LoveTech Media編集部コメント
患者向けソーシャルデータプラットフォームを運営するActivaidをご存知だろうか。
慢性疾患を抱える患者がお互いに支え合い、病気を管理し、新しい治療法の発見等に貢献するという三点をサポートするためのソーシャルデータプラットフォームを開発・運営するスタートアップである。
同じ疾患を持つ患者コミュニティで患者同士をつなげ、医師が診療で重視するポイントに沿った疾患管理やメンバー同士による情報の参照で病気を見える化し、新薬開発に必要な情報の提供(Patient reported outcome:※)や、治験へのマッチング(今後実装予定)などを通じて、患者自身が直接医療の発展に参加することができる機能を提供している。
※patient reported outcome:患者の健康状態に関する、患者から直接得られた報告に基づく測定のこと
2019年2月には第一弾としてIBD(潰瘍性大腸炎/クローン病)患者向けサービスのベータ版をリリースしており、主にpatient reported outcomeを、共有、評価できるような仕組みが整っている。
登録者数も順調に増え、早くも10,000件を超えるデータが蓄積されているという(2019年5月末日現在)。
そんなActivaidが、この度エンジェル投資家を引受先とする第三者割当増資によ流資金調達を実施したと発表した。
現在は疾患を限定して患者向けにウェブアプリを提供しているが、順次疾患を追加し、また、製薬企業や研究機関などに向けてのサービスも開発していく予定で、将来的には、遺伝子や各種Omicsデータも含んだ情報銀行化を目指していくという。
LoveTech Mediaでは昨年7月時点で一度、Activaid代表・長谷部氏とお話させていただいたが、その時点から、昨今ヨーロッパを中心に広がっている個人データ主権を前提にしたビジネスモデルを構想されており、データを活用した患者および医療関係機関の生態系を創出することをお話しされていた。
今回の資金調達は、これらをさらに加速させることだろう。
一方的な受け手ではない患者文化の創出に向け、同社の成長に期待したい。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
患者向けソーシャルデータプラットフォームを運営するActivaid株式会社(アクティヴェイド、本社:東京都新宿区、代表取締役:長谷部 靖明、以下 「Activaid」)は、北野 宏明氏、鎌田 富久氏、他3名の個人投資家を引受先とする第三者割当増資により、エンジェルラウンドの資金調達を実施したことをお知らせいたします。
新薬の研究開発の現状とActivaidのミッション
近年、全ゲノム解析の価格低下、Bioinformatics(※1)の発展などめざましい技術の躍進により、疾患を多角的に解析することが可能となってきました。ただ、今後の医療の発展に求められるのは、テクノロジーだけではありません。質、量ともに充実したデータや、治験に参加する被検者の確保などがなければ、個別化医療やスピーディな新薬開発などは実現できない時代になってきています。そのためには、これまでの少数の施設が中心となって研究開発を推進してきた既存のシステムに加え、ひとりひとりが医療の発展に積極的に力を貸すことが必要です。また、GDPR(※2)を始めとしたプライバシーへの意識の高まりから、世界的に透明性を持ったデータの利活用が求められるようになってきました。私たちは、「人々が医療の発展に参加できる未来を作る」をミッションとして掲げ、患者の日々のニーズに寄り添いながら、人々と研究開発を繋ぐ信頼性の高いプラットフォームを構築し、誰しもが医療の発展に貢献できるような社会づくりを目指します。
(※1)bioinformatics:バイオインフォマティクス。生命情報科学と訳されることもあり、生物学のデータを情報科学の手法によって解析する学問および技術。
(※2)GDPR(General Data Protection Regulation):EU域内の個人情報を保護するための一般データ保護規則。2018年5月25日施行。
患者向けソーシャルデータプラットフォーム「Activaid」
Activaidは、慢性疾患を抱える患者がお互いに支え合い、病気を管理し、新しい治療法の発見等に貢献することをサポートするためのソーシャルデータプラットフォームです。第一弾として、2019年2月にIBD(潰瘍性大腸炎/クローン病)患者向けサービスのベータ版をリリースしており、主にpatient reported outcome(※3)を、共有、評価できるような仕組みが整っています。登録者数は順調に増えており、既に10,000件を超えるデータが蓄積されています(2019年5月末日現在)。
