする前に、事業者が「児童でないこと」を確認するよう求めている。

警察庁が示す現在の確認方法としては、運転免許証やマイナンバーカードなどの画像送信や、クレジットカード決済などが挙げられている。また、2026年4月16日の施行規則改正では、マイナンバーカードのICチップ情報を活用する公的個人認証サービス(JPKI)で生年月日情報を受け取る方法も選択肢に加わった。この背景には、本人確認の認証強度設計の観点で先行する犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法などにおける法改正(非対面の方式においては、今後はマイナンバーカードを利用した公的個人認証サービスに一本化し、運転免許証などの画像送信や、顔写真のない本人確認書類を用いる方式は廃止される方針のもとでなされる改正)が影響しているとみていいだろう。

なお、身分証の顔写真とセルフィーを照合したり、生存確認手法を重ねたりする対応は、法で定められた年齢確認を超えた確認強度であって、あくまでインターネット異性紹介事業者の自主判断となっている。

日本では入口規制が先行したが、年齢を偽ったユーザーを完全に防げたわけではない。埼玉弁護士会は2024年、法6条が児童による確認のすり抜けを想定していると指摘し、公的個人認証サービスを使った本人確認の“義務化”を提言している。先述の通り、2026年4月の施行規則改正で公的個人認証サービスの利用手法を選べるようになったものの、義務化まではされていない。

届出済みサービスの被害が減る一方、焦点はSNS規制へ

2012年版警察白書によると、出会い系サイトに起因する児童被害は2007年の1,100人から2011年には282人へ減った。その一方、SNSなど当時「コミュニティサイト」と呼ばれたサービスに起因する被害は、2011年に1,085人に達していた。

この統計からは、被害の主な接点が出会い系サイトからコミュニティサイトへ移った様子を読み取れる。規制された場所から規制の弱い場所へ行動が移る現象は「風船効果」と呼ばれる。ただし、この推移だけで法改正がSNS被害を直接増やしたとまでは言えない。

警察庁が2026年2月に公表した統計では、2025年に「SNSに起因する事犯」の被害に遭った児童は1,566人だった。中学生が758人(48.4%)、高校生が579人(37.0%)、小学生が167人で、小学生は過去10年で最多となった。この統計でいう「SNS」にはオンラインゲームなどが含まれる一方、届出のある出会い系サイトは含まれていない。

事業者による追加対策も続いている。この2年の焦点は、マイナンバーカードの公的個人認証サービスへの移行と、審査体制の多層化である。

ペアーズを運営するエウレカは2024年8月、業界に先駆けてマイナンバーカードのICチップを読み取る本人確認を導入。2025年12月には身分証の券面画像だけで済ませる本人確認を廃止し、確認手段をICチップ読み取りまたはセルフィーと公的書類の照合に限定した。AIと24時間365日の目視を組み合わせた審査強化により、不正アカウントから一般ユーザーへの「いいね」が45%、メッセージ交換が57%減ったと同社は説明している。タップルも2025年9月30日に公的個人認証サービスによる本人確認・年齢確認を開始し、18歳未満と発覚したアカウントは停止している。マリッシュは2025年7月、18歳未満の利用防止を明記して公的個人認証サービスを導入した。

業界全体では2025年6月、一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会がデジタル庁と「マッチングアプリサービスにおけるマイナンバーカード活用等に関する協定」を締結。2026年4月の施行規則改正で公的個人認証サービスが法定の確認方法に加わった動きと並走する形で、入口の確認強化が進んでいる。

さらに、こども家庭庁の検討会は2026年、青少年インターネット環境整備法の見直しに向け、SNSなどのプラットフォームに求める対策を議論している。6月に示された取りまとめ案は、事業者がサービスごとのリスクを評価し、適正な利用年齢の根拠や年齢確認の方法を公表する方向を示した。多くのサービスが生年月日の自己申告に頼っているとして、実効性の高い確認方法を検討する必要性にも触れている。

日英それぞれの焦点

Ofcomの報告書は、訪問率と滞在時間に加え、年齢保証の方法の弱点や入場後の検知率を組み合わせることで、確認画面を設置しただけでは分からない運用上の課題を浮き彫りにした。

報告書が対象としたプラットフォーム群と日本のインターネット異性紹介事業者は必ずしもイコールではないため、単純な比較はできないが、少なくとも報告書の実態を踏まえると、日本の法規制およびインターネット異性紹介事業者による自主的な取り組みは、非常に意識が高いように見受けられる。

今後、英国では生存確認やチャレンジ年齢の追加後に訪問率や滞在時間がどう変わるかが焦点になるだろう。また日本においても、公的個人認証サービスなど認証強度の高い確認手法の義務化がどこまで実装レベルで必要か、という議論は引き続き注視したい。

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SNS規制 マッチングアプリ 年齢確認 未成年者保護

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この記事を書いた人

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LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年11月にあいテクテク株式会社創業。愛に寄り添うテクノロジーの切り口で事業を展開。一児の父。

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