難病者の「働く」を考える。両育わーるどが「難病者の社会参加白書」を無償公開

医療/福祉

記事の要点

・NPO法人両育わーるどが、2021年10月21日に「難病者の社会参加白書」を公開。難病者の就労実態に着目して作成。

 

・難病者を取り巻く背景から、就労モデルまで事例も交え分かりやすくまとめられており、当事者のエピソードと支援者や研究者、民間企業の方々によるコラムも掲載されているため、一人ひとりが置かれている状況をよりイメージしやすい内容となっている。

 

・2021年7月から開始したクラウドファンディングで調達した資金により、日本国内全約1800の自治体へと印刷版が発送される予定。

編集部コメント

NPO法人両育わーるどが、2021年10月21日に「難病者の社会参加白書」を公開した。

 

 

難病と聞くと、多くの人は「患者数の少ない病気」や「命に関わる治りにくい病気」といったようなイメージを抱くであろうが、実は想像以上に身近な存在であるとも言える。

 

もちろん、世界で数十人しか患者のいないものもあるのだが、一方では何十万人も患者がいるものもあり、現時点で分かっているだけでも、状況が様々な数千種の疾患が存在する。そしてその患者数は、日本だけでも700万人以上の希少疾患及び難治性慢性疾患の患者がいると推定されており、障害者手帳保有者とほぼ同数に相当するのだ。

国内で障害や難病のある人の社会保障制度の状況(画像:「難病者の社会参加を考える研究会活動報告」より)

 

一方で私たちの住む社会では、難病者に対する認知や対応は、驚くほど低いのが現状だ。

 

たとえば就労面で捉えた場合、障害者雇用率には難病者は含まれていない。厳密には、障害者雇用率の対象は障害者手帳の所有者に限られるので、類似の状況で症状に苦しんでいたとしても、手帳の有無によって就労の選択肢が大きく変わってしまうのだ。

 

また調査物についても、たとえば「厚生労働白書」では難病への言及こそなされてはいるものの、その調査対象は「指定難病」に集中している。指定難病は医療費助成の対象となる難病で、2021年現在で333の疾患が対象である。だが、先ほど難病には「数千種の疾患が存在する」と記載した通り、これはほんの一部に過ぎないのだ。

 

さらに、ここ数年で話題となっているSDGs(持続可能な開発目標)においても、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことが謳われているわけだが、どこを見渡しても難病への言及は為されていない状況である。

 

このように多くの難病者は、社会制度の狭間にいて、十分なサポートを得ることができていないのが現状なのだ。だからこそ、難病のある人の社会参加の促進を目指すべく、今回の「難病者の社会参加を考える研究会」発効へと至ったというわけだ。

 

企画主体である両育わーるどは、「知的・発達障害児と関わる人がともに学びあう「両育」のある社会へ」をビジョンとし、ポスター作成・展示、障害疑似体験、交流会などを実施する「THINK UNIVERSAL事業」、自助・互助・共助・公助のステップを通して難病のある人の社会参加の後押しする「THINK POSSIBILITY事業」を主に展開している。

 

働くことは、身近な社会参加の手段としてイメージし易い手段であるとの考えから、就労実態に着目して白書を作成。難病当事者とその家族、企業と自治体へのアンケート調査をもとに、難病者の就労の実態を整理している。

 

難病者を取り巻く背景から、就労モデルまで事例も交え分かりやすくまとめられており、当事者のエピソードと支援者や研究者、民間企業の方々によるコラムも掲載されているため、一人ひとりが置かれている状況をよりイメージしやすい内容となっている。

 

本白書の発効に際しては、2021年の7月からクラウドファンディングにて支援を募集し、9月には目標額200万を上回る230万円でのクロージングを達成。白書も無事に完成し、現在、日本国内全約1800自治体へ発送中とのことだ。

 

白書自体はWebページでも、PDF版として無料で購読できる。

 

「難病者の社会参加白書」

https://ryoiku.org/wp-content/uploads/2021/09/2021_white_paper.pdf

 

多様性ある社会の実現を本当に目指すのならば、想像力を拡張しなければならない。そして、想像力を拡張するには、様々な立場の方のことを”知る”必要がある。

 

難病について知る第一歩として、ぜひ「難病者の社会参加白書」をご一読いただきたい。

 

LoveTechMedia編集部

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