LoveTech Media編集部コメント
あなたは「 2025年問題」をご存知だろうか。
団塊の世代が2025年頃までに、約800万人いる団塊世代の全てが後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されている、という問題だ。
厚労省の推計によると、2018年度の医療保険給付は39.2%だったのに対し、2025年には現状投影で48%以上にまで増える見通しだ。(図中の①②については、単価の伸び率の仮定を2通り設定しており、その結果として給付費も2通りで示されている)
引用:厚生労働省「2040年頃の社会保障を取り巻く環境」22頁
またこれに併せて課題となるのが、介護職員の圧倒的不足である。
引用:厚生労働省「2040年頃の社会保障を取り巻く環境」41頁
こちらも同様の資料によると、2025年時点で、約 55万人の介護人材が需要に満たないと推定されている。
正社員やパート・アルバイトという従来型の人材確保では、この問題を解決することはできず、また、介護ロボットへの期待も高まっているものの、ITによる業務自動化がもっとも困難である性質を持っているのが介護業界である。
実に由々しき事態だ。
そんな背景の中、この2025年問題にフォーカスし、介護施設を中心とする福祉施設と、資格不要かつ身体介助以外の様々な業務を担うスキマワーカー(スポットワーカー)をマッチングするスキルシェア サービス「Sketter (スケッター )」が、今年8月1日より正式リリースされるという。
介護施設では、資格不要の業務や専門知識を要求される身体介助以外の業務が数多くあり、実はこうした一般業務はアウトソースすることが可能だ。
雇用形態や時間、仕事内容に縛られない形で、一般業務をスポット担当してくれる人材を活用することで、介護施設従事者は、より難易度の高い業務に集中できたり、施設の改善に努めることが可能となり、また介護業界の関係人口を増やすことで上述の社会問題自体の解決にも挑むという。
仕組みはいたってシンプル。
施設側は必要事項を入力するだけで、すぐに働き手を募集開始が可能。スケッターに頼みたい仕事内容と日時・報酬をサイト内で投稿し、あとはスケッターからの応募を待ち、条件が一致したスケッターを受け入れるだけという流れだという。
メッセージ機能も充実しており、受け入れる前にサイト内で疑似面接が可能。
また、施設とスケッター の「相互評価システム」により、お互いの信頼度を可視化できるほか、施設はスケッターの応募状況や受け入れスケジュールを独自の「カレンダー機能」で一元管理できるので、いつ誰が何の仕事をしに来るのか、簡単に把握できるのが特徴となっている。
2019年2月末から試験運用版(α版)が展開されており、現時点(7/23)でレクリエーション(カードゲーム、落語、マジック、イラスト、美容系、切り絵、楽器演奏、歌、将棋、麻雀)を中心に、約400のお仕事(累計1000種類以上)が投稿、月100件以上がマッチングしているという。
ちなみに、事前登録したスケッターは口コミだけで400名にものぼり、その8割は異業種だというから驚きだ。
冒頭でも申し上げた通り、介護業界における人材不足に対しては、既存の採用戦略では限界があり、IT活用も時間がかかる。
そんな中では、今回発表されたSketterのように、業界の関係人口を増やし、異業種人材でも対応可能な領域をアウトソースすることで、プロ人材がより対応すべき領域に集中できる環境を整備することが、喫緊の対応策と言える。
超高齢社会における介護問題に切り込むLoveTechなプロダクトとして、Sketterが多くの人々に認知されることを期待する。
以下、リリース内容となります。