(※3)patient reported outcome:患者報告アウトカムと訳される。患者の健康状態に関する、患者から直接得られた報告に基づく測定のこと。
https://activaid.me/about
<Activaidの主な機能>
- 患者同士を「つなげる」
同じ疾患を持つ患者コミュニティの中で、サポートを得たり、情報提供や交換ができます。
- 病気を「見える化する」
医師が診療で重視するポイントに沿った疾患管理や、メンバー同士による情報の参照ができます。
- 患者ひとりひとりが医療の発展に「参加する」
新薬開発に必要な情報の提供(Patient reported outcome)や、治験へのマッチング(今後実装予定)などを通じて、患者自身が直接医療の発展に参加することができます。
今回の資金調達の概要
・資金調達の目的と今後の展開
今回のエンジェルラウンドで調達した資金は、患者向けソーシャルデータプラットフォーム「Activaid」のさらなる改善に向けた追加開発費用として使用いたします。現在は疾患を限定して患者向けにウェブアプリを提供しておりますが、順次疾患を追加し、また、製薬企業や研究機関などに向けてのサービスも開発していく予定です。将来的には、遺伝子や各種Omicsデータも含んだ情報銀行化を目指します。
・株主紹介(一部)
北野 宏明氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長)
国際基督教大学教養学部理学科(物理学専攻)卒業。1988年より米カーネギー・メロン大学客員研究員。1991年京都大学博士号(工学)取得。1993年ソニーコンピュータサイエンス研究所入社。2011年同代表取締役社長。2016年ソニー株式会社執行役員。2001年4月、特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構を設立、会長を務める。学校法人沖縄科学技術大学院大学教授。理化学研究所 統合生命医科学研究センター 疾患システムモデリング研究グループ グループディレクター、慶應義塾大学大学院理工学研究科客員教授等歴任。
コメント
「デジタル時代の医療のあり方を体現している。個人の繋がりとしてのコミュニティー、コミュニティーと医療を提供する側がより密に繋がり一つのチームとして医療を進歩させ、病を克服していく。このミッションは、大きなチャレンジでもあります。このActivaidのチャレンジを支援していきます。」
鎌田 富久氏(TomyK Ltd.代表)
東京大学大学院 理学系研究科情報科学 博士課程修了。理学博士。株式会社ACCESS共同創業者。東京大学在学中の1984年にソフトウェアのベンチャー企業ACCESS社を設立。世界初の携帯電話向けウェブブラウザなどを開発するなど、モバイルインターネットの技術革新を牽引。2001年に東証マザーズに上場し、グローバルに事業を展開。2011年に退任。その後、スタートアップを支援するTomyKを設立し、ロボット、AI、人間拡張、宇宙、ゲノム、医療などのテクノロジー・スタートアップを多数立ち上げ中。
コメント
「つながる患者時代の到来、医療も他の分野と同じように、使う側と開発する側がつながることで、イノベーションを加速することができる。患者ひとりひとりが医療の進歩に参加する。そんな世界をめざすActivaidのミッションに共感し、社会的インパクトを志すスタートアップを応援するTomyKは積極的にサポートして行きます。」
創業者・代表取締役の紹介
長谷部 靖明
名古屋大学医学部医学科卒業。初期研修を経て、2011年よりマッキンゼー・アンド・カンパニーにて製薬企業を中心としたプロジェクトに従事。2013年より関東労災病院 経営企画室にて中長期経営計画立案等に従事したあと、ノバルティスファーマの日本およびスイス本社にて新薬の開発戦略の立案、ポートフォリオ戦略、バイオテク企業のデューデリジェンス等を担当。2017年よりDG(デジタルガレージ) Lab Biohealth アドバイザーとして、バイオテクおよびデジタルヘルス関連事業への助言を行う。2018年4月Activaid株式会社を創業。
コメント
「これからの医療の発展は研究者、企業任せではいけない。我々個々人が進んで協力していかなければいけないという危機感のもと、Activaidを創業しました。これまでも、これからも、患者さんと共に、より開かれた、患者中心の研究開発を実現できるよう全力を尽くします。多くの患者さん、そして研究機関、企業、行政等、様々な方のご協力を是非宜しくお願いいたします。」
Activaid株式会社概要
会社名: Activaid株式会社
代表者: 代表取締役 長谷部 靖明
本社 : 東京都新宿区大久保1-1-10 グンカン東新宿ビル502
URL : https://activaid.me/company