「Safe Abortion Japan Project(セーフ・アボーション・ジャパン・プロジェクト)」という、安全な中絶と流産について適切な情報を伝えるためのWEBサイトが登場した。
Abortionとは、中絶(Induced Abortion)・流産(Spontaneous Abortion)の総称のこと。
皆様は、これらの領域について、どれくらいのことをご存知だろうか。
例えば人工妊娠中絶。
人工妊娠中絶とは、妊娠しても出産しない場合に、その妊娠を中断すること。平成25年12月13日に改正された母体保護法の第一章、第二条に、「人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出すること。」と定義されている。
日本では、この母体保護法に明記された以下の条件のもと、妊娠22週未満(妊娠21週6日まで)の中絶が認められている。
母体保護法(旧:優生保護法) 第三章 母性保護
第十四条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。一 妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によってまたは抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
2 前項の同意は,配偶者が知れないとき若しくはその意志を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の意思だけで足りる。
この中絶だが、日本には様々な課題が存在する。
我が国では掻爬(そうは)法と呼ばれる手術法が行われることがあるのだが、これは世界のスタンダードではないという。
※掻爬(そうは)法:特殊なハサミ状器具(胎盤鋏子)を用いて、手によって子宮内容物をかき出す手術方法。WHOが刊行した「Safe Abortion(2012年)」には、「掻爬法は、時代遅れの外科的中絶方法であり、真空吸引法または薬剤による中絶方法に切り替えるべき」と明記されている。
世界的なSafe Abortionの手法は、薬剤(MA: Medical Abortion)か手動真空吸引法(MVA: Manual Vacuum Aspiration)によるものなのだが、日本では前者の薬剤が認可されておらず、先進国としてきわめて異例な状況である。
ご存知だっただろうか。
WHO非推奨の中絶方法が未だに多く採用されており、逆にWHO推奨の薬剤手法が認可されておらず、さらに中絶費用が世界的にみて非常に高額であるという点で、日本は「Safe Abortion(安全な中絶・流産)」環境とは言いがたい状況なのである。
以上のこと含め、Abortionについて非常に詳しくまとまっているのが、WEBサイト「Safe Abortion Japan Project」である。
日本をとりまく状況に問題意識を持った、産婦人科医や助産師などの専門職と、中絶・流産の経験がある当事者によるプロジェクトチームが、以下3つのミッションを掲げて運営している。